40 言いたかっただけ
ごろごろー。ごろごろー。
横目でモニターを見ると小休憩後の準備を終えて、そろそろ出発するところだった。
!?
やべえ。
なんか、すごい気配を向けられてるんだけど!
男にケツやおっぱい見られてるどころの気持ち悪さってレベルじゃねーぞ。
「べリア、聞こえる!?」
(うん、今の? えっ、なに?)
「説明してる時間あるか分からないから、すぐに替わってもらってもいい?」
(私からもお願い、なにこれ、すごく気持ち悪いわ)
ですよね。
許可を得たので、入れ替わる。
歩き始めてる三人は、気が付いていないのかいつも通りの様子だ。
ベリアとの区別がつくように髪の色を紫に変えて、服も白いドクターコートの幻影を貼りつける。
ここまで動きを見せると、さすがに気が付いたのか全員振り返る。
「ドクターシャガ。今の私の姿はドクターシャガと呼んでほしい、いやいやそんな事より気付いてないの?」
私のアホな発言に対応し慣れているジェーラがいち早く立ち直り、質問に答えてくれた。
「はあ、気付くと言われましても。何のことでしょう」
周りを見ても他に違和感を覚えてる人はいない。
では、これは私とベリアだけが感じ取ってるのか。
進行方向から十時の方向、上空の雲が浮かんでいる辺りからビシビシ伝わってくる。
その姿は見えない。
雲に隠れてる? いや、そこまで遠くにはいない気がする。
でも何故だろう、この伝わってくる感覚。
ベリアの魔力に似ているような……?
「あの辺りから、ずっと私を見てるんだけど」
気配がする方向を指し、皆そちら側を見ると反応があった。
目に映る雲がぬるっと歪んで、透明な何かが動く。
・・・いる!
移動速度が結構早い。
何かを察知したか、カークが眉をひそめる。
対応を取ろうと全員が動き始めるが、更に問題が起こった。
ボゴッ。ボゴリ。
……ボゴボゴ。
皆、空を見ていて何の音か気が付くのが少し遅れる。
おかしな音が地面から聞こえて、見ると地面からゴブリンが這い出て来る所だった。
それも一体や二体ではない、全部で何体いるかは数えるのも面倒になる。
「この草原も根は張ってるはずなのに、この方たちは力持ちですね」
ウノスケが妙な感心をする。
よく見たら街道の地面からも出てきてるからボロボロになってるじゃないか。
しーらない、道路の修繕なんて私は絶対やらないからな。
「言ってる場合かよ、こいつらどう見てもおかしいぞ」
カークの言う通りゴブリン共の様子はおかしい。
目の焦点はあってないし、身体に着いた土を払う様子も見せない。
一部のゴブリンの身体は骨がむき出しになっているけど、痛がってもいない。
生気が感じられないんだよね。
「アンデッド……でしょうか? 集団で罠を張るなんてありえるの?」
後方を警戒していたジェーラさんが、ぼやきを入れる。
後ろをチラっと見ると、ぐるっと囲まれるように湧いている様だった。
意思を持たないアンデッドが罠を張るのは確かに違和感がある。
どうでもいいけど、誰一人囲まれて焦ってないのが笑えてくる。
いやまあ、ゴブリン程度突っ切って逃げることも出来るからね。
先ほどのベリアとの戦いを見る限り、戦闘力はそれほどでもなさそうだし。
模擬戦の内容や普段の動きを見る限り、皆後れを取る事も無いだろう。
この面子なら三桁くらいの数、舐めた戦い方をしなければ殲滅も不可能じゃあないだろうからね。
問題はあの空を飛んでるヤツよ。
「普通はありえないでしょう、多分あの空を飛んでる透明な奴が操ってるんじゃあないかな?」
存在があまりにもあからさま。
それとも本当はゴブリンの見た目をしたゴーレムで、作られたこいつらを操っているのかは分からないけど。
どちらにしろ怪しすぎる。
確かにほとんど見えないが、特徴的な魔力を出してくれているお蔭でどこにいるか私には分かる。
で、あれば。
もう何度目のお世話になるだろうか。
いつもの黒塗りの棒手裏剣を出して、振りかぶる。
まともな決定打になったことが無い気がするが、今回は違う。
魔力強化による威力の増加率は、あの飛行体を十分撃ち落とせるほど高いはず。
「仕掛けます、射線上に立たないでねっ!」
思いっきり強化をかけ、全力で投擲する!
