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71 直感は第六感、魔力感覚は第七感

「両者、共に入場せよ!」


 ゴブリンの言葉も聞き慣れて、耳にすんなり入るようになって来た。

 司会進行のゴブリンの声だろうか。

 小屋の外から呼び出しが掛かったので、会場に出よう。


「スラ子、荷物の管理よろしくね」


「ほんとうに、ついていかなくていいの?」


「いや、まあ。居てくれた方がありがたいけど」


 そこらの雑魚ゴブリンならともかく。

 エスタくらいの、あからさまに強い奴ならスラ子の存在を看破してくるかもしれない。

 そうなったら、一発で反則負けになるだろう。


「それに、勝てないと決まったわけじゃあないでしょう」


 まあ、勝っても負けてもオイシイと思っているけど。


「ドクター」


「うん?」


「がんばってね」


「ほいほい」


 指を三本立てて手をひらひら振ると、ドアに手をかける。

 壊れそうな蝶番に気を付けつつ開けた。


 地面に埋まった巨大なすり鉢状の舞台が目に入る。

 外野にはゴブリンが観客となって並び、対戦相手となるゴブリンに野次を飛ばしていた。


 一メートル程の高さから飛び降りて会場入りをする。

 普段から使われているのか、地面は踏みしめられている。

 広さはボクシングのリングを倍にしたくらいかな?

 上から見るとそうでもないが、降りると案外広い。


 石ころの類は綺麗に掃除されていて、つぶての投擲や砂の目つぶしは無理かな。


「遅かったな、逃げたのかと思ったぞ」


 えっ、なんだって?

 野次がうるさくて、声が途切れて聞こえるわ。


「よろしくね」


 相手を見ると、エスタ程ではないが屈強な体格。

 姿勢は悪いが、直立したら人間のボディビルダーのように見えるかもしれない。

 体重も150キロはいかないくらいだろうか。

 力に偏った身体に見えるが、実際どれだけの動きが出来るかは未知数。

 下も平常時なのに結構でかいなあ。


「くくく……」


 何で笑った?

 とりあえず、まだ終えてなかった柔軟体操をする。

 女の子の身体は柔軟で、あらゆる動きに対応できるのがとても良い。

 立ったまま、かかと落としの要領で片足を上げ、ふとももを手で抱えるように引き寄せる。


 うーん、どうも観客の反応が悪いなあ。

 全裸のI字バランスなんて、そうそう観られるものじゃあ無いですよ?

 これはあれか、ゴブリンのそそられるポイントが人間とは違うのか。

 控室のゴブリンのように、個人差はあるようだけど。


 でも、エスタは人間の娘を相手に繁殖できると言ってたよね。

 この世界のゴブリンは、性欲よりも繁殖欲の方が重要なのかな。

 年中発情してる種族は少数って聞いた事があるけど、ゴブリンにそれは当てはまらないって事かも。

 義務的に生殖行動をとるゴブリン……やば、想像したら笑えてきた。


「では、始める」


 おおっと。

 そろそろ、目の前の相手に集中していかないとね。


「これより開始する! 構え!」


 司会役の掛け声。

 腰を軽く落として、息を整える。

 相手のゴブリンも足を肩幅に開き、脇を締めた構えを取る。

 両者ともに腕を伸ばしても、触れない距離。

 思いっきり飛び込めば上はとれるが、さて。


「始め!」


 開始の合図と同時、相手の雰囲気が変わった。

 感じる悪寒。

 ゴブリンの足は動かぬまま、握られた右手が一瞬下がる。

 同時にオーラが妖精の女王へと、かたどられていく。


 いきなりかよ!

