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第1話:邂逅

「学園系」と言うジャンルに引かれて来たソコのあなた!

すみません、第1話には学園要素0です。




このストーリーは、一人の少女が退魔師を目指して成長していく過程を書いたダークファンタジー物です。つたない文ですが、読んで頂けたら嬉しいです。

 

 「誰かたすけて!」

 

 彼女は暗い夜道を走りながら叫んだ。

 

 満月の月明かりに照らされている彼女の顔には、涙が溢れていた。

 

 彼女はまだ子供。年は12、13歳くらいだろうか、明るく短い茶色の髪はボサボサ、紅く透き通るような瞳からは大量の涙、顔は涙でグシャグシャだが、多分、泣いていなければとても可愛いらしい顔だろう。 

 結構小柄、そしてガリガリに痩せている細い体型の彼女が着用している物といえば、麻でできたボロボロのワンピースのみ。

 靴等は履いておらず、裸足。

 

 彼女は、何かに追われていた。

 

 黒い大きな体、真っ赤で濁るような目、手からは鋭い爪が生えており、大きな口、四足歩行の悍ましい生物。

 

 「誰か、誰かぁ」

 

 彼女は必死に叫んだ。大きな声で。

 しかし、ここは人里離れた〔モルフォの森〕。

 どれだけ叫んでも人はいない。

 

 「誰か助け・・・っきゃ!!」

 

 ドサっ!!

 

 彼女は叫ぶのに夢中で足元の木の根に気づかず、それに躓き転倒。

 

 「痛っ・・・」

 

 彼女は顔を上げる。

 

 目の前には、あの黒い悍ましい生物。

 大きな口からはヨダレが垂れている。

 

 (いや、まだ死にたくない・・・)

 

 彼女の口は恐怖でカチカチと鳴っている。

 瞳からは相変わらず大粒の涙。

 

 「ガルルル!!!」

 

 黒い生物は唸りながら彼女に接近、彼女の頭には生物の唾液が掛かる。

 

 (あ、足が動かない・・・)

 

 彼女は逃げようとするも、恐怖で足が動かない。

 

 (いや、いや、まだ生きたい・・・)

 

 「ガオオオォォォォォォォ!!!」

 

 生物が一際大きな雄叫びを上げた。

 

 (食べられる!!)

 

 彼女は両手で頭を抱え込み、その場でうずくまる。 

 体は震え、口からは嗚咽、もう死を覚悟した。

 

 「ガオオオオォォォォォォォ!!」

 

 黒い生物が彼女を食べようとした

 その時・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 「メティオ!!」

 

 凜とした、女性の声がした。

 

 そして、それは突然起こった。

 

 ボン!!

 

 突然、生物の口が爆発したのだ。

 

 「ガォォォォォ!?」

 

 黒い生物の口は今、真っ赤に燃えている。

 

 彼女は、恐る恐る目を開けた。

 

 目の前には、ぐったりと燃え倒れているあの黒い生物、そして隣には白いコートを着た女性が立っていた。

 

 「あなた、怪我はない?」

 

 女性の目線は燃えている黒い生物に向けられているが、声は彼女に向けられていた。

 

 彼女は何が起きたのか理解していない。

 

 その時

 

 「はぁ、はぁ・・・セルフィお前早過ぎだ」

 

 遠くの方から、黒いコートを着た男性が走ってきた。

 

 「リュイルが遅いだけ」 

 白いコートを着た女性―――セルフィは、今走って来た黒いコートの男性―――リュイルに向かいしれっと言った。

 

 「はぁ?どうせお前、魔法陣使ったんだろ?卑怯だ!!」

 

 「魔法陣、それは魔法師マージの移動手段。聖剣師エスカトルとは違う」

 

 二人は彼女をほっといて口喧嘩を始めた。

 

 桜色の長い髪、キリッとした藍色の瞳、色白の肌、恐らく十代後半だと思われるセルフィ。

 

 濃い青色の短い髪、真ん丸の大きな瞳、色黒の肌、恐らくセルフィと同じで十代後半だと思われるリュイル。

 

 二人はそれぞれ白、黒と別々の色のコートを着ていたが、二つとも右肩の辺りになにやらおかしなマークが。

 

 

 

 

 「あ、あの・・・」

 

 彼女は恐る恐る口喧嘩中の二人に話掛ける。

 

 「あ!?」

 

 リュイルはセルフィとの口喧嘩を中断し、彼女の方を見た。

 

 「あんた、名前は?」

 

 リュイルは彼女に聞いた。

 