その速さは飛んでいる鳥でも落とせるほど早く、鋭い。
しかし、当たる前に飛行体の動きが変わり避けられてしまった。
ああ、やっぱり今回もダメだったよ。
今のを避けるのか、自信あったんだけどな……。
避けた飛行体はリアクションを見せる。
魔力の波動を出して、地上でまだ動いてなかったゴブリン共を嗾けてきた。
「何やってんだよ、怒らせてんじゃねえか!」
向かって来たゴブリンの顔を殴り、首に抜き手を放って頭を飛ばしながら文句を言う。
「ごめんね」
てへっ。
頭に手を当てて舌も出して冗談を言ったのに誰も反応してくれない。
ちょっと寂しいわ。
でもまあ、あの飛行体が中心となっているのはこれで分かった。
「どうします、逃げますか?」
ウノスケはそう言うが、あいつはずーっと私の事を見ているんだよね。
逃がしてもらえるかなあ、と思う訳ですよ。
「ちょっと奥の手を出すので、時間を稼いでもらっていいかな?」
と、いう事で。
「こんな事もあろうかと!」
いやー、言ってみたかったんだよね。こんな事もあろうかと。
私の身長くらいの高さの兵器を取り出す。
ベリアの中で、ちまちま作っていたこれを使う時が早くも来るとは。
ずんぐりとした流線形のボディ。
腕を伸ばしても周りきらないほどの大きさで、空の色を反射させる光沢は金属であることを主張する。
底部にはトラッキングボールが嵌めこまれているので、転がせば自由に動かすことが出来る。
側面に取り付けられたキャリングハンドルにはスイッチの並ぶ操作盤がある。
上部へ徐々に細くなっていき、先端には三十ミリの砲身が天を突いている。
総重量三百キロに近いこいつは、このままではただの置物だ。
そこで、スリットを側面に作ってある。
ここに、重量軽減の片手半剣を。
差し込む!
そのまま魔力を通すと、剣を起点に魔力の青い発光線が、まるであみだくじのように表面を流れる。
駆動音が鳴るような分かりやすさは残念ながら無いが、魔力の漏洩も無く手順通りに動いている。
問題なく使うことが出来そうだ。
普通は剣の、いや魔道具の効果は発動者本人にしか掛からない。
だが、特別に専用の回路を組んだこいつに剣を刺し、魔力を流すことで重量軽減の影響を与えることが出来る。
……起動し終えるまで、少し時間かかるかも。
ぶっつけ本番だからなあ。
必要魔力も想定より多い。
今のうちにポーションを飲んで魔力を回復しておく。
「おいおい、なんだそりゃ?」
よくぞ聞いてくれました。
「シェイプコレクション参式ヒルドルフ」
「しぇ……なんだって?」
「シェイプコレクション参式ヒルドルフ」
……。
コホン。
「えー、私はこの子をアリクイ君と呼んでいます」
丸みを帯びた体から先端の細い砲身、そのシルエットがそれっぽい事からの愛称。
「で、そのアリクイ君は何が出来るんですか?」
ゴブリンの手足だけを切り飛ばして、的確に足止めをしていたウノスケから質問が飛ぶ。
生き残っているゴブリンが積み重なる様に戦っていて、壁になってきている。
一度に攻めてくる数を制御する狙いか。
やりすぎた個体も混じっているのか、何体か光の泡に変わっている。
どうでもいいけど、本当みんな余裕っすね。
「見た目は突飛だけど、要はバリスタです。射出エネルギーは魔力を使ってチャージしているから連射が利かないのが難点かな。でも火力は保証しますよ」
眼鏡のブリッジ部分をクイッとする。
眼鏡掛けてないけど。
やっぱりドクターっていったら眼鏡だからそのうち作るか。
「期待していいんだな?」
「任せてください、もう少し時間が掛かるので守ってくださいね」
「それでは、もう少し頑張りましょうか」
「では、ウノスケさん。カークさん。やっておしまいなさい。ついでにジェーラさんもよろしくね。」
「さっきからずっとやってるっての!」
多分すぐエタるだろうと思って書いてませんでしたが、そろそろ通知しておきます。
今更になりますが。
この作品は、勢いで適当に書いています。
設定に忠実になりすぎると面白くならないと判断した場合、設定矛盾をさせる事も視野に入ってます。
また、内容の方針転換も何度かしています。
恐らくは、これからも何度もするでしょう。
もし何か疑問を感じた場合。
「作者何も考えてないと思うよ」の精神でお願いします。
というか自分に合う作品を粗方読み終えてしまったので、面白そうな作品の連載が溜まるまで仕方なく書いてます。
私に合うような面白い作品、誰か書いてください。
ちなみに、読み専やってる時は一日10万文字程読むのでそれくらい毎日投稿してください。
よろしくお願いします。