 慌てて手元の魔力を棒状に変化させる。


「崋山天妖覇!」


 ゴブリンの、その場からの右ストレート。

 私も遅れずに、棒状に変化させた魔力を突き出す。

 如意棒のように伸ばした魔力は、一瞬の隙を見せた心臓を捉える。

 殺すつもりで槍のように突き刺したが、オーラが鎧のように作用して衝撃を与えただけ。


 私の突きを受け、拳に全力をのせきれない。

 不意の攻撃により、相手の必殺のオーラは形を保てなくなる。

 しかし、消えないまま形無きオーラが襲い来る。


 一瞬だけ起きた大波のような衝撃に、後ろに吹き飛ばされた。

 逆らわない様にバックフリップして着地、ダメージは無い。


「この技を一瞬で見切るとは」


 心臓を手で抑えているが、騙されない。

 息が乱れてない。

 調子に乗って飛び込んでしまうと、カウンターを仕掛けてきたはずだ。

 相手が待ちなら、こちらも少し乱れた魔力を練り直す。


「その技は二度、通用しないよ」


「……何? まあいい、これなら楽しめそうだ」


 いやいや、普通はこういう状況って舐めてかかってくれるものじゃあ無いの?

 そこを鋭いクロスカウンターで沈めて終わる展開だよね。

 女の子を相手に、開幕から全力を出してくるってどういうことだよ。


 ぐっ、と力を入れて踏み込む。


「次は私!」


 一足飛びで、真っ直ぐ突っ込む。

 体格差から、搦め手で来ると思ったか?

 華奢な見た目にそぐわない速度がのったフック。

 カウンターを合わせることが出来なかったゴブリンが、かろうじて腕によるガードを間に合わせた。


「ぐっ!」


 重い一撃にバランスが傾く。

 続けてジャブ、ローキック。

 けっして大振りをせず、反撃させない為の攻撃を繰り返す。


「ぬるいわ!」


 ショートフックに合わせてきたストレート。

 うひぃ。

 慌てて軌道を変え、顔を捉える拳をそらす。

 こちらの拳を引く前に、もう次の攻撃が飛んできた。


 スウェー、ダッキング、ステップ。

 下がっても、貼りつくように追いついて来る。

 相手の攻撃は、拳先を見失うほど速い。

 それを木の葉のように、軽快にかわしていく。


 一発、どうしても回避できない横殴り。

 横やめてください!


「ふんッ!」


 仕方なく後ろに飛びながら受ける。

 殴ったゴブリンは違和感に気が付き、自身の拳を見る。


「……軽い?」


 あっ、ばれた。

 まず一つ目の仕込み、身体を軽くしている。

 筋力は変わらない為、結果的に行動全体の俊敏さが増す。

 殴ろうとしても落ちる木の葉を捉えるような難しさを味わうだろう。


「まだまだ、これからだよ」


 次は上から攻める。

 跳ぶ。

 空から襲いくる鷹のように。

 さあ、蹴るぞとなった時にゴブリンが腕を引いた。


 勘に従い、中空に魔力障壁をだして、三角跳び。

 拳大の飛び道具。

 そのまま進むと食らったであろうオーラが、私の横を通り過ぎていった。

 掠めて行く空気感に皮膚がビリビリ来る。

 対空戦も出来るのか。


 ふわふわとスラロームしながら近づき、攻撃をかわしつつ、頭を重点的に狙った蹴りを繰り返す。

 よけきれなかった私の蹴りを肩で受けるが、重い打撃にその場から飛びのいた。

 そう、重い。


「勢いが良かったのは最初だけ?」


 これが二つ目。

 つい最近、魔力を固めて、積み木を積み直すパーティーゲームをした。

 つまりこの能力、加重できる。

 魔力を手足に覆い、攻撃の瞬間に重くすることで打撃力が増す。

 重くするほど加速度的に消費魔力が増えるので、ダメージ効率を考えたら程々の重さにしかならないんだけど。


「クックック」


 !?