 「・・・スイナ」

 

 彼女―――スイナは呟いた。

 

 「スイナ、怪我はねぇか?」

 

 リュイルはスイナの体をじろじろと見る。

 

 その間、スイナはずーっとだまりっぱなし。

 

 「・・・怪我は無いみたいだな。スイナ、お前早く家に帰りな」

 

 リュイルはスイナから目線を満月の空にむける。

 

 ザワザワザワ・・・

 

 夜風が木々を揺らす。

 

 リュイルとセルフィは二人共空を見ている。

 

 スイナは何故か、背中がゾクッとした。

 

 「スイナ、早く帰れ、早く!!」

 

 リュイルは強い口調でスイナに話す。

 

 「え!?」

 

 「いいから早く・・・っ!!」

 

 ガァーーーー!!

 

 何処からか何かの鳴き声らしき音が聞こえた。

 

 「リュイル、多分ガーゴイルの群れ」

 

 セルフィは空を見ながら呟く。

 

 「ガーゴイルか・・・聖剣師の俺じゃ相性が悪い。悪いけどセルフィ、任せていいか?」

 

 リュイルは地面に座り込んでいるスイナをおんぶしながら言った。

 

 「わっ・・・ちょっと・・・」

 

 突然のおんぶに戸惑うスイナ。

 

 「ガーゴイルは私の得意分野。任せて」

 

 セルフィはそう言うと、コートのポケットから一枚のお札を取り出した。

 

 「任せる!」

 

 リュイルはそう言い、スイナをおんぶしながら走り出した。

 

 

 

 

 

 「スイナ、家はどっちだ!?」

 

 「・・・そこを右」

 

 リュイルは言われた通りに右に曲がる。

 

 「あの・・・」

 

 スイナは聞いた。

 

 「あなた達は・・・?」 

 「俺ら?」

 

 リュイルは走りながら喋る。

 

 「俺らは退魔師。さっきの黒い奴みたいな(悪魔)をやっつけるのが仕事なんだ」

 

 「悪魔・・・?」

 

 スイナは不思議そうに呟く。

 

 「悪魔を知らないの?

悪魔ってのは、人々を無差別に襲うモンスター達の事だよ。例えば、さっきの黒い生物なんかは悪魔〔キタベルス〕って言うんだ」

 

 「キタベルス・・・」

 

 「そう。俺ら退魔師ってのは、そう言った悪魔から一般市民を守る事が仕事なの」

 

 そう言い終えた瞬間、リュイルは急に止まった。

 

 「ど、どうしたの?」

 

 スイナは恐る恐る聞いた。

 

 月明かりに照らされているリュイルの顔は、驚きの表情をしていた。

 

 「先、越されたか」

 

 それを聞いたスイナは、何かの気配を感じ、空を見た。

 そして、スイナは驚いた。

 

 今、スイナ達の上空には一匹のでっかいコウモリみたいな生物が佇んでいた。 

 黒くシャープな体型、長細い口からは無数の牙が生え、羽は鋭く、目は金色に輝いている。

 

 「ガーゴイル」

 

 リュイルはそう呟いた。

 

 「・・・おっきいコウモリ?」

 

 スイナはガーゴイルを見ながら呟く。

 

 「スイナ、悪いけど少し降りてて」

 

 そう言うとリュイルは地面に片膝をついた。

 スイナは何も言わずそっとリュイルから降りた。

 

 リュイルはスイナが降りた事を確認すると、その場で立ち上がり、コートの内側、腰の辺りに下げてある鞘から剣を抜いた。

 

 「剣?」

 

 スイナは不思議に思い、リュイルに聞いた。

 

 「さっきの女の人は紙切れを持っていたよ?」

 

 「あ、ああ。退魔師には二種類あって、セルフィは魔法師マージで俺は聖剣師エスカトルだからな、当然だ」

 

 「マージ?エスカトル?」

 

 「んだよもう、魔法師ってのは魔法や術、札で戦う奴の事で白いコートを着てるんだ。

 で、聖剣師ってのは剣や槍、弓で戦う人の事で黒いコートを着ている」

 

 「ふ〜ん・・・」

 

 「分かったなら木の陰にでも隠れていろ」

 

 リュイルはそう言うとシルバーに輝く西洋剣をガーゴイルに向けて構えた。

 

 スイナは言われた通りに木の陰に隠れた。

 

 「ガァーーーーー!」

 

 ガーゴイルは思いっ切り雄叫びを上げると、リュイル目掛けて突っ込んで来た。

 

 「来るか?」

 

 リュイルは剣を垂直に立て、ガーゴイルの突進に備える。

 

 「くそっ、今日は満月とは言え、この夜の闇じゃガーゴイルの姿が確認しずらい」

 

 リュイルは一旦後ろに下がる。

 ガーゴイルはリュイルが元いた場所に突っ込んだ。 

 バシャッ!!

