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Cafe Shelly

Cafe Shelly 十五年目の約束

作者: 日向ひなた

 気がつけばもう十二月。師も走る忙しさということから師走と言われるそうだが、走り回るのは先生だけではない。私達看護師も、ただでさえ毎日走り回っているのに、それがさらに忙しくなる。

「庄司さん、こっちお願い」

「はい、わかりました」

 私は男性看護師として、日々病院内で忙しい毎日を送っている。数少ない男性看護師だからこそ、頼まれる仕事も多い。特に力が必要なところ、女性では難しいところを任されることが多い。

「今日もお疲れ様。では夜勤への申し送りを行います」

 看護師長の渡辺さんの進行で、夜勤への申し送りが始まる。今日起こったことや気づいたことなどを夜勤の方へ伝えるのだが、私はここで必ずホワイトボードに記録を取る役割りを行う。これは以前研修で学んだ技術。私がこれをやりはじめてから、申し送りでのミスが少なくなったと評価をいただいている。

「以上ですが、何か他に聞いておきたいことはありますか?」

 看護師長の言葉に「ハイ」と手を挙げて質問する看護師がいる。今年入ったばかりの水島さんだ。

「305号室の飯山さんですが、食事を思ったようにとっていないようです。この件については何か聞いているでしょうか?」

 水島さんは熱心に看護の仕事を行う。その姿を見て、私よりも年下ながらいつも感心している。けれど、その姿にも問題がある。それは…

「でも、そんなやり方だと患者さんのためにならないと思うのですが」

 始まった。水島さんは正義感が強すぎて、自分の尺度に合わないと相手が誰であろうとこうやって反発をしてしまう。今回も先輩看護師のやり方について、早速文句を言い始めた。

「そんなことを言っても、これがこの病院のやり方ですから。文句があるなら理事長に言ってくださいっ」

 申し送りの時間にこうやって議論することが多くなった。早く帰りたい人、すぐに業務につきたい人、いろいろな事情を持った人がいるのだから。この時間は早く終わらせたいのが普通なんだけど。私もさすがにこの光景には飽き飽きしてきた。

 けれど、看護師長は黙ってその姿を見ている。何が目的なのだろう?

 そして、いつもの終わり方がやってくる。

「はい、今日はここまで。今の議論はまた今度ね。どちらの言い分も正しいのだから、また今度ゆっくりと考えていきましょう」

 看護師長が突然その場を仕切りだす。そうやって場は解散となる。まったく、やれやれといったところだ。

「まったく、今日も水島のせいで遅くなっちゃったじゃない。ホント、いい加減にしてほしいわ」

 他の看護師からはそういう言葉が飛び出す始末。まぁ、私もちょっとそういう気持ちにはなってしまうが。しかし、水島さんの言うことももっともだと感じている。発言内容そのものは、言われたら確かにそうだと納得できるものではある。が、正直なところ、いちいちそれを気にしていたら、仕事が進まないのも事実である。

 そんな感じで日々の仕事は進んでいく。そんな水島さんと夜勤で一緒になる日がやってきた。水島さん、仕事自体はマジメに取り組んでいるし、覚えもいいので重宝されてはいる。また、申し送りや全体ミーティングの時以外は、普通に会話をできる人でもある。

「榊田さん、今日はよろしくお願いします」

「あ、あぁ、よろしくね」

 こうやって、挨拶もきちんとしている。今時の若い子にしてはめずらしい。といっても、私も彼女より五つほど歳上なだけではあるが。看護師長から見たら、私も水島さんも同年代に見えちゃうんだろうなぁ。

 今回の夜勤で、私は一つ水島さんにどうしても聞いてみようと思ったことがある。そろそろその話を切り出してみようのだが。

「水島さん、前から聞きたかったことがあるんですけど」

「はい、なんでしょうか?」

「水島さんって、看護の仕事に対してとても熱心だよね。その意欲って、どこから湧いてくるんですか?」

 私の質問に、水島さんはちょっと考え始めた。そして出てきた答えは意外なものだった。

「というか、私が逆に皆さんに質問したいくらいなんです。どうして看護の仕事をそんなに中途半端に、いいかげんに考えているのかって」

「ちゅ、中途半端には考えていないよ。私もちゃんと仕事に対してはしっかりと考えているよ」

 この答えについてはさすがに反論させてもらった。けれど、水島さんは私の反論をこんなふうに受け流した。

「榊田さん、先週の夜勤、ちょっと遅刻したでしょ。申し送りの時間、ギリギリだったですよね」

「そ、それは自転車が…」

 私は病院まで自転車で通っている。あのときは自転車が調子悪くて、スピードが出せなかったのが原因。けれど、本当の理由は単なるうっかりミスで時間を勘違いしたことにある。

