勘違いの連鎖
お読み頂き有難う御座います。
罪深い勝手な男と、罪深い勝手な女のお話です。
昔々、少し昔。
王国では未だ女性の権利が守られておらず、男性の権利ばかりが有利だった頃。
ひとりの勇気ある貴族女性が、夫を説得し領内に学び舎を作りました。
他の貴族から嫌がらせや妨害が相次ぎ、領地ごと存亡の危機に瀕したことも二度や三度では有りません。
ですが、貴族女性は負けませんでした。何年も、何十年も耐え抜き、賛同者を僅かながらでも募り……学び舎で学んだ子供たちが次々と地方で学び舎を作り……遂には王都にまで学校を建てることが出来たのです。
その頃には、権威を持っていた男性達も認めざるを得ない、諸外国にも認められたとても立派な学校となっていました。
それから十数年が経ち。
ひとりの教師が、王都の貴族学校へと赴任してきます。
彼は、高貴な侯爵家の長男でした。
家紋の箒木のように濃いピンク色の瞳を持ち、容姿は麗しく、物腰柔らか。
ですが、知識は大して持ち合わせていないのでした。
それなのに何故、貴族学校の教師となれたのか。
名家の長男なのに、とても素行が悪くて家を継げなかったのです。厄介払いのように、親族に教師としてねじ込まれたのでした。
学校に勤める前の彼の恋の相手は、暇を持て余した夫人ばかり。
社交界に出る前の少女達は、趣味では無い筈でした。
しかし、教師として慣れた頃。
男は、とうとう少女に手を伸ばします。彼の末の妹よりもうら若い下級貴族の少女でした。
辛い目に遭った少女が騒ぎ立てて表沙汰になりそうになった時。
実家の力を振りかざし泣き寝入りさせて、味を占めるのです。
何人も、何人も……。
流石に侯爵家である実家の父親も堪りかね、庇いきれないと男を監禁し辞めさせようとした時。
なんとそんな彼に、恋をした少女がいました。
「ねえ、先生。私と結婚して」
そう言った彼女は婚約者持ちでした。ですが、男は欲望のまま手を出します。
少女は喜びました。
「ねえ、先生。もう私だけよね? 私を領地に連れて行って、お嫁さんにして。先生の為に尽くすわ」
しかし男は冷たく言いました。
君みたいな肩幅のあるふくよかな娘は好きじゃない、と。
散々遊んでおいて、手酷く棄てようとしたのです。
しかし、少女は諦めませんでした。
世界にこの下種な男しかいないかのように、学校から教師の男が放逐されても、執拗に思い続けました。
醜聞を消すように、他の男の後妻として結婚させられても。
夫と関係を築くことをしませんでした。
夫が領地に行っているのを幸いに、初恋の教師の男と似た若い男を囲い、浮気をしたのです。
ですが、生まれ落ちた子供は女の特徴が濃かったので、夫は特に責める事もありませんでした。
関係は冷え切っていて、夫にも愛人が居たのです。
そしてそれから後、女は病を得ました。乱倫のせいだったのか、子供はもう望めないと。
女は絶望し、療養を余儀なくされました。
都合の悪いことから目を逸らしなあなあで済まされ、年月は経ち。
生まれ落ちた子供が連れてきた不貞相手の平民の少女に、女は歓喜します。
愛する彼が、回り回って私の腕に戻ってくるかもしれない。
唸るような量の素晴らしい名家の財産と共に。
ダメ教師ことレレンレーノの馬鹿長男の好みは、年齢問わずスレンダーで中性的な女性らしいです。