「実にいい! 俺のつがいに相応しい!」


 やべーこと言い始めたよ。

 つがいとか言っちゃう系の方ですか。

 でも、それイケメンにしか許されないんですよ。


「丁重にお断りさせていただきますね」


「貴様の意思など知らん、死ぬまで俺の子を産んでもらうぞ!」


 そんな事を言う奴には負けられないわ。

 ここを人生の墓場にするのは、ちょっとね。


「そして、俺は新たな群れのリーダとなるのだ!」


 本性現したね。

 あっさり許可が下りたから、おかしいと思っていたのだ。

 エスタの奴、群れの不穏分子を間引く為にこいつを選んだな。


「外の世界には、もっといい女がいますよ……とお!?」


 浮いている私の、さらに上。

 一瞬で移動し、蹴り降ろされる。

 咄嗟のガードは間に合うが、地面に叩き付けられる。

 転がる様に受け身をとって、立ち上がった。


 目を離していなかったのに、見えなかった。

 動体視力が追い付いていない。

 高さは有利にならないか。


 姿を捉える為に顔を上に向ける。

 いない……やば。

 後ろへ、肘を打ち下ろす。

 後頭部を狙って来た拳と、かち合う。

 魔力感知に反応が無ければやられていた。


「ふははははは!」


 二本の腕とは思えない程の攻撃速度が飛んでくる。

 見えない速度でまわり込まれても、勘と、目に頼らない魔力感覚、相手の癖を頼りに防ぎきる。

 防御と回避を使い分けてギリギリかわす。

 いや、かわさせられている。

 舐めてるな。

 しかし、反撃に移れないのも事実。

 

 これが相手の限界なら、消耗戦を仕掛けて勝ち切れたのだが。

 こいつ、まだ余力がある。

 思っていたよりも強い。

 もし、これ以上速く動かれたら一瞬で負ける。


 そうなる前に、一撃で仕留める。


 攻撃をさばきながら、魔力の形を変えていく。

 固形では無く流動体に。

 触れたものを飲み込み、存在を塗りつぶす、突き抜ける魔力を。

 しかし、動きを変えたのは相手が先だった。


「そろそろ終わりだ、本気で行かせてもらう」


 ゴブリンは間合いを取り、再び突っ込んで来る。

 勢いをのせただけ?

 脅威が感じられない。

 不自然に。


「ゴブリインパクトッ、フアアアァァァ!!」


 何でもない右ストレート。

 ――!

 左手を突き出し、魔力障壁を展開する。

 砕けない……さっきまでなら。


 死の脅威を感じた脳が、時間を引き延ばす。

 障壁に触れ、拳が叩き付けられる。

 止まっ……!?

 再加速。

 障壁が割れる。

 手のひらで受け止めるようにガード、後ろに跳ぶ。

 当たった時には時間間隔が戻っていた。

 転がって、衝撃力を逃がす。

 骨まで響いた、折れてはいないが。


「そろそろ終わりって、殺す気かよ」


 手がしびれたのでぷらぷら。


「……」


 応えは無し。

 重ね当てか、極まってるな。

 完全に防御を貫通し、肉体の耐久力だけで持ちこたえた形だ。


 ゴブリンのいた場所に、土煙だけが残る。

 消えた、いや、視界から外れた。

 パイルのような打ち込みが、私を中心に展開した球状の魔力障壁にぶつかる。

 今まで、直接触れている形でしか魔力を現出させていなかった。

 見事に相手の不意を打つ。

 間合いの離れた障壁にモーションをズラされ。突破に足る威力を出せていない。

 攻撃と動きが一瞬、完全に止まる。


 終わらせるのは!

 

「こっちだ! 崋山天妖覇ッ!」


 模倣させてもらった。

 魔力を過剰に変換させたオーラが視界を塞ぐ。

 技の出来は悪く、暗色の球体が触れたものを破壊する。

 地面を抉りながら突き進み、壁を割る。

 壁の上で観戦していたゴブリンが、逃げ遅れて数体吹っ飛んだ。


 破壊の跡には何も残っていない。

 何も。




「いい火力だ。だが、収束が甘く、速さが足りない」


 後ろからの声。

 動けない。

 技の硬直が重く、魔力を一瞬で使いすぎた。

 回復が間に合わない。


 足を払われ、うつ伏せに倒れる。

 私の両足のふくらはぎに、勢いよく膝を落とし、破壊に掛かる。


「あああぁぁあ!!」


 痛い。

 でも、本当は叫ぶほどではない。


 ゴブリンは片手で、私の両手首を掴み、背中側に固定される。

 もう片方の手は背中を押さえ、両足はゴブリンの体重で動かない。

 自由なのは首から上、膝が少し曲がっているので腰回りくらいか。

 