「榊田さんが遅れたことで、看護体制に狂いが生じる。そうは思わないのですか?」

 けっして怠けてはいないのだが、そうやって理詰めで言われると返す言葉がない。

「あ、ごめんなさい。私、またやっちゃった」

 水島さんが突然、そんなことを言い出した。

「またやっちゃったって、どういうこと?」

「私、わかっているんです。ひと言が余計だってこと。正義感を振りかざすつもりはないんですけど、理不尽なことがあるとつい口に出ちゃうんです。ダメだなぁ」

 今度は急に落ち込み始めた水島さん。

「そ、そんなことはないよ。水島さんの言うことは正論だし。確かに、私達のほうが自分勝手で怠けているところはあるし」

 あわててフォローするが、水島さんの落ち込みはなかなか回復しそうにない。ど、どうしよう…

「あ、そ、そうだ。さっきの答え、まだ聞いてなかったな。水島さんのその意欲って、どこから湧いてくるんですか?」

 そう尋ねた瞬間、ナースコールが鳴り響いた。すると、今まで落ち込んでいた水島さんは急に態度を変えて、機敏な行動に出た。

「私、行ってきます」

 さっそうと小走りで病室に走る水島さん。新人とは思えない行動で、逆に私のほうが頼りにしてしまいそうだ。でも、水島さんのあの行動には何か理由がありそうだな。

 この頃から、徐々に水島さんという存在が気になり始めた。人として、そして女性としても。

 結局、この日の夜勤では水島さんの意欲の理由を聞くことができなかった。けれど、水島さんの味方になることはできる。私は彼女の仕事がやりやすくなるように、さりげなく手伝いをするようになった。

「この件についてですが、何か質問はありませんか?」

 いつものように看護師長が申し送りで質問を要求してくる。

「ハイ」

 手を挙げていつものように質問をする水島さん。周りは「またか」という顔をする。

「203号室の山本さんのことですが…」

 質問内容はいつものようにすごくまっとうなもの。けれど、その言い分を聞いていたら面倒な作業を強いられる。

「ハイ、その件についてですが、私がやらせていただきます」

 周りが面倒だと思う前に、私が率先して彼女の言い分に協力をしてあげる。そうすることで、面倒な仕事は私が引き受けるという図式が徐々に成り立っていく。

 言い出しっぺになってしまう水島さんも、自分の言うことに対しては私と一緒になって作業を行う立場となる。つまり、私と水島さん、一緒にいる時間が徐々に長くなってくる。これは私にとっては密かにうれしいことだ。

 そんな中、未だに水島さんの意欲の理由は聞けない状況が続いている。

 そんな状態が続いていたが、ふたたび水島さんと夜勤が重なる日がやってきた。今日こそ聞いてみよう、そう思って夜勤に向かう。ちょっとドキドキだな。

「榊田さん、今日もよろしくお願いします」

 申し送りも終わり、ちょっと落ち着いてから二人の時間となる。他にも夜勤の看護師はいるが、最近は水島さんと一緒に仕事をすることが多いせいか、自然と二人でいることが多い。

「あ、あのさ、水島さん」

 私が話しかけようとしたときに、水島さんの方から意外な質問が飛び出した。

「榊田さん、夜勤明けって何してます?」

「えっ、夜勤明け?そうだなぁ、まぁ帰ったらちょっと寝て、昼過ぎには起きて、あとはブラブラってとこかな」

「ブラブラって、どこか出かけたりするんですか?」

「うん、買い物に行ったり、本屋に行ったり、喫茶店に行って時間を潰したり。特にこれといった趣味があるわけじゃないからなぁ」

「ふぅん、じゃぁ時間はあるんですね。ねぇ、よかったらその時間、私にくれませんか?」

 えっ、これってデートの誘い?急な展開に、ドキドキし始めた。けれど、まさか変なビジネスに誘われる、なんてことはないよなぁ。

「まぁ、いいけど。何をするのかな?」

「はい、私が看護師を目指すきっかけになった、十五年前の約束を果たしたいんです。だから、榊田さんにぜひ手伝ってもらいたいと思って」

「十五年前の約束?ってことは、水島さんがまだ小学生くらいのころの話なのかな?」

「そうなんです。実は私、小学生の頃は病弱で。その頃は入院生活が長かったんです」

「あ、それでそのときにお世話になった看護師さんに憧れた、とか」

「う〜ん、残念!」

 そう言って笑う水島さん。このとき、すごくドキッとした。水島さんって、こうやって笑うとムチャクチャかわいいじゃない。

「その答えは、明日の夜勤明けに教えますね。じゃぁ、待ち合わせは午後三時くらいでいいですか?」

「うん、その時間ならもう起きているはずだから」

 こうやってトントン拍子に水島さんとのデート、と呼んでいいのかわからないけれど、明日の行動が決まっていった。だが、肝心のどこに行くのか、そしてそこで何をするのかがまったく謎のまま。特に十五年前の約束というのが気になって仕方がない。

