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閑話 加護と性格の関連性

 私が今回主張したいのは、「加護と性格の関連性について」だ。

 しかし、加護に関する研究は、あまり大衆向けではない。

 その理由は、加護というのは「どの魔法属性を使用出来るかの違いである」と、既に結論が成されている為だ。

 では、研究する価値が全く無いのかと問われれば、そんなことはない。加護には解明されていない部分が残されている、と私は考えるからだ。

 そして解明されていない部分の一端として、今回私は「加護と性格の関連性」に着目した。


 加護というのは知っての通り、【火】【水】【風】【土】【光】【闇】の六属性の内、何れかを神から与えられる物だ。

 人によっては複数の属性の加護を与えられる者もいるが、先ずは一つ一つの属性が、どのように性格に影響を及ぼしているかを明らかにしていこうと思う。

 そこで、説明するに先立って、一つの事例を紹介したい。


 先ず、特定の加護属性を授かり易い種がいる、というのは有名な話だ。

 第二の人類種である『耳長エルダ』は【風】の加護を授かり易く、また、第三の人類種である『小人ダーフ』は【火】や【土】の加護を授かり易いとされている。

 ちなみに『魔族』には【闇】の加護を持つ者が多いと言われたりもするが、これに関して実状は定かではない。

 偶々歴史に名を連ねた魔族が【闇】の加護を持っていた為に生まれた俗説とされる向きもあり、真偽の程は明らかにされていない。


 無論、重要なのはここからである。


 種族的に【風】の加護を持つ確率の高い『耳長エルダ』の多くは、自由な気質を尊ぶ傾向にある。

 同様に【火】及び【土】の加護を持つ確率の高い『小人ダーフ』の多くは職人気質、つまり厳格である傾向が強い。

 これらの例を見れば、性格に影響を及ぼす“可能性”は、少なくとも否定は出来ないはずだ。


 加護によって受けるのは、本当に魔法の属性だけなのだろうか、という疑問から、私はこの研究をするに至り、そして一つの確証を得た。


 【火】の加護を持つ者は「熱心で苛烈」、【水】の加護を持つ者は「冷静で気弱」【風】の加護を持つ者は「活発で奔放」、【土】の加護を持つ者は「温厚で厳格」。

 これが私の導き出した答えである。


 【光】と【闇】の加護に関してはサンプルが少ないので、確かな事は言えないが。

 それでも、【光】の加護を持つ者には「陽気である」という面があるし、【闇】の加護を持つ者には「陰気である」という面が少なからず存在している。

 また、空間魔法のように、六属性に分類されない特殊な加護を持つケースもある為、それらの影響があるか否かについても、検証の必要はあるだろう。


 それらの加護は、先にも述べた通り、一人に一つだけ与えられる訳ではない。

 中には三つ、四つの加護を持つ者もいれば、眉唾ではあるが過去に六属性すべての加護を持った者がいたという話も聞く。


 なのでこれらは、あくまで性格の一面を捉えてはいるが、それが全てであるとは言い切れない。

 それに、風聞ではあるが、とある血筋にのみ発現する加護があるという話も耳にしたことがある。しかし、何せ秘匿されているものなので、これも確証は得られていない。

 更には本人が気付いていないだけで、別の加護を持っている可能性も否定し切れないのだから、研究の進捗はあまり多くを望めないのである。

 しかし加護と性格を関連付ける為のサンプルが少ないのは承知の上だ。私はこの研究を生涯かけて続けて行く所存である。


 さて。ではここで、加護と性格の関連について、過去の偉人と照らし合わせて考えてみたいと思う。


 例えば、聖王国リグランティオの建国王イージルティス・アルザハート・リグランティオは、【火】の加護を授かっていたという記録が残されている。

 加護と性格表に於いては「熱心で苛烈」ということになるが、国を作ってしまえるような大人物には、そのような性格であっても不思議はない。


 例えば、魔獣研究の第一人者として知られるグランジー・シルヴァ・エイスニードだが、彼は変人であったという話も有名である。

 彼が持っていたとされる加護は【風】と【土】であり、私の考案した加護と性格表に照らし合わせると、「活発で奔放」「冷静で厳格」という性質を併せ持っていたはずだ。

 もっとも、あくまで性格の一面であり、それら全ての性質を一時に発揮していた訳ではないのであろうが、それでも「変わった性格」と言われれば頷けるものだ。

 そもそも、「【火】と【水】」「【風】と【土】」「【光】と【闇】」は、互いに相反する属性とされていて、同時に加護を授かること自体が、極々稀なのである。

 そういった意味でも、【風】と【土】の加護を同時に持つグランジー・シルヴァが変人であったという話は、大いに納得がいくものである。


 無論それらの例を実際に検証することは、今を生きる我々には不可能である。

 だが、自分自身や身近な者を思い返して考えて欲しい。

 私の提唱する「加護と性格の関連性」を完全に否定出来る者は、いないのではなかろうか。


 更に私は、この研究を進めるに当たって、一つの疑問を抱くことになった。

 それは、加護が性格に影響を及ぼしているということはないだろうか、という純粋な疑問である。


 加護というのは「生まれた時に与えられる物」と結論付けられているが、果たしてそれは本当に正しいのだろうか。

 後天的に加護を授かった者は、本当に誰一人いないのであろうか。


 そして、加護を授かったから性格に影響を受けたのか、元の性格がそうだったから加護を授かったのか。

 これは所謂、「卵が先かコケ鳥が先か」という論調ではあるが、どちらが正解であるのかは、私が今後研究を続ける上で明らかにしたい命題である。


 もし仮に後天的に加護を授かった者がいたとしよう。

 しかし、そのような事例は過去に例がないし、もしそのような事例があったとしても、「生まれた時に与えられる物」とされるのが一般的である故に、「生まれ持った加護に気付かなかっただけだ」と否定される可能性は非常に高い。

 であれば、「生まれた時に与えられる物」という前提からして、本当に正しいのかを改めて検証すべきではないだろうか。

 そうすれば、この度の研究は、神より授かった加護に関して、より正確な理解を示す一助になるはずである。


 願わくば、私の寿命が尽きる前に、この研究を完成させたいものだ。

 しかしそれが叶わない場合には、誰かが私の研究を引き継いでくれることを願い、ここに研究の一部を発表しようと思った次第である。






~『属性研究・奇論集 加護と性格の関連性』より抜粋~

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