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07:1日の終わり





「フィオリル、入るぞ」

「どうぞ」



おぉ!扉越しの声で既にそうとうの美人だと分かるなんて・・・期待大!

・・・・・・・・・・ディアさんが男の人でこれなんだから、女の子はきっと凄いんだろうなぁ

あ、ディアさん毎度毎度レディーファーストありがとうございます。



ドアからそっと中を覗くと、私の方を見てにっこりと優しく微笑んでいる女性がいた。


長い髪を一纏めにアップにしていて、ところどころ細かい編み込みがある。髪を纏めている赤いリボンが鮮やかで、艶やかな濃紺の髪によく合っていた。睫毛はもちろん長くて、瞳の色は黄緑。薄紅色のワンピースのようなものを着ている。右肩についている花のコサージュが可愛い。

あ!もしかしたらドレスかも?う~ん。それにしては質素すぎるかな。ドレスはもっとキラキラゴテゴテなイメージ。部屋着とか?


それにしても美人さんだなぁ・・・

またも眼の保養を発見


「はじめまして。私はフィオリル・アイライズ。そんなところで警戒してないで入ってきてくれる?」

「あ、はい!ごめんなさい!」


そそくさと中に入る私。ディアさんも後に続く。


「お父様、おかえりなさい」

「ただいま」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?

お、お父様・・・・・?

やだなんかお金持ちの親子みたい

じゃなくて


「えぇぇ!ディ、ディアさんがお父様!?」

「ん?・・・あぁ、言ってなかったな。フィオリルは俺の娘ってことになってる」

「そ、そうなんですか」


い、いや・・・おかしい事じゃないよね。ディアさん42歳だもんね。子どもの1人や2人いるよ。て、ことは奥さんも・・・。あれ?なんか変な感じ。ディアさんが女の人と一緒にいるイメージが浮かばない。ディアさんが女の人顔負けの美人さんだからかな?むしろ男の人と一緒にいるほうが想像しやす・・・こほん。


「ふふふ。私はお父様の養子なの。似てないでしょう?」

「よう・・し?」

「そう。私達、血は繋がっていないの」


血が繋がってなくてこの美しさ。

ディアさんは清廉系というか女神の像みたいな清らかな美しさで(男の人に清らかはどうかと思うけど)、フィオリルさんは妖艶?っていうの?上品な艶やかさがある。系統は違うけど、2人とも綺麗だ(男の人に綺麗は略)。


「十数年前に、な。時期も良かったし」

「時期?」


私が聞くと2人はちょっと笑っただけで何も言わない。

・・・・・もしかしなくとも聞いたらいけないこと聞いちゃった?


「え、えっと」

「あら、困らせてごめんなさい。その話はまた今度。機会があればね」


フィオリルさんが笑って流してくれた。

了解です。二度と聞きません。


「それと・・・貴女のお名前。教えてもらってもいいかしら?」

「あ」


私はことごとく自己紹介が遅れるらしい。

これからお世話になるのに失礼をしてしまった。


「さ・・・ヒナ・サクマです。これからよろしくお願いします」

「ヒナね。こちらこそよろしく。私の事はフィルって呼んでね」

「フィルさん」

「フィル」

「・・・・・フィルちゃん」

「う~ん。まぁいいわ。それで許してあげる」


フィオリルさん。もといフィルちゃんがウインクしながらにこっと笑った。こういう悪戯っぽい顔もとても魅力的だ。モテるんだろうなぁ・・・。


ディアさんと違って表情がころころ変わる。別にディアさんに表情が無いって訳じゃないけど、基本無表情だから・・・。まぁ、笑顔の威力はディアさんの方が上だけどね!


