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05:衣食住の『住』1


「あの~お二人さん」

「なに?」

「なんだ?」


うわ!一気に注目を集めてしまった。てれるてれる。


「えっと、こんなにゆっくりしててもいいんですか?お仕事とか」

「あ!」

「・・・・・忘れてたな」

「どうしよう、ディアさん!僕まだヒナちゃんを召喚しちゃったこと報告してませんでした!またクドナさんに怒られちゃいます!!」

「それは自業自得だろう」

「ディアさん冷たい!」

「まぁ、報告が遅くなったのは状況を説明していたってことでどうにかなるだろう。ヒナを呼び出したことはキッチリ絞られるだろうけどな」

「うぅ~」

「ぇ、あの、なんかすみません」

「謝らないで!全部僕が悪いんですから。うん、そうだよね。僕クドナさんにキッチリ絞られてきます」

「よく言ったロッソ。骨は拾ってやる」

「・・・・・はい」


ロッソ君がしょぼんと肩を落とした。それにしてもこの2人仲良しだ。ディアさんと軽口が言い合えるなんて羨まし・・・・何を考えてるんだ私は!うおぉぉぉおお!


私が1人身悶えている間も2人の会話は続いている。


「ところでロッソ、ヒナの衣食住を保証するとか言ってたけど大丈夫か?お前、寮暮らしだよな」

「ぁう・・・やっぱり寮はダメですかね。女子寮に入っちゃうと気軽に様子を見に行ったりできないし・・だからといって、男子寮には絶対入れられないです」

「あそこは臭いが酷いからな。何度か気が遠くなったことがある」

「そうなんですよ。皆さん全然掃除しようとしなくて、いつも僕が・・・って、違いますよ!狼がウロウロしているところに子うさぎを一匹放すわけにはいかないでしょう!ヒナちゃん可愛いから一口でパクッですよ!パクッ!」

「分かってるよ。で、どうするつもりだ?」


ロッソ君、お世辞はいいよ。お姉さんはその言葉だけで十分だよ。

ていうか、女神すら霞みそうなご尊顔のディア様を前にしたら私なんて紙屑以下。あ、自分で言っといて泣きそう。


ディアさんはあくまで無表情だ。冗談なのか本気なのか掴めない。

表情がないディアさんは彫刻のように美しい。はじめて会った時と同じように私はボーっとディアさんを見つめた。うん、眼の保養だ。


「・・・・・・・・あの、非常に言いにくいんですけど」

「・・・・・・・・大体予想できるが、一応言ってみろ」

「お願いします!ヒナちゃんをディアさんのところで預かってもらえませんか!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「もちろんヒナちゃんに使うお金は僕が払いますから!後払いで!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかった。ちょうどフィオリルが1人でつまらないと愚痴ってたところだしな」

「あ!フィルちゃん元気ですか?僕最近会えてないんですよ」

「相変わらずだ。暇が出来たら会いに来てやってくれ。最近あいつ、つまらないしか言わないんだ」

「はぁ~。フィルちゃんにとって平和は退屈なんでしょうかね」

「別に平和が嫌いなわけじゃないさ。ただ何もしなくていいって状況に慣れてなくて不安なんだろう」

「う~ん。難しいですね」


フィ、フィロルリ?違う違う。フィオリル?ちゃん?誰だろう?

ん?ちょっと待てよ。その前にもっと重要な・・・――――――


「ちょ、ちょちょちょちょちょ!ちょっと待って!!私、ディアさんと一緒に住むんですか!?」

「え、うん。そのつもりですけど」

「何か不都合があるのか?」

「不都合っていうか、あの、え~!」

「あ!大丈夫ですよ!ディアさんの理性の強さは化け物並みですから!」

「そ、そそそそそーゆうことを言ってるんじゃないですよ!」


ロッソ君の理性の強さうんぬんという言葉に赤面してしまった。

可愛い顔してなんて爆弾発言を!高校生男子なんて皆こんなもんなのか!?・・・・・ちょっと違うか。


「・・・嫌なら無理にとは言わないが」


ああああああ!ディアさんそんなちょっと寂しそうな顔しないでください!!

罪悪感が湧き出てくるではりませんか!


