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165 三女、ファレン

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「それでその後、大事な所に触れずに――」


「もう何回も聞いたよ! ちぃママとシアママの話、聞いていて恥ずかしいんだからね?」


「いや、恥ずかしくても聞くべきだよ。いつか、必ず経験する事なんだから」


 無垢で無知な女の子、そんな子は男から見たら垂涎ものだろうけど。

 本人からしてみたら、知らない間に子供を作らされる危険があるのだ。

 私、性教育はしっかりやっていこうかと思います!


「でもドクター、あれはみせないほうが」


「そうよ! アレを見せられた事あるの、ファレンだけなんだよ!?」


 アレとは、もちろん……詳しくは言えないけど。

 でも、どこがどうなって、どう気持ちよくなるとか。

 教えてあげないと、分からない事じゃん?

 実演して、見せてあげるのは大事だと思うんだよね。


「そのこと友達に話したら、笑われちゃったんだから!」


「トラウマになるから、スラ子とめたよ?」


 うむ。

 まあ、オープンに話すような事じゃあ無い。

 しかし、そういった知識を得るのは悪くないのだ。


「年を取ってからじゃあ、恥ずかしいだけで済まないから。笑ってくれるなんて、今の内だけだよ?」


 もしも、いい年が過ぎてから貰ってくれる人が現れたとして。

 いざ、となった時に分かりません!

 そんな女性、引かれると思うんだけど。


「ふん、もう知らないもん!」


 ファレンが、我が子が、ついに、ついに。

 まさか、そんな。


「は……反抗期!」


「いや、違うから、あり得ないから。もう、大人にもなって反抗期なんて、終わってるからね」


 そう、ファレンは成人になったのだ。この世界の基準では、だが。

 だけど、反抗期は遅れてやってくる人もいると聞くし……。


「うう……お腹を痛めて産んだのに」


「それも聞いた、スラ子のお蔭で痛くなかったんでしょ?」


 私の出産は、スラ子による癒しの催眠歌唱の中で行われた。

 そのため、軽い麻酔状態を維持し、肉体的な負担は少ないものだった。


 そう考えると確かに、痛めて産んだと表現するのは少しだけ嘘になる。

 だけど、全く痛くなかった訳では無い。


「そう、だけど……隙あらば、私のおっぱいを吸いに来ていたのに」


「それ、覚えてないんだけど。ファレンより小っちゃい、ちぃママが出せるとは思えないのよね」


 そりゃあ、一歳未満の話なんて覚えている方が稀だよ。

 ファレンは、アーリャよりも身長が高い。

 食べている物が良いと、やはり成長に影響するのだろうか。

 あれ、女性って十五にもなったら成長は止まるんだったかな?


 しかし、出せるとは思えないだと。

 胸を、ぐいっと持ち上げる。


「飲む?」


「いらない! ばっかじゃないの!?」


 ふふふ。

 この様子では、普段食べているお菓子に私のミルクが入っている事には気付いて無いようだ。

 そこから錬成した後で、更に加工してあるから、ほぼ別物になってるけど。


「みんな、晩御飯できたよー」


 料理当番であるアーリャが、テーブルに皿を並べていく。

 今日は唐揚げか。


 各々、椅子に座る。

 ファレンが姿勢を正し、神妙な顔して話し始めた。


「ちぃママ、シアママ。あの、話があるんだけど」


「え……まさか、男!?」


「わあ、ファレンも女になったのね。ユキちゃんも、見習ってほしいわあ」


 いや、私は私なので。

 産んですぐは世間体を気にしていたけど、すぐに無理だと気が付いた。

 女っぽく、そんなものは私には荷が重いのである。


「なお、よるのコミュニケーション」


「スラ子、言わんでいいぞ」


「……皆、話聞く気あるの?」


「あ、どーぞどーぞ」


 全員ハモってファレンを促す。

 茶化してしまう私の癖が、完全にうつってしまった。


「ファレン、学園に入りたいと思います!」


 学園に、ねえ。

 答えがまとまらず、後ろ頭を掻く。


「んー……アーリャ、どう思う?」


「わたし? えっと、そもそも、どこの学園なの?」


 ああ、そうか。

 まずは所在の問題があるのか。

 便利な交通機関がある訳でも無し、ウルフズピークの町には学園なんてものは無い。

 つまり、卒業するまでは会えなくなる、という事になるだろう。


「学術都市メージャの」


 うんうん。

 わざわざ出向いて勉強するなら、メージャというのは納得が行く。


「魔法学園、ブランドノワール!」


 ブランドノワール、ブドウの品種かな?

 いや、待て。

 なんか、聞いたことがあるような……あ!