 こんな感じで、ちょっとモヤモヤ感を残したまま夜勤は進んだ。ありがたいことに、大きな問題もなかったし。翌朝の申し送りも大したこともなく終了した。

「さぁて、一眠りするか」

 家に帰って、いつもの夜勤明けのように一眠り。しようとするが、なんだか目が冴えて眠れない。ヤバイ、これから起こる水島さんとのことを考えたら、なんだか興奮して眠れない。

 布団の中で一生懸命眠ろうとするが、一生懸命になればなるほど眠れない。気がついたらもう昼の十二時を回ってるじゃないか。待ち合わせは三時。家を二時に出れば十分間に合う。身支度をするのに三十分もあれば十分。だから一時半までは眠れる。

 そんなことを考えていたら、布団の中で時間だけが過ぎていく。もうダメ、いっそのことこのまま起きているか…

 ハッと気がつくと、二時二十分。いつの間にか寝入ってしまっていたようだ。やばいっ、急いで支度しなきゃ。

 大慌てで着替えて、後から食べようと思ったパンを握りしめてダッシュで家を出る。待ち合わせの駅前までは自転車をすっ飛ばして行くことになる。ゆっくり行って家から三十分の距離。すっとばせば二十分くらいで着くか。でも、自転車置き場に自転車を置いてたらロスタイムになるし。

 なんてことを頭で考えながら、信号待ちのときにパンをかじってはまたダッシュを繰り返す。ホントに、なにやってんだか。

 汗だくになって、息を切らしながら待ち合わせの場所にようやく到着。もちろん、すでに水島さんはそこに立っていた。

「はぁ、はぁ、ご、ごめん、待たせちゃったかな?」

「榊田さん、大丈夫ですか?私、時間よりも早く来る癖があるから気にしなくても大丈夫ですよ。それにほら」

 水島さんが指差したのは、噴水の大時計。すると、時計の下が開いてエンゼルたちが周りながらチャイムが鳴り出した。午後三時の合図である。

「榊田さん、十分間に合ってますから」

 そう言って微笑む水島さん。改めて見ると、とてもかわいらしい服を着ている。水色のフレアのスカートが印象的だ。

「ここからそう遠くないところなんです。行きましょ」

 そう言って私の腕を掴んで歩き出す。えっ、ちょ、ちょっと、これってカップルみたいじゃない。水島さん、大胆だなぁ。

「で、どこに行くの?」

「それは着いてからのお楽しみ。榊田さんなら喜んでくれるかな」

 ホント、どこに連れて行かれるんだろう。それに、十五年前の約束も気になるし。けれど、それ以上に気になるのは、腕を組んで隣で微笑む水島さん。病院ではなかなか見せてくれない表情を、今は常に見せてくれる。ドキドキしっぱなしだ。

「ここです」

 連れてこられたのは、街の中にあるとある路地。私は生まれてから今まで、ずっとこの街でずっと過ごしてきたが、街中にこんな路地があることを初めて知った。

 そこはパステル色のタイルで敷き詰められ、道の両側にはレンガでできた花壇がある。道幅は車一台が通る程度。そこにはいろいろなお店が並んでいる。

 私はすぐそばの大通りしか通ったことがなかった。意外な発見に、ちょっと胸がはずんできた。

 水島さんはその通りの中ほどにあるとあるビルの前で立ち止まった。

「この二階なんです」

 そう言ってトントンっと駆け上がっていく。私も水島さんの後を追って階段を駆け上がる。

カラン・コロン・カラン

 水島さんが扉を開くと、心地よいカウベルの音が鳴り響く。同時に中からコーヒーの香りが。そして、その中に甘い香りも含まれている。なんともいえない、今までにない別空間に来た感じだ。とてもいい感じがする。

