00:prologue
太陽が眩しい季節。
友達もでき、部活も始まり、新しい生活にも慣れてきた。友達は明るく面白い子ばかりだし、バレー部の先輩は厳しいけどそれ以上に優しい。
この高校生活、なかなか好スタートを切れていると自分でも思う。これぞ順風満帆だ!!
そんなふうに考えていたのが、いけなかったのかもしれない。
水戸黄門も人生楽ありゃ苦もあるさと歌っていたではないか。・・・あれ?あれは別に黄門様が歌ってるわけじゃないんだっけ?ていうか、チョイス古いな、私。
・・・・・とにかく。良い事の後には悪い事がつきものなのである。
そんな訳で、私、佐久間陽菜は只今絶賛異世界旅行中です。
どんな訳だ!・・・・・・・・さみしぃ
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部活終わりの帰り道。
高校生となり、めでたく電車通学デビューを果たした私は駅から家までの短いようで長い道程を歩いていた。
辺りは既に暗く沈み、電灯の光だけが道路を微かに照らした。
「あぁ~・・・今日の部活も疲れたー!先輩厳しすぎ!」
陽菜の不満げな声が、人気のない道に響いた。
何だか不気味だ。
いつもはこんなに静かだったっけ?
「なんか変な感じ・・・。お、お化けとかでないよね?」
ガササッ
「ひいぃぃい!!」
風で揺れる葉の擦れる音に、過敏に反応してしまった。
は、恥ずかしい・・・。
1人でなにやってんだろ私。
これではただの痛い子だ。
「・・・早く家に帰ろう」
肩を落とすと、また、とぼとぼと歩き出した陽菜の耳に可笑しな音が聞こえた。
『・・・っ・・・・・ぁい・・・ぞむ。ゎれ・・・・・・・力を・・・すと・・・・・・・・・・ぅ・・』
「なにこれ」
咄嗟にその場に立ち止まり、耳を澄ませてみるものの音はよく聞き取れない。
いや。これは音じゃない。・・・声?歌ってるみたいだけど・・・・・。
こんな時間に私がいる場所に届くほどの大声で歌う人が、果たしているのだろうか?
いたとしたら、その人は間違いなく変人さんだ。
『・・・・繋が・・・・・・びら・・・・・・・・・・招きた・・・・・も・・・』
ドサリと教科書の詰まった鞄が肩から滑り落ちたが、そんなことはどうでも良かった。
歌に魅せられたように、私の身体はピクリとも動かなくなっていた。
陽菜の足元が、円を描くように青白い光を発した。
その円をよく見てみると、ビッシリと細かい文字で埋め尽くされている。
こ、これはまさか・・・!!
「魔法陣!?えっ嘘!本物?夢?」
慌てる陽菜を余所に、青白い光はさらに輝きを増していく。
「ちょっ!待って!たんま、たんま!!動け私ぃ!!」
陽菜の叫びに対して、身体の方は一向に動こうとしない。
まるで、私の身体じゃないみたい。
陽菜が泣き出しそうになった、その時―――
『おいで』
「――っ!」
陽菜は光に包まれた。