表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

納得がいかない

 「はい? 『遺品整理』?」


 「そう! イヤー、珍しいスキルを引いたもんだね。レアだよ極レア!」


 僕、柏木かしわぎ 貴也たかやは、さっきまで学校行事であるスキー合宿のため学校のマイクロバスでスキー場に移動中だったはずだ。


 それが気が付いたら、どこかの神社でおみくじを引いていた。


 「はい、次の人ぉ~。」

 「イヤイヤイヤ、ここはどこですか? なんでおみくじ?」

 「ああ、詳細は向こうの受付で聞いてね。今日は、大忙しなもんで。」


 振り返るとそこには、『受付』と書かれた紙が貼ってあるテントがあった。

 体育祭とかで、放送係とか来賓者とかが居るあのテント。


 やけに軽い調子の神主さん? はもう次の人の応対をしていた。

 しかたがない、受付に行って聞こう。何が何だかわからないまま、俺は受付のテントに向かった。


 「あのー、すみません。」

 「はい、何でしょう。」

 「僕、気が付いたらここに居て・・・何が何だかわからないんですが・・・。」

 「お名前は?」

 「柏木 貴也です。」

 受付のお姉さんは、何やら書類をペラペラめくっていたが、突然手を止めて言った。

 「ああ、スキー合宿に行く途中で事故に会われた方ですね。」

 「え!? 事故?」

 「はい、そのように記載されております。」

 「えーっと、では、僕は死んだのでしょうか?」

 我ながら、間抜けな質問だとは思うが、思わず聞いてしまった。


 「いえ、まだ身体は生きていますよ。」

 「え!? では、生き返れるんですか?」

 「はい、ですが、生き返ってもすぐにお亡くなりになりますが・・・。」

 どういう事だろう?

 「身体がもう、持たないんですよ。なので今『生き返る』を選択しても、すぐにお亡くなりになります。」

 「すみません、何をおっしゃっているのか全然わかりません。」

 「まあ、そうでしょうねぇ・・・、とりあえずお座りください。ご説明します。」

 僕は素直に、受付の横の椅子に座った。

 受付のお姉さんは、後ろの人に声を掛けて僕の前に来て言った。

 「今回の件は、いわゆる『神々の喧嘩』が発端でして、通常はすぐに転生するんですが、原因が原因なだけに、超法規処置ってやつで被害者の方の要望を聞いているんです。」

 「要望?」

 「はい選択肢は、1.すぐに死ぬけど生き返りたいか 2.お詫びスキルを貰って異世界へ転生するか 3.転生先の希望をかなえてもらって転生するか の3つになります。」

 「・・・すでにおみくじでスキルを貰っている場合はどうなりますか?」

 「異世界へ転生ですね。」

 「僕は、要望を聞いてもらってないんですが・・・。」

 「スキルを貰った時点で、異世界へ行くことは決定していますね。」


 マジか・・・。本当にどうしてこうなった。


 「異世界は選べますか?」

 「選べません、喧嘩相手の神様が収める国になります。」


 マジか!


 ニコニコ笑う笑顔のお姉さん。

 あたりを見渡しても普通の神社。

 スキルって言われても、全然実感がない現状。


 「お詫びスキル以外に優遇処置ってありますか?」

 「そうですねぇ・・・、『アイテムボックス』とか『鑑定』とかですかね。」

 「ほかには?」

 「あとは、『3つのお願い』とかですかね。」

 「何ですかそれは?」

 「『万能言語』が欲しいとか、『大金持ちの家に生まれたい』とか可能な範囲内でのお願いを3つ選べるものですね。」


 「『アイテムボックス』と『鑑定』は標準装備で、その他に選択できるスキルがあるのですね。」

 「いえ、『3つのお願い』スキルではなくて、『加護』ですね。」

 「加護?」

 「はい、創造神以外に12柱の神がいる世界です。その神々の加護が3つ選べれます。」

 「それぞれに、違う役割の神様がいるのですね。」

 「そういうことになりますね。通常この世界では、1柱の神のご加護があります。3つと言うのは破格の待遇ですよ。」

 「ちなみに、どういう神様がいますか?」


  1.大地神(植物の栽培が上手になる)

  2.海神(航海や漁が上手になる)

  3.動物神(動物がなつきやすくなる)

  4.言語神(多言語が上手になる)

  5.商売神(商売が上手になる)

  6.治癒神(回復が早くなる)

  7.山神(鉱物から作るのが上手になる)

  8.運神(運が良くなる)

  9.戦神(武器の扱いが上手になる)

 10.生長神(成長が早くなる)

 11.日神(昼間の能力が上がる)

 12.月神(夜間の能力が上がる)


 以上12柱の加護を付けることができるらしい。


 取り敢えず、運は良くなりたいよな。

 運が悪かったからこうなってるんだし。


 1つはもう決まってる。


 あとは言語と治癒で悩むな・・・。

 でも、生まれ変わるんだ。言葉なんて時間を掛ければなんとかなるだろう。

 

 「決まりました。」

 「はい、どの神様の加護にしますか?」

 「まず運神、次に治癒神、最後に創造神です。」

 「はいぃ? 創造神は選べませんよ。」

 「どうしてですか?」

 「創造神以外の12神から選んでください。」

 「創造神以外には12神いるってだけで、創造神を選んではいけないって決まりでも?」

 「いえ、決まりではありませんが、加護は12神から与えられることになってますから。」

 「でも、今回は『お詫び』なんですよね?」

 「・・・はい。」

 「加害者が決めたお詫びは、受け取れないと言ったらどうなりますか?」

 「・・・。」

 「自分の不始末を部下に丸投げってどう思いますか?」

 「・・・。」

 感情的にならずに、あくまで冷静に交渉する。


 「少々お待ちください。」

 うん、わかってはいるんだ。受付のお姉さんは何も悪くないって事は。

 でもね、死んでまで『いい子』で居る必要性を感じないんだな。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