「いらっしゃいませ。あ、優香ちゃん!」

「マイさん、お久しぶりです」

 中に入るなり、そこにいた店員さんと仲良く話しだす水島さん。どうやら店員さんとは知り合いのようだ。あらためて店内を見渡すと、ここが喫茶店であることがわかった。

「おや、優香ちゃんじゃないか。久しぶりだねぇ」

 声のする方を見ると、カウンターでカップを磨いているこのお店のマスターと思われる人が水島さんに話しかけている。

「先生、あ、今はマスターですね。ご無沙汰しています。今日は約束を果たしに来ました」

「約束か。もうそんなに経つんだね。まぁ、座って」

「はい。榊田さんもこちらに来て下さい」

「は、はぁ…」

 なにがなんだかよくわからないけれど、促されるままに私はお店の真ん中にある丸テーブルの席に座った。

「水島さん、そろそろ十五年前の約束っていうの、教えてくれないかな」

 ちょっと小声で水島さんに尋ねる。すると水島さんはこう答える。

「もう少し待って下さい。私が約束を果たしたときに教えますから」

 うぅん、もどかしいなぁ。少なくとも、このお店の二人と水島さんが何らかの約束をしていたというのはわかる。しかも十五年前に。

 見たところ、マイさんと呼ばれた店員さんは私と同じ年齢くらい。二十代中盤ってところか。だとすると、十五年前はまだ小学生。

 マスターは四十代半ばかな。となると、十五年前は三十歳くらいか。そういえばさっき、マスターのことを先生って言ってたよなぁ。

「ご注文は何にします?」

 マイさんがお冷を持ってきてそう言う。私はあわててメニューに目を通すが、水島さんが当然のようにこう言った。

「もちろん、シェリー・ブレンドで」

「かしこまりました。マスター、シェリー・ブレンド、ツー」

 シェリー・ブレンドってなんだ?名前からして、このお店の看板メニューっぽいけど。

「榊田さん、ここのシェリー・ブレンドはちょっと変わった味がするんです。飲んだ人が望んでいるものの味がするんですよ」

「飲んだ人が望んでいるものの味?」

 イマイチ、水島さんが言っている意味がわからない。だって、コーヒーはコーヒーだろう。

「私はこのコーヒーのおかげで今の私がいるんです。榊田さん、前に私に質問しましたよね。どうして私が意欲的になれているのかって。その答えがこのお店なんです」

 そう言われても、まだ結びつかない。どうしてこのお店が水島さんの仕事の意欲になるんだ。それに、十五年前の約束ってなんなんだ?謎が謎を呼ぶばかりで、まったく解決になっていない。

「前に優香ちゃんが来たのって、看護学校に入学が決まったときだったよね」

 マイさんの言葉から、水島さんは三年以上ぶりにここに来たことになる。

「はい、高校を卒業するときでしたから。私、マイさんのお陰で今があるんです。だから、十五年前にマイさんに約束したこと、必ず果たそうと思って頑張りました」

「あはっ、まさかあのときのことがきっかけで、優香ちゃんが看護師になるなんてね。でもうれしいな、こんなに立派になって約束を果たしに来てくれるなんて」

「ありがとうございます」

 うぅん、未だに十五年前の約束というのがわからない。だから、会話の中身が見えてこないのがもどかしい。

「ところで、そちらの方が例の人になるの?」

 マイさんの言葉に、水島さんはちょっとはにかみながらこっくりとうなずく。

「だよね。じゃないと約束を果たしたことにならないもんね」

 えっ、ってことは約束を果たすのに私が必要ってこと?ますます意味がわからない。私が例の人っていうことは、私をここに連れてくることが約束を果たしたことになるのかな?

 これから一体何が起こるのか。そして謎のコーヒー、シェリー・ブレンドとはなんなのか。ドキドキしはじめた。このお店で私、どうなっちゃうんだろう?

「お待たせしました。シェリー・ブレンドです」

 マスター直々に、コーヒーを私たちのところへ運んでくれる。

「榊田さん、まずは飲んでみて下さい」

 私はこくりとうなずき、早速コーヒーを口に近づける。

 いい香りだ。コーヒーなんてどれも同じだと思っていたけれど、素人の私でもわかる。これは何かが違う。

 そして熱い液体を口に注ぐ。うん、いわゆるコーヒーだな。そう思った時、私の下の上の液体が別のものに変化した。さっきまで苦いと思っていたのに、甘さを感じる。いや、甘いというよりも甘酸っぱいという感じ。その味に、なぜだかドキドキ感を感じる。あれ、この感覚、つい最近どこかで感じたことがあるぞ。どこだったっけ?

 思い出した、水島さんと一緒に仕事をしているときに感じる、あのドキドキ感だ。一緒に仕事ができることの嬉しさ、そして…やっぱ水島さんのことが好きだっていう気持ち。ここからくるあの感覚。

 やっぱりそうだよなぁ、私、水島さんに恋しているんだよなぁ。甘酸っぱい感じって、いわゆる恋の味ってやつなのかな。

「どんな味がしました?」

「えっ!?」

 水島さんのその言葉で我に返った。そっか、今、喫茶店にいたんだった。なんだか意識が別のところに飛んでしまったみたいだった。

「あ、えっと、その、あ、甘酸っぱい味がしました」

「甘酸っぱいって、いわゆる初恋の味ってやつかな?」

 マスターが笑いながらそう尋ねてくる。そう言われて、あわててしまった。

「あ、えっと、ま、まぁそんなところです」

「榊田さん、恋しているんですね」

 ちょっと複雑な表情でそう言ってくる水島さん。まさか、その相手があなたですって言えるわけがない。でも、言えるものなら言ってみたい。水島さんは私の言葉をどのように受け止めたのだろう。

