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布団が吹っ飛ぶようになった世界

作者: 青水

 ある日、布団が吹っ飛ぶようになった。原因はわからない。布団が吹っ飛んだ、という有名なダジャレが日本にはあるが、これが現実のものとなると笑い事では済まない。

 人々が布団で寝ようとすると――あるいは、寝ているときに――布団が吹っ飛んで、寝ていた人は天井に叩きつけられて重傷を負う。死人だってたくさん出ている。

 布団が吹っ飛ぶようになったので、人々は布団で寝られなくなった。布団以外であるならば普通に寝られるのだが、布団と比べるとぐっすりとは眠れない。疲れが取れない。気力が下がっていった。

 布団で寝られることがどれほどすばらしく恵まれていたのかを、人々は思い知った。失ってから気づくのだ、布団のすばらしさに。

 やがて、意地でも布団で寝ようとする勢力が現れた。彼らは外に大量の布団を敷いて、吹っ飛ぶこともエンターテインメントとして、楽しむことにした。落下の衝撃で死ぬ者も多々いたが気にしない。

 根本的な解決はいつまで経っても訪れない。きっと、もう二度と、布団での安眠を得ることはかなわないのだ。しかし、それでも、かなわない夢を追いかけ続ける者たちがいる。彼らのことをせせら笑うことなどできない。

 今日も世界のどこかで布団が吹っ飛んでいる。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 何もしていないのに布団が飛んでいくなんて、中々シュールな光景ですね。でも、確かに布団で眠れないのは辛そうです。それでも、飛ぶこと自体を楽しもうとする人がいるなんて、逞しいなと思いました。
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