「じゃあヒナ」

「はい」

「女の子のお話しましょうか」

「・・・は?」

「女の子の、お・は・な・し」

「お、女の子の話・・・」

「ということですからお父様。出てってくださいな」

「俺は邪魔者か・・・・・。話が終わったら下に降りてこいよ。晩飯用意しとく」

「キロロの実のスープが飲みたいわ」

「わかったわかった」


ディアさんはフィルちゃんの頭を一撫ですると、部屋を出ていった。


え?何いまの感じ。親子っていうより恋人同士みたいだったけど。

異世界の親子のスキンシップはこんなもんなのかな?それにしては雰囲気が甘いというか・・・うん。深く考えない。


「ヒナ、ヒナ」

「は、はい」

「この部屋どう?可愛らしくしてみたつもりなんだけど」


笑顔がキラキラしている。

年上だけど、可愛い。とっても可愛い。

『ヒナ、ヒナ』って呼ばれた時はキュン死にするかと思った。すごい威力。


フィルちゃんに言われてはじめて部屋の中を見回す。

シミ一つない白い壁に薄桃色のカーテン。木製のベットには柔らかそうなクリーム色の布団。掛け布とマクラカバーはカーテンと同じ薄桃色。床のカーペットは薄いオレンジ。窓の近くには木製の机、椅子付き。よく見ると角が全て削ってあって細やかな心遣いが分かる。

全体的に柔らかい雰囲気の部屋だ。とくに高級そうなものは置いてないし、この広さならまだ許容範囲内。


「すごく、いいです!可愛い」

「本当?喜んでもらえて嬉しい」

「あ、この部屋フィルちゃんが用意してくれたんですよね!ありがとうございます」

「ふふ。どういたしまして」


今日からここが私の部屋。なんだかわくわくするなぁ。


「それで、女の子のお話なんだけど」

「・・・はい」


女の子のお話ってなんだ。まさか今から恋愛トークが始まるのだろうか?


「ヒナの世界とこの世界とじゃ、全然文化が違うと思うの。ヒナと私の服を見比べただけでも十分わかるでしょう?」

「はい」


確かに。いかのも西洋風のフィルちゃんの服と私の制服とではまったく系統が異なる。

あ、でもちょっとディアさんの服とは似てるかも。軍服を簡略化したみたいな服着てたけど、ディアさんの職業ってなんなんだろう?


「服の着方とかお風呂にお手洗い、あと月の日の対処とか・・・聞きにくい事だろうから今の内に教えておうと思って」

「あ!それはとっても助かります」


そういうこと、全くもって考えてなかった・・・!

いくら女の人っぽいからといっても、ディアさんには聞けないし。

ありがとうフィルちゃん!






○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●






「御馳走様でしたー!美味しかったです!」

「おう」


満腹満足な私を見て、ディアさんも満足そうだ。

だからそのキラキラ笑顔はやめて下さい。もっと光抑えて。


フィルちゃんがリクエストしてたキロロの実のスープはチーズを溶かしたみたいなミネストローネの味がした。最初はキロロの実=トマトかと思ったんだけど、トマトは別にあるらしい。よくわかんない。

他に、麦パン(ディアさんの手作り!)、野菜のカヴル肉巻、ジェリムの実入りオムライス(もどき)。どれもとっても美味しかった!カヴルっていうのは鹿みたいな動物で、一般家庭によく並んでいるらしい。後、ディアさんはジェリムの実が大好きで隙あらば料理に突っ込んでくるんだって(フィルちゃん談)。



思い返してみると、夕方に召喚されて、お昼すぎから今まで起きている訳だから睡眠が足りない・・・。つまり、とっても眠い。


フィルちゃんにそう言うと、暖かいお湯とタオルを渡してくれた。

この国では家にお風呂がなくて、国営の公衆浴場(誰でもタダ!)に入りに行く。

今は丁度混雑する時間帯だから、家に戻る時間がものすごく遅くなってしまうらしい。それだと私の体力と気力が持たないと判断したフィルちゃんが気をきかせてくれたのだ。


「明日一緒にお風呂入りに行きましょうね。おやすみなさい」

「ありがとうフィルちゃん。おやすみなさい。ディアさんも、おやすみなさい」

「おやすみ」






○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●






手早く身体を拭くと、フィルちゃんが貸してくれた寝巻を着てベットに潜り込んだ。

布団はふかふかで、私はすっと眠りに落ちていった。






テスト無事ではないですが終了しました!

ので、さっそく更新


また週1ペースで更新しようと思っているんですが

今年、受験生なので時々不定期になりそうです;;

御容赦下さいませ



(*´∀`)/PV7000越えありがとうございます!!

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