「優香ちゃんはどんな味がしたの?」

「はい、私は三年前と同じ味でした。勇気をもらえる、力強さを感じたんです。そして今、それが叶った。だから今日はここに来たんです。マイさんとの約束を果たすために」

「うふふ、やっぱりそうだよね。じゃぁ、約束を果たしてもらうこと、期待しているよ」

 マイさんとの約束ってなんなんだ。そして勇気をもらえる力強さ、それが水島さんが欲しがっていたものとは。まだ全てが謎のままだ。

「榊田さん、あらためて今日は一緒に来てくれてありがとうございます」

 水島さん、急に私の方を向いてそう言い出した。しかも、今までになく目が真剣だ。これから何が始まるんだ?

 水島さんは大きく深呼吸。そして私の方をしっかりと見つめる。

「私、榊田さんに支えられて今日まで看護師をやってこれました。だから、この人だって思ったんです」

「あ、ありがとう」

 お礼は言ってみた。が、この人だってどういう意味だ?

 ここで水島さんは再び深呼吸。そして、さらに真剣な眼差しで私を見る。

「榊田さん」

「はいっ」

「好きです。大好きです。私の、私とお付き合いしていただけないでしょうか。よろしくお願いしますっ」

 そう言って深々と頭を下げる水島さん。

 突然の告白に、さすがに私も驚いた。が、私こそ願っていたこと。しかし、水島さんの言葉にどう答えればいいんだ。

 すると、マスターが水島さんの頭の向こう側でにっこりと微笑んでいる。そこからは「がんばれ」というメッセージが伝わってきた。

 そうだ、ここは男としてしっかりと水島さんの想いに応えてあげなければ。

 私は頭を下げている水島さんの両手を握る。すると水島さん、私の方を向く。そのとき、私は心からの微笑みで水島さんに応える。

「水島さん、ありがとう。私も同じ思いでした」

 すると、今度は水島さんの目から涙が。急に顔がくしゃくしゃになるくらい泣き始めてしまった。

「マイさん…やった、やったよぉ…約束、果たせたよぉ…」

 するとマイさん、水島さんを抱きしめて「よくやったね」と励まし始めた。マスターもさらに笑顔になっている。

 水島さんもようやく落ち着いて、話ができる状態になったようだ。

「で、そろそろ約束っていうの、教えてもらえないですか?」

 これについては、水島さんではなくマイさんが話を始めた。

「榊田さん、まずは優香ちゃんの気持ちに応えてくれてありがとう。約束というのは、私の前で好きな人に告白をするっていうことなの」

 そうだった、私は水島さんに告白をされたんだった。大事なことなのに、すっかり忘れてしまうところだった。

「でも、どうしてそれが約束なんですか?しかも十五年前の約束なんでしょう?」

「そうなの。私と優香ちゃんの出会いは十五年前になるの。その頃、優香ちゃんは病弱で、入院生活が長かったんだよね」

 すると、水島さんがようやく口を開いてくれた。

「はい。私、小児喘息がひどくて。それで入院をしていたときに、同じ病室にマイさんが入院してきたんです」

「私、子どもの頃はちょっとおてんばで。転んで足を骨折しちゃったんだよね。それで入院した先にいたのが優香ちゃんだったの」

 今のマイさんからは、おてんば姿が想像できない。

「そこでどんなことがあったんですか?」

「私ね、ずっと入院していていたんだけど、病院ではなかなか友達ができなくて。そんなときに、マイさんが私にとてもやさしくしてくれたの。というか、マイさんに正しく生きるってことを教えてもらったかな」

「優香ちゃん、ちょっと大げさだよ。私はただ、当たり前のことを言ってただけだよ」

「それってどんなことだったんですか?」

 水島さんがマイさんから教わったこと、私も興味がある。

「うぅん、たとえばトイレのスリッパはきちんと並べましょうとか。こういうのは、後から来た人のことを考えて行動することで、たくさんのひとが笑顔になれるでしょ」

 そういえば水島さん、トイレだけでなく履物をきちんと並べるのをよく目にしていた。

「他にはどんなのがあったんですか?」

「あいさつはこちらから先に、元気よくするっていうの。私、これが一番大好きなの」

 今度は水島さんが言ってくれた。

「そういうのもあったね。これも、周りの人を元気にさせるためのものなの。ただやりなさいと言うだけじゃダメ。どうしてそれが必要なのか、その理由まできちんと伝えないと、人は動かないのよね」

 この言葉にも思わず納得してしまった。

「それで、どんな約束をしたんですか?」

 そろそろ肝心の本題を聞かねば。私の誘導に応えたのはマイさんの方だった。

「そうだったわね。そんなときに私が優香ちゃんに教えたものの一つに、『宣言すれば夢は叶う』というものだったの。夢を宣言すると、それは夢じゃなくなる。確信に変わるって」

