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00:prologue




太陽が眩しい季節。

友達もでき、部活も始まり、新しい生活にも慣れてきた。友達は明るく面白い子ばかりだし、バレー部の先輩は厳しいけどそれ以上に優しい。

この高校生活、なかなか好スタートを切れていると自分でも思う。これぞ順風満帆だ!!


そんなふうに考えていたのが、いけなかったのかもしれない。

水戸黄門も人生楽ありゃ苦もあるさと歌っていたではないか。・・・あれ?あれは別に黄門様が歌ってるわけじゃないんだっけ?ていうか、チョイス古いな、私。

・・・・・とにかく。良い事の後には悪い事がつきものなのである。



そんな訳で、私、佐久間陽菜さくまひなは只今絶賛異世界旅行中です。



どんな訳だ!・・・・・・・・さみしぃ







○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○







部活終わりの帰り道。

高校生となり、めでたく電車通学デビューを果たした私は駅から家までの短いようで長い道程みちのりを歩いていた。

辺りは既に暗く沈み、電灯の光だけが道路を微かに照らした。


「あぁ~・・・今日の部活も疲れたー!先輩厳しすぎ!」


陽菜の不満げな声が、人気のない道に響いた。

何だか不気味だ。

いつもはこんなに静かだったっけ?


「なんか変な感じ・・・。お、お化けとかでないよね?」


ガササッ


「ひいぃぃい!!」


風で揺れる葉の擦れる音に、過敏に反応してしまった。

は、恥ずかしい・・・。

1人でなにやってんだろ私。

これではただの痛い子だ。


「・・・早く家に帰ろう」


肩を落とすと、また、とぼとぼと歩き出した陽菜の耳に可笑しな音が聞こえた。


『・・・っ・・・・・ぁい・・・ぞむ。ゎれ・・・・・・・力を・・・すと・・・・・・・・・・ぅ・・』


「なにこれ」


咄嗟にその場に立ち止まり、耳を澄ませてみるものの音はよく聞き取れない。

いや。これは音じゃない。・・・声?歌ってるみたいだけど・・・・・。

こんな時間に私がいる場所に届くほどの大声で歌う人が、果たしているのだろうか?

いたとしたら、その人は間違いなく変人さんだ。


『・・・・繋が・・・・・・びら・・・・・・・・・・招きた・・・・・も・・・』


ドサリと教科書の詰まった鞄が肩から滑り落ちたが、そんなことはどうでも良かった。

歌に魅せられたように、私の身体はピクリとも動かなくなっていた。


陽菜の足元が、円を描くように青白い光を発した。

その円をよく見てみると、ビッシリと細かい文字で埋め尽くされている。

こ、これはまさか・・・!!


「魔法陣!?えっ嘘!本物?夢?」


慌てる陽菜を余所に、青白い光はさらに輝きを増していく。


「ちょっ!待って!たんま、たんま!!動け私ぃ!!」


陽菜の叫びに対して、身体の方は一向に動こうとしない。

まるで、私の身体じゃないみたい。

陽菜が泣き出しそうになった、その時―――


『おいで』


「――っ!」


陽菜は光に包まれた。







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