「あう!? やめっ!」


 もがくが、びくともしない。


「腰を振って誘っているのか? 心配しなくても、今からお前を女にしてやる」


 頭を横に向けてゴブリンを見ると、そそり立っていた。

 ゆっくりと腰を前後させ、私のおしりの割れ目にこすりつける。


「やだやだやだ、やめて! 絶対無理だから!」


「暴力を振るう悪い子には、おしおきが必要だなあ?」


 醜悪な笑顔。

 ねっとりとした言い回し。

 勝利の余韻に浸った行為に、観客が沸く。


「やれ! やれ! やれ! やれ!」


 熱を持ったアレが離れた。

 かと思うと、ぴたりと私のデリケートな部分に先をくっつける。


「ちょっと待って! ちょっと待とう? やめて! 助けてください!」


「行くぞォオ!」


 ゴブリンは。

 ぐっと力を入れて。








 なーんちゃって。


「おやおやぁ? どうしたんでちゅー?」


 動かない。

 今度はゴブリンの体が、動けなくなった。

 アレがびくびくしているだけ。


「ふんっ! ぐっ、一体何をした!」


「動かないの? こぉんなに誘ってあげてるのに」


 おしりを振って、こすりあげる。


「それとも、スリスリするしか出来ないヘタレなの? だっさ! ざぁこ、ざぁこ、童貞ゴブリン」


「フゥ! ふぉおおお! ガアアアア!」


「息くっさ! キモいんですけどぉ、ハァゲ。ほらほら、はやく屈服させて?」


「俺はハゲでは無い! 剃っているだけだ!」


「あれぇ? 泣いているんでちゅか~? ダラダラ垂らして、よしよしして欲しい? お子ちゃまなんでちゅね~。うぷぷっ、ぷす~。恥ずかし~! きゃははは」


「……これはッ! 貴様ッ! キサマァァア!」


 自分の身体を見て、激高した。


「やっと気が付いたの? ばぁか、脳内スカスカ、頭だけじゃなく脳もツルツル、ツルツルそーめんつまってますよ? この態勢のままで満足するド変態性癖を晒すなんて、応援してくれてる皆に失礼だと思わないの?」


 髪の毛が、全身に巻き付いていた。

 私の魔力を食らい、伸びた髪を今まで巻くように隠し、うつ伏せに押さえられたと同時に開放した。

 髪はゴブリンの背後から巻き付き、全身を拘束したのだ。


「何故こんなもので! 何故ちぎれない!」


 髪の強度は案外強い。

 しかも、拘束する為に私の魔力で更に強化されている。

 この屈強なゴブリンが万全な状態ならともかく、拘束状態から引き千切るのは容易では無い。


「俺はゴブリンの戦士だ! 舐めるなよッ!」


 ざこゴブリンはそんなこといわない。


「髪を通して拘束する力……そんなものが、この俺を止められるものかッ!」


 ゴブリンの魔力が変換され、目に見えて減っていく。

 そして、身体に収まりきらない程のオーラが全身から噴き出す。

 筋肉が膨張し始めた。


「ウオォォアァァアアアア!!」


 ……ブチッ。

 拘束している髪の毛が、ちぎれる。

 ブチブチッ、みしっ、ギリギリギリッ!


 やばっ。


 ……しかし、そこまで。

 セーフ。

 

「クソォ! 何故だ! 何故動かん!」


「非力すぎ、もうやめたら? みんなに謝ったほうがいいよ? 見ててあげるから! くひひひ!」


「……ぐっ、これが本命か!」


 あーあ、聞く耳を持たなくなっちゃった。

 そして、そっちにも気が付いたか。

 髪の毛が絡みついたからと言って、一切動けなくなるわけがない。


 シャドウスナップ。


 髪を突きさし、動かなくしたのだ。

 ゴブリンの魔力に合わせるまで、時間稼ぎをさせてしまったのが敗因だったね。

 獲物を前にして舐めた真似をするのはダメだって義務教育で習わなかったのかな。


「こんなもの! フンッ! ガアアァ!」


 右腕に突き刺さった髪の毛にオーラを集める。

 シャドウスナップが中和されていく。


「がんばれっ、あと三本だよ」


 この状況で、一本だけで縛る訳が無いでしょう?

