4 コロッシアム
「不味い止まって!」
マンタ琴子の指示は間に合わずサメ琴子がグリオットの
起こした地面の崩落に
巻き込まれた
「しまった!グリオットの奴これを狙っていたのか!?」
アナがマンタ琴子に言った
「グリオットは自分の足下の地面を触手で壊して崩した」
「恐らくサメのお嬢ちゃんを孤立させるのが目的だ」
恐らくサメの琴子が
この作戦の要だと気づかれたんだろうが…それに気が付くのが少しばかり遅すぎた
グリオットはこの古い町の
地下に広大な地下遺跡が
有ることを利用したのだ
やはり地の利は敵にあったのだ、マンタの琴子は歯ぎしりして悔しがる
「地下遺跡を利用するのは
私達も考えていたけど…
グリオットも考えていたなんて思わなかった」
その意味では琴子はダークネスを少し舐めているとしか
言いようがない
持って生まれた自分の能力を活かす
いわゆる高等戦術を使える
敵は初めてだ
「今までの敵と根本的に
違う…何とかしないと…
勝てない」
マンタ琴子はダークネスは
能力をただ闇雲に使う
怪獣位に考えていた自分を
反省した
そうなのだダークネスにも
感情もあれば考える力も
あるのだ
今までそういったダークネスと出会わなかっただけなのだ
アナでさえ琴子からしてみれば頭の良い怪獣程度の存在と思っていた
「ダークネスの知能は
6ヶ月で16世紀の人類と
同等に成るらしいけど
その頃の人類は別に
現代人と其れほどの差異は
無いはず…」
誤解していたのは認めた上で
次の対策を練るマンタ琴子だった
だが…その時、トリ琴子は
マンタ琴子の指示を待たずに
行動を起こしていた
「考えるのはあの子に任せて
私だけでも先に落ちた子を
探しに」
地下遺跡は地中に埋まっていて、
建物の中の空いた空間だけを利用して移動出来る
状態なのでトリ琴子は
移動のさい羽を使えず
足で移動した
「此処では触手攻撃を
防ぐ手だてがない…触手は
振り回すだけじゃなく
閉めたり突き刺したり色々
できるもの」
派手な攻撃しかグリオットの
触手攻撃は考えていなかったが…使い方を工夫されると
誠に厄介な武器である
琴子の優位性は広い空間が
絶対条件だ
「根本的にあの触手をどうにかしないと…総合力で
私達が勝っても意味がない」
敵は空を飛べない
琴子にとってその点は大きかった
琴子達はスピードの差異はあるが全員飛べる
「飛べない敵を追い込むには
…広い空間に閉じこめるしかない」
この地下遺跡でそんな空間が…あるだろうか?
トリ琴子は落ちた仲間を
探しながら同時に戦略も
練っていた
マンタ琴子は大規模な戦略に向いた思考だが
単体の敵との戦略はトリが一番向いていた
理想を言えば触手をモノともしない攻撃を加えること
そう…この上を狙うなら
どうしても圧倒的と言える
力が必要な時期に来ている
琴子は自分がそろそろ
二段変身の段階にきた
兆候に気が付いていた
「時折身体に力が漲る時が
ある…経験値を一番積んでいる私が…誰よりも早く
変身の時期が来たんだ」
トリ琴子が二段目に突入すればその力は何倍にも増加する
グリオットととの戦いが
琴子の経験値を飛躍的に
上げていたのだ
「ダークネスの進化する力は
凄い!でも私と同じ事が
他のダークネスにも起きているのも事実…戦闘中で
グリオットの進化は出来るなら見たくない」
戦いの回数で単純に進化する
訳でもないので
琴子のように最弱から最強に
成っていくタイプの
ダークネスとは違い
グリオットは生まれながらに
高い能力を与えられている
そのため強敵と言える程
競える敵と交戦していない
「エリートのダークネスと
最弱のダークネスとの戦いで
グリオットは私達を侮っている…そう思う根拠は
まだ…サメの琴子を殺せて
いないから」
そうだサメ琴子はまだ殺されていなかった
グリオットの触手で攻撃は
されているが
サメ琴子は生き延びていたのだ、無数の触手が
サメ琴子を追って遺跡の
中をシュルシュルと伸びていった
「追いつかれてたまるか!」
サメ琴子は空間を泳ぐように
移動するが
遺跡の中は所々壊れていて
先に進めず、折角グリオットの触手から逃れても
どんずまりの場合引き返す
事になるのだ
兎に角この遺跡の中はまるで
迷路のようである
「俺の触手の追撃から
逃れることは出来ないよ
お嬢ちゃん…僅かな大気の
振動でも君の位置を捕らえて
追いかける」
グリオットの触手にサメ琴子が捕まるのも時間の問題だ
この遺跡はやはりグリオットにとって優位な場所となった
サメの琴子は徐々に追いつめられそして遂に逃げ場を
失ってしまう
「しまった!」
気が付けばサメ琴子は袋小路に追いつめられていた
無数の触手が背後を埋め尽くしている、もう逃げ場がない
サメ琴子は無数の敵に
向きなおり戦闘態勢をとる
「解ったわもう逃げるのは
止めよ!掛かって来なさいよ
噛みついてやるわ」
サメ琴子は牙を剥いて威嚇したが、モノを考えない
触手にその威嚇が無意味なのも当然だった
サメ琴子は必死に抵抗したが遂にグリオットの触手に
捕らえられてしまう