「ねえファレン。もしかしてその学園、新しく出来て、入学者を集めているとか」


「ちぃママ、良く知ってるね? ファレンも頑張って調べて、ようやく学園の情報が入ったのに」


 うむむ。

 右手を勢いよく上に突きあげてアピール。

 みんな、ちゅーもーく。


「はいはい! 私も同学園に入学します!」


 時が止まった。

 いや、おかしな能力者が居るとかでは無くてですね。

 要は、唖然としているのである。


「ユキちゃん、冗談はほどほどにした方が良いと思うよ?」


「ドクター、としをかんがえて?」


 ファレンは、まだ止まっている。

 私の唐突さに慣れていないとは、まだまだ甘い。


「勉学に年齢は関係ないから、それと……これは“仕事”に関係する事です」


「錬金術ギルドの……では、無いんだよね?」


「うん」


「え、何々? 何の話?」


「仕事の話だけど、ねえ?」


「ねー」


 ファレンが不満である事を隠しもせず、ジト目でこちらを見て来る。

 だって、言えないし。


 異邦審問官の仕事関係は、ファレンには知らせていない。

 家族にも話せないくらいの守秘義務である。

 知られたらファレンが精霊に絡まれる可能性があるので、話す気は無い。


 子育て中も、数件仕事の話が来ていたけど。

 ここ数年は何もなかったから、平和だと思っていたのに。

 ブランドノワールの名前を聞いたからには、動かないわけには行かない。


「でも、ちぃママ。入学試験はどうするの? ファレンは勉強して来たから自信はあるけど……」


「もちろん、普通に受けて入るよ……もしかして、私の事をバカだと思ってる?」


「えっとぉ? いやー、どうかなー?」


 おう、こっちを見なさい。

 目が逃げてますよ。


 私はバカな事をするのが好きだ。

 だがしかし、私がバカそのもので居続けるのは許容できない。

 幸い、知識には自信がある……いや、どうだろう?


 時代によっては、間違った答えが正解になる事もある。

 分かりやすい所では、天動説がそうだ。

 学派の権威が検証出来ない事を主張し、歴史に名を残そうと間違った答えを正当とした。

 そのあと地動説で反証しても、その学者を追放する形で権威を維持しようとしたのだ。

 更に宗教が天動説に乗っかり、修正を難しくした一面もある。

 難しい話は置いといて。


 つまり。

 出される問題も、同じように間違った答えが正しいとされている可能性がある。

 偉い人が白といったら白なのだ。

 これは、勉強し直さないといけないかも。


「ところで、ユキちゃん。錬金術ギルドは、どうするの?」


 この町の支部長に任命され、それはまだ続いている。

 アーリャは、その補佐官と言った所。


「そろそろ次世代も育ってきたから、後任に据えようかと」


 村から町に変わるまでの数年間、本当に補充員を寄越さなかった。

 一応、来たには来たけど。

 態度だけは尊大で、何というか……天下りとか、お偉いさんに紹介された系の人が来たのである。

 残念ながら、使い物にならなかった。

 錬金術士としての一般業務だけをお願いして、仕方なく現地の人間を錬金術士として育てる事に。

 その次世代の人材も、ある程度育ったので現在の業務に忙しさは見られない。ほとんど。


「だから、アーリャには残って、ギルドの人達を導いて欲しい」


 アーリャは、この町に残ってもらう。

 私とスラ子とファレンは学園でエンジョイする。

 かなり無茶苦茶な事を言っている自覚はある。


 アーリャがうつむき、考える。

 私が言っている意味を考え、感情的にならないように抑えている。

 この状態になると、次は。


「分かった。ユキちゃん、どれくらいで帰って来るの?」


「恐らく、三年」


「そう……頑張ってね」


 アーリャも一緒に来たい気持ちを堪えて、無理に言っているのが分かる。

 たかが三年、されど三年だ。

 今までも仕事で会えなくなった期間はあったが、それでも短期間だった。

 せめて、旅に出てしまった上の子の二人が居てくれたら、また寂しさも違うと思うのだけど。


「うん、戻ったら何でもするから」


「絶対、帰って来てね」




「ねえスラ子、ママたち止めた方が良いのかな? ちゅーだけじゃなくて、あれ最後までするよね?」


「ほっとこう、へやでゲームしよ?」


「そうだね、邪魔しちゃ悪いし」

子育て中の描写ですが、今の所するつもりはありません

子育ては本人の自由意思で行っていますが、生活上の自由は無く、タイトル詐欺に見えるかなと


話の主題が子供に移ってしまい、面白く書けるとは思えないという理由もあります




うん、まあ、逃げの姿勢は良くないんだけどね、面倒なのですよ

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