 私の誘導を聞いていたかは分からないが、他の縛りも解いていく。


「もう少しっ、がんばれっ、がんばれっ」


「これで、終わりだァァ!」


 そう、終わりだよ。

 大分消耗させたな。





「お疲れさま」


 魔力支配。


 ゴブリンの目から光が消える。

 威勢の良かった躍動感が、一瞬にして完全に止まった。

 今までとは違う、明らかな異変。

 うるさい観客の声も、質が変化していく。

 困惑、怒りの野次。


「私を解放して」


 手を離し、押さえていた足が解放される。

 ふう、肩が凝るかと思った。


 魔力で作った椅子に座る。

 足を組み、考える。

 この呆けたゴブリンに何をさせようかなあ。


「とりあえず、四つん這いになって、足を舐めろ。土を綺麗に落としてね」


 言われたまま、私の前で跪き、足を舐め始めた。

 足先から綺麗に舐めていく姿に、ほの暗い気持ちよさを感じる。


「無様すぎて笑っちゃうわ」


 もう片方の足の裏で、顔をぺちぺち叩く。

 思わずこみ上げてきた笑いに、口を抑える。


 もはや、戦いではない。

 観客の反応も様々だ。

 あまりの酷さに目を覆う奴。

 ここからの逆転を信じて叫ぶ奴。

 そして――


「兄貴を解放しろ! いや、俺達がお前を殺す!!」


 舞台に飛び降りてくる奴。

 ひとかたまりになって降りてきた。

 数は五、案外少なかったな。


「殺す……殺す……」


 こちらにゆっくりと、歩み寄ってくる。

 怒りに顔が歪み、口の牙が凶悪になっていく。

 ……おや? ゴブリンの様子が?


「コロス、コロス、コロスコロスコロスコロスコロス……」


 魔力の質が変わる。

 目の前にいるのは、魔物だ。

 殺意に支配され、変異してしまった。

 純粋な魔物と化したこいつらは、殺すしかない。


 ゴブリン共が、大きく一歩を踏み込んだ。

 次の瞬間、来る。




 そんなものがあれば、だが。


 上から大きな岩が降って来た。

 違った、エスタが跳んできた。

 ゴブリンの頭を叩きつぶし、殴って粉砕し、捻じりきる。


 一瞬。

 死体はすぐに浄化され、魔力の光に変わる。


「鎮まれッ!」


 威圧感のある咆哮。

 ざわついていた声が消えた。


「これは決闘だ! 横やりは認められない!」


 口を開くかどうか、迷っている奴が見られる。

 黙って見ている必要はあるのか、何故その人間に肩入れするのか。

 まあ、そんなところだろう。


「文句があるなら、俺が殺してやる! 来い!」


 言葉と同時に魔力を放出させる。

 存在に訴えかける威圧の魔力。

 ほとんどのゴブリンは耐えられず、顔面蒼白になっている。

 後日、色々あるだろうけど、それは私の関わる事ではないので。


「エスタ、こんなもんで良かったかな?」


「ああ、協力感謝する」


 ここのゴブリンは魔物なのに理性があるから、そういう種なのかなと思っていた。

 しかし、違った。

 今回の動きを見る限り、知性のある奴のみを選別。

 魔物としての本能に支配され、群れの足を引っ張る者たちを間引いていたのだ。


 怖い怖い。

 しかし、これはゴブリンが選び、進めている生存戦略。

 他者が口出しするべきでは無い。

 正しいかどうかは、本人たちが決めることだ。




 と、まあ。

 ゴブリンの将来なんて、本当はどうでもいい。

 さてさて、ここからは私の時間だ。

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