「そうなんです。だから、そこでお互いに宣言をし合おうって約束したんです」

「宣言って、どんなこと?」

「それが今のことなんです。えへっ」

 水島さん、急に照れ笑い。

「今のことって、もしかしたら告白をするってことが宣言ってことなのかな?」

 私の問いに答えてくれたのは、またまたマイさん。

「そうなの。お互いに好きな人ができたら、どうせならお互いの前で告白しましょって。子どもの頃の他愛もない約束だったんだけどね。でも、私の方が先にそれを実現しちゃったから」

「えっ、マイさんは水島さんの前で好きな人に告白しちゃったんですか?」

「そのことは私から話そう」

 今まで黙って話を聴いていたマスターが、急に口を開いたのでびっくりした。マスターから話そうって、どういうことだ?

「実はね、私とマイは夫婦なんだよ。見ての通り歳の差カップルだけどね」

 なんと、マイさんとマスターが夫婦とは。この言葉にはびっくりした。

「私もびっくりしちゃいました。ある日、突然マイさんから連絡があって。行ってみたらこれから大事なことをするからって言われて。何かなって思ったら、マイさん、私の前でマスターに告白しちゃったんですよ。あ、その頃はまだマスターは先生でしたね」

「ははは、そうなんだよ。マイは私の教え子でね。まだマイが大学生の頃、なぜか一緒につるむことが多くて。そのうち、私のほうがマイを意識しはじめてね。それで、思い切って付き合うことを告白したんだ。そうしたら、返事はまだ待ってって言われて」

「そう、それで私、優香ちゃんとの約束を果たさなきゃって思って。それで優香ちゃんに連絡を取って、優香ちゃんの目の前でマスターに返事をしたんです。こちらこそよろしくって」

 なんだかステキは話だなぁ。

「じゃぁ、水島さんはマイさんが約束を守ってくれたから、だから自分も約束を守ろうと思って、今日の日を迎えたってことなんですね」

「はい、そうなんです。約束を守れて、本当によかったです」

 けれど、私の頭のなかではもう一つの疑問がまだ解消されていなかった。それを聞かないと。

「十五年前の約束というのはわかりました。でももう一つ水島さんに聴いておきたいことがあるんです」

「はい、なんでしょうか?」

「前にも質問したことがあるけれど、どうして水島さんって、あんなに仕事二袋して熱心にできるんですか?その意欲ってどこから湧いてくるんですか?」

「あ、あれですね。まだちゃんと答えていませんでしたね」

 すると水島さん、またもやマイさんとマスターと目で合図をしている。どうやらその理由も、この二人に関係しているみたいだ。

「今度は三年前の約束ってことになるのかな」

 これについてはマイさんが答え始めた。

「優香ちゃん、看護学校に入る前にこのお店に来てくれたの。まだオープンしてそんなに経っていない頃だったな。このときにね、優香ちゃんは私たちに『ここをどんなお店にしたいんですか』って質問してきたの」

「はい、そのときにマイさん、こんなふうに言ってくれました。このお店で多くの人が笑顔になれる。勇気を持ってくれる。そして、行動の一歩を歩み出してくれる。そんなお店にしたいって。私、その言葉に感動したんです」

「そうそう、マイはそんなことを答えたね。そのとき、私が逆に優香ちゃんにこんな質問をしたね」

「どんな質問ですか?」

 マスターが水島さんにした質問、おそらくこれが今の水島さんをつくっているんじゃないか。そんな期待感にかられた。

「優香ちゃんはどんな看護師になりたいのかって。そうしたら優香ちゃん、こんな風に答えたよね。私も人を元気にできる、そんな看護師になりたいって」

 うぅん、思ったよりありきたりな質問だし、ありきたりな答えだったな。でも、この答えだとまだ今の水島さんにはいきつかない。

 すると、次はマイさんが話し始めた。

「そこで私がこんな質問をしたの。じゃぁ、人を元気にさせる看護師ってどんな人なのかって」

「その質問にはかなり考えさせられました。人を元気にさせるってこと、ただ漠然としか考えていなかったから。そこで出した答えがこれだったんです。決して怠けないことだって。自分に対しても、患者さんに対しても、周りの人に対しても」