 

 「今だ!!」

 

 リュイルは地面に着陸したガーゴイルに向かい剣を奮う。

 

 しかし、ガーゴイルはすぐに離陸、あと少しの所でリュイルの剣をかわした。 

 「くそっ・・・」

 

 相手が空中にいる以上、剣士のリュイルの攻撃は当たらない。

 

 「ガァーーーーー!」

 

 ガーゴイルは再び雄叫びを上げ、またリュイル目掛けて突っ込む。

 ガーゴイルの攻撃方法は爪と牙。そのため、奴が攻撃をする時は必ず相手に接近する。

 

 「来いよ!」

 

 今度もまた後ろに下がるリュイル。聖剣師がガーゴイルと戦う場合、ガーゴイルの攻撃を外させてから叩くのがセオリー。

 

 ガーゴイルは再びリュイル目掛けて突っ込んで来た。

 しかし、リュイルはそれをかわす。

 そして、地面に着陸したガーゴイル目掛けて再び剣を振った。

 

 グサッ!!

 

 ガーゴイルは見事真っ二つに。

 

 「ふぅ・・・」

 

 リュイルはガーゴイルの死骸を見ながら剣を鞘にしまう。

 

 「スイナ、もう出て来ていいぞ」

 

 その声にスイナは近くの木の陰からひょっこりと顔を出した。

 

 「・・・すごい」

 

 木の陰から出て来たスイナの第一声がコレ。

 

 「まあな、退魔師なるもの、このくらいの力がなくちゃ、やってけねぇよ」

 

 リュイルは得意げに話す。

 

 スイナはリュイルではなく“退魔師”に深い憧れを持った。

 

 (凄い・・・私にもあんな力があったら・・・)

 

 悪魔から人々の安全を守り、戦う退魔師・・・

 

 スイナが感銘に浸っていると、突然、目の前の大地が丸く光り出した。

 

 「えっ・・・!」

 

 約一メートルほどの光る円。

 そこから、一瞬にしてセルフィが現れた。

 

 「うわぁっ!!」

 

 驚きのあまりその場で尻餅をついたスイナ。

 

 「なんだセルフィ、もう終わったのか?」

 

 すると、セルフィの登場を静観していたリュイルがつまらなそうに聞いた。

 

 「ええ、大量のガーゴイルをまとめて結界に入れて滅したわ」

 

 「相変わらず恐ろしい話だね」

 

 リュイルはそう言うと、今度はスイナに話し掛ける。

 

 「さて、とりあえずはスイナを家まで送りますか!スイナ、もう歩けるよな?」

 

 スイナは軽く頷く。

 

 「じゃ、行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここはガナール大陸。

 広い島のような大陸で、楕円形のような形をしている。

 そして、このガナール大陸には、三つの国がある。

 

 島の南側、イガザ国

  漁業が盛んな海の国。治安が良く、平和。

 三つの国の中で一番悪魔が現れないことで有名。

 昔から海での生活が盛んなため、国の民達は周りから「海の民」と呼ばれている。

 国は南側にあるため、日照時間が長く、民のほとんどは色黒の肌をしている。

 

 

 

 島の北側、トゲラ帝国

 最も人口が多く、最も文明が発達している国。

 国のあちこちには大きな街があり、民はとても裕福な生活をしている。

 三国中、唯一貴族政治が行われている事で有名。

 街は多くの人工物で出来ているため、民は「鉄の民」と呼ばれている。

 国自体が北側にあるため、毎年積雪がすごく、民の肌は白い。

 

 

 

 

 

 島の中央、ホラエラ共和国。

 国のほとんどが山の国。 昔、ホラエラとトゲラは戦争を起こしており、ホラエラは敗北、つい最近までホラエラはトゲラの奴隷国になっていた。

 そのためか、ホラエラの民「山の民」はトゲラとイガザから差別を受けており、奴隷制度が無くなった今でも山の民は嫌われている。

 そして、今現在国には王が不在なため、政治は崩れ落ち、民達は非常に貧相な生活を強いられている。

 盗賊が現れたり、餓死者が出たり・・・

 民の肌の色は黄色。

 