「い、いえ!決して嫌なわけでは・・・」

「だ~いじょうぶですって!別に2人っきりって訳でもないですから」

「お前、他人事にするなよ。召喚者だろ」

「そんなつもりは無いんですけど」

「ぅぅ・・・2人っきりじゃないって、さっきのフィ、フィル・・・フィオルじゃないフィオリルちゃん?も一緒ってことですか?」

「そうだ。・・・・・・失礼だが、ヒナは今いくつだ?」


ディアさんがちょっと困って様な顔で聞いてきた。

大人の女性扱いをしてくれているのだと気が付いて嬉しくなる。

もう!ほんっっっとにイイ男なんだから!歳くらい、いくらでも聞いて!


「16です」

「そうか。ならフィオリルが23だから7つ差ってことになるな」

「丁度良いんじゃないですか?姉妹みたいで」

「わ!お姉ちゃんですか!私兄弟いないので楽しみです」


小さい頃からお姉ちゃんお兄ちゃんのいる友達の愚痴を聞いていて凄く羨ましかったのだ。

兄弟っていうのは、両親よりも身近にいる気がする。実際はいないから本当はどうなのか分からないんだけどね。


「そーゆーことなんだけど・・・・・いいかな?」

「さっきも言ったが、無理はしなくていい。俺のところが嫌なら寮でもかまわないし」

「手続きが面倒ですけどね~」

「・・・ロッソ」

「ぁ・・・すみません。・・・・・ヒナちゃんは何も気にせず好きな方を選んでください」


あ、あれ?ディアさんの顔が怒ってるように見えるぞ。何で?私なんか地雷踏んだか?

そんな私の顔を見たディアさんがちょっと困ったように微笑んだ。やめて!眼の前が霞む!

ロッソ君はバツが悪そうにポリポリと米神を掻いた。


「あーうん。あんまり気にしないでヒナちゃん。僕が悪いだけですから」

「う、うん」

「で、どっちにする?」


気にしないでと言われても!

・・・・・・・・ロッソ君が自分が悪いって言ったってことは、ロッソ君が何かしでかしちゃったってことだよね?

ディアさんが怒る前。えっと、何言ってたっけ?

『手続きが面倒ですけどね~』

そうだ!確かそう言ってた。これの何がダメなんだ?

う~~~~~ん


『召喚者は召喚したものに責任を持て、というのがこの国の法だ』


あっ

もしかしてこれか!ロッソ君が面倒くさいって言葉を無責任だ!って怒ったとか?

ディアさん細かすぎるよ!私そんなの気にしないよ!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・でも、そうか。私の為(?)に怒ってくれたのか。

自信ないけど、きっとそう!ディアさんは私の為に怒ってくれてんだ!・・・と、思おう。うん。


「わ、私は、そうですね。ディアさんのところがいいです!」

「・・・本当だろうな?」

「気を遣わなくてもいいんですよ?」

「いえ。ディアさんのところがいいです。気なんか遣ってません」

「もしかして僕のせいだったりする?」

「しません。私はディアさんのところがいいから、ディアさんのところがいいって言ってるんです」


これだけ何度もディアさんのところがいいって言うのは恥ずかしいけど、はっきり言うよ。

ロッソ君の言葉を気にして言ってるんじゃありません!

ディアさんのところがいいんです!


私の心意気(?)が伝わったのか、ディアさんもロッソ君も頷いてくれた。


「なら、さっそく案内しないとな」

「ディアさんよろしくお願いします。僕は叱られてくるので・・・」


叱られると言葉にしたとたんロッソ君の周りにどんよりした空気が漂う。


「が、がんばって!」

「うぅ・・・ありがとうございます」


フラフラと立ち去って行くロッソ君を2人で見送ると、ディアさんが手を差し出してきた。


「え?」

「手を出せ。いくら試験塔だからといっても迷われたらすぐに見つけてやれる自信がない」

「え、えっと、それは手を繋ぐってことですか?」

「あたりまえだろう?」


あぁ!だからディアさん首を傾げてこっちを見ないで・・・。

でも、そうだよねー。私とディアさんって親子ぐらい歳離れてるもんね。


「ほら」

「・・・・・」


私は何か腑に落ちないものを感じながら、ディアさんの手を握った。

ディアさんの手はすべすべで、柔らかい。

ほんとに42の男性なんですよね!?

ちょっと私自信失くしちゃうよ!!






PV2000越え

ありがとうございます!


誤字脱字、おかしな日本語があったら是非教えて下さい

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