 決して怠けない。なるほど、それで今の水島さんがあるのか。この答えには納得してしまった。だから水島さん、自分に対しても周りに対しても厳しい目で見ているんだ。

「だから私約束したんです。決して怠けない看護師になりますって」

「榊田さん、優香ちゃんの働きぶりはどうかな?」

 マスターからそう質問されて、私は胸を張ってこう答えた。

「水島さん、すっごく熱心に働いています。周りの人の目も気にせず、言わなければいけないことはズバッと言うし。だから、看護師長も一目置いているんです」

「それはすごいね。嫌われる勇気を持っているってことだね」

「嫌われる勇気って、確か本の題名にありましたよね」

 私の言葉に、水島さんが反応した。

「はい、私、あれを読んで思ったんです。自分の中にある自分の正義を貫くことが大切だって。それに、私がやっていることは私に対してのワガママじゃない。大切な患者さんを守るためにやっていることだって。そう思っています」

 そうか、そうなんだよ。水島さんの言っていることは全て正論。確かに正論だけでは世の中は渡っていけないかもしれない。けれど、誰のために仕事をするのか、そこを見失わなければ言うべきことは言ったほうがいい。

「わかりました。私、これから水島さんの全面的な味方になります。そして水島さんを守っていきます。水島さん、一緒に病院を変えていきましょう。患者さんのために、みんなのために」

 ちょっと大げさすぎたかな。けれど、この言葉は私の心から自然と湧いてきたもの。

 こうして始まった私と水島さんのつきあい。といっても、病院内ではいつものようにふるまっているだけ。

 唯一違っているのは私の意識。今までは、ただ水島さんの近くにいたくて一緒に行動していた。けれど、今は私の方から積極的に水島さんの意見によりそい、病院内の改善活動に努め始めた。

「なんかあの二人、あやしいよね」

 周りからもそうささやかれるようになってきた。けれど、そう言われることは私としてはうれしいこと。あやしいのではなく、本当につきあっているのだから。

 そんなある日、看護師長に私と水島さんが呼ばれた。

「今度、病院内で各部署から選出して、改善委員会というのを立ち上げることになったの。私たちのところからは榊田さんと水島さん、二人が行ってくれないかな」

 これはもちろん、私としてはオーケーに決まっている。が、水島さんが予想外の返事をした。

「私はまだ皆さんの中では新米の看護師です。改善活動はやっていきたいのですが、それ以上に今はまだ仕事を覚えなければいけないと思っています。なので私は辞退させていただきます」

「えっ、水島さん、想いを成し遂げるチャンスじゃないの?」

 私は思わずそう聞いてしまった。

「私はまだまだ、看護師としては半人前です。まずは一人前の看護師になる。そのあとに、ぜひ改善活動に参加させて下さい。もちろん、改善に対しての意見は出しますので」

 そう言って深々と頭を下げる水島さん。このときに思った。何事も熱心に取り組む水島さんだからこそ、中途半端はやりたくない。まずは自分が一人前になること。そのために今、何に取り組むべきなのかをしっかりと考えている。

「わかったわ。では榊田さん、あなたは受けてくれるわよね」

「はい。もちろんです。水島さんの分までがんばります」

 つい勢いで返事をしてしまった。しかし、水島さんの想いを一緒に叶えるためにも、今は私が頑張らないと。

「じゃぁ、よろしく頼むわね。あ、せっかくだからもらったお菓子があるの。お茶も飲んで行きなさい」

 そう言って看護師長は私たちにお茶を出してくれた。お菓子もちょっと上等そうなものだ。せっかくなのでいただくことにした。

「ところで話は変わるけど。榊田さんと水島さん、あなたたち二人って付き合っているの?」

「ブホッ!」

 突然の看護師長の言葉に、お茶を吹き出してしまった。

「あらら、大丈夫?でも、そのあわて様、どうやら正解みたいね」

「はい、私は榊田さんとお付き合いさせていただいています。けれど、そのことで仕事には影響しないように心がけているつもりです」

 水島さんは平然とした顔でそう言う。すごく冷静だなぁ。

「別に、付き合っていることを否定はしていないのよ。むしろ、あなた達を見ていて微笑ましいと思えるくらいだわ。水島さんは仕事に対しては、とてもまじめに、そして真摯に向き合っているのがわかるし。榊田さん、水島さんのことをよろしく頼むわね」

「は、はいっ、わかりましたっ!」

 なんか私だけ一人で緊張して、ピエロみたいだなぁ。けれど、これで看護師長も認めてくれる公認の中になったわけだ。堂々と水島さんと付き合っていけるぞ。

 とはいえ、逆を言えばこれからは周りの目が厳しくなってくるわけだ。怠けていたり、下手に病院内でイチャイチャしていると、やっぱりねって言われかねない。これには気をつけないと。

「私、約束したんです」

 水島さんが突然そんなことを言い出した。約束って、あの十五年前の約束のことなのか?それとも三年前の方なのか?