 

 

 

 

 ここ、モルフォの森はトゲラとホラエラの境界にある森。

 

 「・・・ここ」

 

 スイナに連れられ、リュイルとセルフィが着いたのは一件の木の家。

 あちらこちらにシミが出来ており、今にも崩れ落ちそうな家。

 

 (スイナって、山の民だったんだな)

 

 リュイルは思った。

 

 ここはぎりぎりでホラエラ共和国。

 スイナの服装から、大体は予想していたが・・・

 

 「スイナ、両親は?」

 

 セルフィが家の明かりがついていない事を指摘しながら聞いた。

 

 「お父さんもお母さんも、もう死んじゃったんだ。毎日ご飯が食べられなくて・・・・・・」

 

 スイナの目には、うっすらと涙が。

 

 「ごめんなさい、私、つらい事聞いちゃったわね」 

 セルフィは軽く頭を下げる。

 

 「いいの」

 

 スイナは改めて二人を見る。

 

 「今日はありがとうございました」

 

 スイナは深々と頭を下げた。

 

 「いや、こっちもコレが仕事だからな」

 

 リュイルは頭をかきながら言う。

 

 「スイナ、今何歳?」

 

 「えっと、今年で13です」

 

 「13歳で一人暮らしか・・・凄いな」

 

 リュイルはイガザ出身、13歳の頃は海に潜ってばかりだった気がする。

 ちなみに、現在リュイルは18歳、セルフィは17歳。

 

 「じゃ、俺らもう時間だから行くな!」

 

 リュイルは腕時計を見た。そろそろ戻らないとヤバイ時間だ。

 

 「・・・・・」

 

 その言葉を聞き、スイナは黙り込んでしまった。

 

 「スイナ、この辺りに他の家は?」

 

 セルフィが一応聞いてみた。

 

 「ない・・・です」

 

 元気なさ気に答えるスイナ。

 

 やはり・・・と、セルフィは思った。この子は孤独なんだと・・・

 

 ガーゴイルに襲われた時、普通だったら恐怖で強張った表情をするのが当たり前だが、スイナは笑っていた。

 まるで、友達と何かして遊んでいる子供のように・・・

 それは、きっと久しぶりに人と接し、会話をしたから・・・

 

 そして今、スイナはまた孤独と差別の世界に戻ろうとしている・・・

 

 「スイナ、あなた、退魔師になりなさい」

 

 「え!?」

 

 突然の事に戸惑うスイナ。

 

 「今から沢山勉強して、退魔師になりなさい」

 

 セルフィは思った。

 

 スイナが生き生きと生活するには目標が必要なんだと。

 人生何にもなければつまらない。なら、目標を作ればいい。

 目標があれば人はそれに向かって頑張れる。


 「私が・・・退魔師」

 

 「そう、スイナ、リュイルの戦い見たでしょ?退魔師は人々の命を悪魔から守る仕事なの。スイナ、その気があればなってみなよ」

 

 

 

 セルフィがニッコリと微笑んだ。

 

 (あ、セルフィが笑った。珍しいな)

 

 リュイルはそんな事を思っていた。

 

 「私が退魔師・・・私、退魔師になりたい」

 

 スイナの瞳が輝いた。まるで、死んでいた目が再び生きだしたかのように。

 

 「私、退魔師になって、いっぱい人を救いたい。セルフィさんとリュイルさんが私を助けてくれたように!」

 

 その言葉にリュイルは軽く照れ、セルフィはさらに笑った。

 

 「頑張って、退魔師になったら、また何処かで会えると思う。私達、待ってるからね」

 

 そう言うと、セルフィはその場に魔法陣を出した。 

 「スイナ、あなたの性は?」

 

 「スイナ・カラタです、セルフィさんは?」

 

 「私はセルフィ・オーガバル。じゃあね、スイナ」 

 セルフィは魔法陣の光と共に消えた。

 ほんの一瞬だった。

 

 「さてと、俺も帰るかな」

 

 リュイルはコートを羽織い直す。

 

 「俺はリュイル・ネミリア。じゃあなスイナ、頑張れよ」

 

 「はい、リュイルさん、ありがとうございました」 

 リュイルは右手を軽く上げると、スッと去って行った。

 

 

 「お父さん、お母さん、私、やっと目標ができたよ!!

 

 私、退魔師になる!」

この小説は多分、不定期更新になると思います。

なにしろ、メインで書いている小説がコレとはまた別にありまして・・・


すみませんが、そう言う事で。


では、また次回で!

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