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12.オムライスとアイスティーとミントジュレップ

食堂に行くと、遥が何か食べていた。

皿を見る限り、どうやらオムライスを出してもらったようだ。

遥は俺達に気がつくと、光にはぺこりと頭を下げて、俺の事はじーっと睨んでいた。

何故⁈

お父さん悲しい!!!

光が近くにいたメイドさんに何か言って、遥の向かいの席に座ると、別のメイドさんが「お食事はいかがされますか?」と俺に聞いてくれたので「食事は遠慮します。何か冷たい飲み物があればお願いします。」と言うと、そのメイドさんが少し困ったように「朝食はお気に召されていたかと思うのですが・・・・。」と言うので、光を見ながら「空飛ぶ馬車に乗りまして・・・・、」と言ったら、メイドさんも光を一瞬見てから「そうでしたか。何かすっきりするお飲み物をお持ちしますね。」と言ってお辞儀をして、食堂の奥に向かって行った。

光の隣に座ると、遥はまだ俺をじーっと睨みながらオムライスを食べている。

「あ、あの、遥、さん?」

「・・・・。」

「えっ・・・・と、何故俺を睨んでいるんですかね?」

「・・・・空飛ぶ馬車って何?」

「えっ?ああ・・・・、その、光から説明してもらった方が良いかも・・・・。」

光が、え?僕?みたいな顔で俺と遥を見ている。

「俺より詳しいだろ?」と小声で言うと、光も小声で「それはそうだけど」と言って、「僕で良ければ」と遥に馬車の説明を始めた。

それを聞いている遥を見ると、俺を睨んでいた時とは全く違う、普段の可愛らしい顔をして光の説明を聞いている。

そんな遥は今、怪我の治療とやらで白木家にいる訳だが、確か昨日の昼に女の子が熊か何かに襲われたという話を光がしていた。

その女の子が遥という事なのだろうか?

しかし、10年前に遥が怪我をしたなんて事は記憶に無い。

全く無い。

同期のクソ上司に関する記憶は一切無いが、遥に関しての記憶には自信がある。

今朝エミさんは「緊急事態だった」と言っていたから、昨日怪我をした遥に、エミさんがあの治癒魔法を施したのなら確かに治ったのかもしれない。

しかし後遺症みたいなものは無いのだろうか?

そんな事を考えながら遥を見ていると、光の話が終わったのか、こちらの視線に気がついた遥にまた睨まれた。

何故⁈

お父さん遥を見ていただけだよ!!!

もう怪我は大丈夫なのか、もう痛くも痒くもないのか、昨日何があったのか、色々聞きたいだけだよ!!!


丁度食事を終えた遥にアイスティーを、光には先程遥が食べていたものと同じと思われるオムライスとアイスティーを、俺にはノンアルコールのミントジュレップをメイドさん達が出してくれた。

ストローで一口飲む。

鼻に抜けるミントの香りと、レモンと炭酸の爽快感と程よい甘さが体に沁み渡る。

思わず上を見上げてしまう。

美味い!

清涼感半端ないぜ!

気がつくと、メイドさん達がさりげなくだが、俺と遥を交互に見ている。

「どうかしましたか?」

俺が聞くと、メイドさん達の中で一番年上と思われるメイドさんが「大変失礼致しました。」と言って、俺のそばに来て小声で「先程奥様が遥様に仰った事が気になりまして・・・・」と更に小声で話してくれたのだが、要約すると、治療を終えた遥がエミさんに連れられて食堂にやってきたのだが、その際にエミさんが「ダイゴ君と遥ちゃんってどう言ったら良いか分からないのだけど、何か似てるのよね」と言って診療所に戻って行ったそうで、その後遥が何とも言えない顔をしていたそうだ。

そして、先程メイドさん達が俺と遥を見ていたのは、同じタイミングで上を見上げて、同じ顔をして幸せそうに飲み物を飲んでいたから、だそうだ。

やっぱり親子だもんな。

そういう所、似ちゃうのかもな。

俺は嬉しいけど、遥は嫌なのかもな・・・・。

あ!

いや、俺今お父さんの見た目じゃ無い!

見知らぬ年の近い男と似てるとか、嫌に決まってる!!!

そっと遥を見ると、遥は光と話している。

光はオムライスを食べ終えて、アイスティーを飲みながら遥に質問している。

「じゃあ御両親には何も・・・・?」

「昨日の本当の事は流石に言えないです。母には昨日お世話になったお家が診療所で、今日改めて診察してもらうと説明しています。」

ん?

んんん?

遥?

お父さんなーんにも聞いてないんだけど?

グラスの残り僅かなミントジュレップをずずず、とストローで吸う。

そういや氷が入って無いのに最後まで程良く冷えていた。

オムライスも美味しそうだったし、白木家は食事に拘りが強いんだろうか?

「あの辺りは立ち入り禁止にしたけど、学校の人達には?」

「顧問とは電話で話しましたけど、みんなは熊って思ってるみたいです。調査も中止になったので、部活も暫くお休みになりました。」

遥は高校で生物部に入っていた。

それは覚えている。

しかし、夏休みの部活が休みになった?

それなら家族で旅行にでも行けそうなものだが・・・・。

あ!

そうか!

クソ上司のせいで俺が大変だったあの時期か!!!

家に帰れなかったりした日もあったから、遥の一大事を知らずにいたのかもしれない。

改めてクソ上司への殺意が沸いてくるぜ。

殺意といえば、そう。

本来なら今日は遥を奪いに来た「光」との対決の日だったはず。

今俺の隣にいる光は俺の愛する遥と話しているが、会話の内容は昨日の遥の状況についての質問ばかりだ。

・・・・仕事じゃないんだから、もう少し高校生らしい会話をすれば良いのに。

マジでコイツが10年後俺と対決するのか?

「ん?ダイゴ?どうかした?」

どうやら光の横顔を睨んでいたようだ。

視線を感じたのでそちらに目を向けると、遥が俺を睨んでいた。

遥ー!

お願いだからお父さんを睨まないでー!!!


すっかり冬になってしまいましたが、物語は夏真っ盛りなので、季節感の違いもお楽しみいただければ幸いです。

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