「どんなことなの?」

 看護師長は興味深そうに水島さんに質問してくる。私も興味津々だ。一体どんな約束なのだろう。

「私、十五年前に約束したんです」

「十五年前って、すごく前のことね。あなたが小学生くらいかしら」

「はい、そのときに私、看護師になろうと思ったんです。当時は病弱で、入院生活が長くて」

 そういえば、マイさんとの出会いは聞いていたけれど、看護師になろうと思ったきっかけは聞いていなかったな。水島さんにいったいどんなきっかけがあったのだろう。

「そのときにお世話になった看護師さん、あの方がすごく私に対して一生懸命で。その姿を見て、私その人と約束をしたんです。私も絶対に、その人みたいなカッコいい、一生懸命な看護師になりますって」

「そうだったのね。十五年前といえば、私は四十歳手前くらいかしら。あのころは市民病院で小児科に勤めていたわね」

「えっ、私が入院していたのも市民病院でした」

「へぇ、奇遇ね。じゃぁ、ひょっとしたら私が水島さんのお世話をしたかもしれないのね」

「あの…失礼ですが、そのころに私が話したような約束をした覚えはありませんか?」

「ごめんなさいね。そのころはたくさんの子どもの面倒を見ていたから、ひょっとしたらそんなことがあったかもしれないけれど。患者さん一人ひとりのことはあまり覚えていないのよ」

 残念ながら感動の再開とはいかなかったようだ。さすがにそこまで偶然が重なるとも思えないし。

「けれど、憧れの人がいるっていいわよね。水島さん、あなたは間違いなく立派な看護師になれるわよ。私が太鼓判を押してあげる」

「ありがとうございます。そう言われると勇気がわいてきます。もっとがんばらなくちゃ!」

 水島さん、とても張り切っている。私も水島さんのサポートをがんばらなくちゃ。

「では、榊田さんには改善委員会のことをもう少し話すから。水島さんは先に現場にもどってらっしゃい」

「はい、わかりました」

 そう言って水島さんは、前にも増して元気になったようだ。

「さて、榊田さん」

「はい、改善委員会のことですね」

「それもあるけれど。その前にあなたには話しておくわ」

「何をですか?」

「水島さんが言っていた、十五年前に約束をした看護師のこと。あれ、実は私なの」

「えぇっ、やっぱりそうだったんですか。でも、どうして水島さんにはそう言わなかったのですか?」

「彼女には幻滅してほしくなかったの。あこがれている人があまりにも身近にいて。しかもこんなおばさんだし」

「そんなことないですよ。私から見ても、看護師長はすばらしい人です」

「ありがとう。そう言ってくれると、私もまだまだ仕事のやりがいがあるなって思うわよ。私が水島さんの憧れている看護師だってことは、まだまだ内緒にしておいてね。彼女にはもっと活躍してもらわないといけないから」

「だったら、名乗ったほうがいいんじゃないですか?」

「私はそうは思わないの。いつかは十五年前に約束した人に会える。その日が来るまで、自分磨きを忘れない。彼女はきっとそう思うに違いないから」

 確かに、水島さんの性格からしてそう思うだろう。

「わかりました。じゃぁ、私からも一つ約束をしてくれませんか?」

「ん、なぁに?」

「水島さんが一人前の看護師になったって思ったときには、ぜひ名乗り出てください。それまでは水島さんを、ぜひ育て続けてください。よろしくお願いします」

 私はそう言って頭を下げた。

「わかったわ。じゃぁ、私からも一つ榊田さんに約束してほしいことがあるの」

「はい、何でしょうか?」

「水島さんが一人前になるまでは、別れたりしちゃダメよ。心の面で彼女を支えてあげてね」

「はいっ、わかりましたっ!」

 私は大きな声で返事をした。とともに、この先の大きな責任を受け止めた。よし、水島さんを大切にするぞ。

 よし、私も約束をしよう。今ここで、看護師長に水島さんを大切にすること、そして幸せにすること。

 そして水島さんにも約束をしよう。十五年前の約束を果たせるような、一人前の看護師になることをサポートすることを。そして、この先ずっと水島さんを見守っていくことを。

 あれっ、それってプロポーズじゃない。まだ正式に付き合い始めてそんなに日が経っていないのに。

 でもいいや。私はそれだけ、本気になっているってことだから。どうせなら、カフェ・シェリーのマスターとマイさんの前で約束をさせてもらおうかな。こりゃ、公開プロポーズになりそうだな。

 そんなことを考えてながら職場に戻る。

「榊田さん、何かいいことあったんですか?」

 そこにいた看護師仲間から、そんな言葉をかけられた。

「えっ、どうして?」

「だって、すごくニヤニヤしちゃってるから。あ、水島さんと看護師長に呼ばれたから、なんかいいことあったんでしょ」

「ま、そうかもね」

 以前の私だったら、そんなこと言われたら否定していたけれど。けれど今は違う。本気で約束をしようとしているのだから。

 そうか、約束をするって人を本気にさせてくれるんだな。よし、やってやるぞ!


<十五年目の約束 完>

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