第8話:登山開始
カシス山でのチームワーク適性検査。
現在、午後2時ちょい過ぎ。
そして、今日の日の入りは4時頃。
つまり、タイムリミットは約2時間。
カシス山は約400メートルの山。普通に登れば2時間はかからない。
「あ、あれは!」
登山開始から2分、スイナ達青チームは先頭にスイナ、次にクシィ、サノン、イーマーラ、そしてしんがりにウェルクと言うフォーメーションで登山をしていた。
そして、先頭を歩いていたスイナが何かを発見した。
「どうした?」
クシィはスイナの異変に気付く。
「みんな止まって!」
スイナは小声で皆を静止させる。
「な、なんだね?」
イーマーラは腰のホルダーからダガーを取り出し、辺りを確認。
「・・・あそこに“屍騎士”がいる」
「屍騎士?」
屍騎士とは、屍馬に屍がくっついた悪魔。
分かりやすく説明すると、神話とかにでてくる〔ケンタウルス〕とほぼ同じ、下半身が屍馬、上半身が屍の悪魔だ。
「どうする?屍騎士、2、3体はいるみたいだけど・・・」
「・・・ここはスルーした方がええんちゃう?」
クシィは回避を提案。少しばかり遠回りになるが、安全に登山できる。
「いや、ここは奴らを倒すべきだ。さっさと倒してさっさと山頂に行こうではないか、庶民よ!」
イーマーラは倒す事を提案。
「サノンとウェルクは?」
名前うろ覚えのスイナ。少し小声で質問。
「・・・どっちでも」
「・・・・・」
対して意見にならない・・・
「・・・じゃあ、倒しますか?」
クシィは背中から弓を取り出した。
「フハハハハ、庶民は僕の意見についてくれば良いのだ!」
イーマーラはダガーを構え、屍騎士に向かい一直線。
「あ、ちょっと待って!!」
スイナはある事に気付き、イーマーラを呼び止める。しかし、イーマーラは屍騎士に向かいダッシュ!
「どうしたスイナ?俺らもはよ行こうや」
「ち、違う!ほら、あそこ、屍騎士のすぐ側の茂みの中!」
「ん?」
クシィはスイナに指摘され、その茂みの中に目をやる。
「あれは・・・」
その茂みからはにょろっと、キノコみたいなものが二つ。
「あれ“木巨人”の触感じゃない?」
木巨人とは、木に憑依する悪魔の一種で、大きさは手の平サイズ。しかし・・・
「木巨人のあの触感から出される胞子を吸い込むと、体が麻痺しちゃって動けなくなっちゃうんだよ!?」
「って事は・・・」
木巨人の胞子をイーマーラが吸い込む=麻痺してイーマーラダウン=屍騎士の餌食に・・・
「ヤバイやん!!」
「ね、ヤバイでしょ」
ヤバイ、ヤバイと焦る二人。
そして見事に・・・
「あれ?体が動かんな?なんだ?」
遠くから聞こえたイーマーラの声。
「うぐっ・・・な、何なんだコレ・・・ってうわぁ〜!?」
屍騎士がゆっくりとイーマーラの前へ・・・
「へ!?ま、ちょっ、ちょっと待って!?」
イーマーラ大ピンチ!
「クシィ、早く助けに行こう!!」
「待てスイナ、今俺らが行ったらあの貴族の二の舞やで!」
「で、でも・・・」
このテストは五人揃わないとクリア出来ない。
つまり、今ここでイーマーラがリタイアの発煙筒を投げでもしたら・・・
「まだ、リタイアはしたくない!」
しかし・・・どうしようか・・・
「・・・ッチ」
その時、スイナの背後で舌打ちが。
「ったく、だりーな」
「う、ウェルク!?」
そこにいたのはウェルクだった。
「貴族のボンボンなんてどうでもいいが・・・これはテストだ。仕方ない」
するとウェルクは鞘から太刀を抜く。
スー・・・っと銀色に輝く太刀。
「うぇ、ウェルク!あそこに木巨人が・・・」
スイナの忠告無視。
かなりの速さで屍騎士に突っ込んでいくウェルク、右手には太刀。
「おお庶民、早く僕を助けてくれ!」
イーマーラは木巨人の胞子のせいで直立不動状態、目の前には屍騎士が三体に木巨人の触感。
「・・・・・」
ウェルクは先に木巨人に狙いを定める。
そして・・・
「四天流“雨”『霧雨』!!」
その時だった。
スイナの目に映ったのは無数の刀。
まるで霧雨のように薄く、雨水のように大量の刀、そしてそれは木巨人を一瞬で貫いた。
「凄いなぁ、刀の残像が見えるわぁ〜!」
と、言うのがクシィの感想。
木巨人はあっという間に滅された。
「うおっ!!」
それに伴い、イーマーラの麻痺が解けた。
そして、ウェルクの次の獲物は屍騎士。
「四天流“雪”『吹雪』!!」
ウェルクは右足を軸に太刀を水平にし、踏ん張りながら強烈な一撃を屍騎士の右側に入れた。
「グヒッ!!」
今の一撃で屍騎士一体を撃破。
しかし、残りの体はウェルクを挟み撃ち。
「グヒヒ!!」
奇妙な声を上げながら、屍騎士は自らの武器である鋭い爪を立て、ウェルクに襲い掛かる。
しかし
「めんど・・・仕方ない、一撃で行くか」
ウェルクは太刀を逆手で持ち、
「四天流“雪”『霙』!!」
ウェルクは太刀を逆手持ちしながら、勢いよくクルッと回転。
太刀の刃は見事に屍騎士の体を斬り裂いた。
辺りには屍騎士の体液が飛び散った。
「うわっ!!」
その体液の一部はイーマーラを直撃。
「ぎゃ〜!!臭っさいコレ!!」
しかし、ウェルクには体液がかからない。
そして、彼の目の前には、屍騎士の最後の姿があった。
「すご・・・」
遠くから観戦していたスイナは驚嘆の声を上げた。
まさに10秒、10秒で四体の悪魔が滅された。
「あれが天候を模して作られた流派『四天流』か・・・」
クシィは興味深げにながめている。
「・・・四天流、か・・・」
サノンはただ、ずーっとウェルクを眺めていた。
さて、もうすぐ卒業式シーズンですね。
卒業式と言ったらやっぱり「♪白い光りの中に〜」ですよね?
何かアレを聞くと、自分達の卒業式でなくてもジ〜ンときませんか?え、来ない?
・・・ってあれ?そう言えばこの曲のタイトルってなんだっけ?あれ?
ど、ど忘れした〜!!
で、次回、スイナ達は見事登頂できるのかっ!?