猛烈な締め付けでグリオットの触手はサメ琴子を攻撃する
「悪く思わないでくれお嬢ちゃん…これもダークネスの
掟だ…君を倒して俺は
自分のテリトリーを守らせてもらう」
5体の琴子の力は自分と
同等だと感じていたが
グリオットの方にこの戦いでは分があった
グリオット自信、琴子には
大きな可能性を感じていたが
手を抜いて戦うのはダークネスとして出来ない事である
「後少し後に出会っていたら
俺より強く成っていただろうが
…時間は君に味方しなかったみたいだね…残念だよ」
グリオットはサメ琴子の
息の根を止めようと琴子の
口から触手を忍び込ませる
心臓のコアを破壊させて貰うグリオットはそう呟くと
サメ琴子の小さなコアを
探り当てた
この小さな心臓でこれまで
どれほどの凶暴な怪物達と
戦って勝ってきたのだろう
其れを思うとそう易々と
握りつぶせるものではない
琴子の必死の思いと姉に対する想いがこの小さな身体を
支えて来たのが痛々しい
だが…ダークネスの戦いに
そんな信条は無用だ
グリオットは雑念を捨てて
サメ琴子のコアを触手で
握りつぶしに掛かった
「この幼き小さい命を奪う
我が罪を許したまえ神よ」
グリオットはダークネスの神
ゾスターに許しを求めた
ー否ー
其れとも人間が崇める神に
この少女の救いを求めたのかも知れない
グリオットは圧倒的な優位の状況でしかも
命乞いさえしないで自分という強者に
果敢に挑んでくる琴子に
敬意さえもっていた
「だからこそ…手心を加えることは
この小さな戦士を侮辱する事になる…だが…
なんて重い命なんだ…この
少女ダークネスの命は…」
サメの琴子は口から吐血しながら悲鳴さえ上げようとしなかった
恐らくコアを破壊される瞬間さえ悲鳴はおろか声さえ
上げはしないだろう
何故こんな幼い少女が此処まで耐えきれるのか?
グリオットは琴子のコアを
破壊する決意を揺らがされていた
「何故だ?何故俺はこの小さな命に手を掛けた途端
こうも気持ちが揺さぶられてしまうのか!?」
それは特別な感情がグリオットに
芽生えた証拠だった
その時だった
グリオットがもの凄いプレッシャーを感じ取ったのは
「何だ!?このプレッシャーは?凄まじい力を感じる」
グリオットは触手で
自分にプレッシャーを与える存在の位置を探り当てた
そこに見つけたのは
羽を生やした小さな身体の
1体のダークネスだった
「そこまでよ…グリオット
その子を離して私と戦いなさい!」
グリオットはトリ琴子の登場に安堵した
どうやらこの子となら
こんな嫌な感情で殺し合わずに済みそうである
グリオットは喜んで
グッタリとしているサメ琴子をゆっくりと下に降ろした
トリの琴子はその様子を
ジッと見ていた
そしてサメ琴子が解放された瞬間 再び戦いが始まった
凄まじい土簿こりを上げながら遺跡の空間を2体のダークネスはもみ合うように
進んでいく
遺跡の中という限定された
空間のハンデをモノともせず
トリの琴子はドリルのように回転しながら堅い土と遺跡の石を砕きながら進んでいった
やがて急に開けた空間に
行きあたり2体のダークネスはその空間に放り出された
「何だ此処は?まさかこの
遺跡にこんな場所が?」
グリオットは触手でこの
土に埋まった遺跡を探索してはいたがこの空間の存在は
認識していなかった
恐らくこの空間に繋がる通路は土で埋まって探れなかったものと思われる
だがトリの琴子はグリオットに教えた
「私達の一人は土の中を
電波を放射してその反射で
何があるか探知できるタイプがいるのよ、この闘技場
を発見出来たのもその子のお陰よ」
だが大きな問題ではない
この空間を利用できるのが
実はトリの琴子だけでは無いからだ
グリオットの触手も広い
空間では鞭のように使い
物体を切断出来る
「条件が同じになっただけで
俺とお嬢さんの優越の差は
何も変わらないよ」
確かにグリオットの言うとおりである
グリオットの殺戮空間に入るにはトリ琴子一人では無理だった
コウモリ琴子とサメ琴子の連携無くして突破出来ない
「本当にそうかしら?条件が同じなら…あなたが勝つの?
絶対に…」
勝てると言い切れない
グリオットは今の琴子は
先ほどまでの感じと全てが
違うと解っていた
目に見えていないだけで
琴子は何か大きな力を隠していると
「勿体付けずに見せてくれお嬢ちゃん」
トリ琴子はグリオットの
その言葉を聞き
「気づいていたの?」
それだけ言うと
琴子は一瞬沈黙した
この空間には琴子が新しい
姿を造るのに適した
十分な材料が揃っている
今この時…琴子の力は最高潮に達した
原子が激しく振動し闘技場の
空間にあるあらゆる物質が
発熱を始めた
そしてその原子を琴子の
身体が吸収し取り込んでいく
この瞬間ダークネスの驚異的な能力が発動した
この世界に存在する物質を
全て自分の身体の一部として
利用し琴子は巨大なフクロウの身体を生成した
爪とクチバシはダイヤモンドと同じ硬度を持ち
身体を覆う羽毛は鋼の強さを手に入れた
材料さえ手には入ればダークネスである琴子は何度でも
この新たな姿を作り出す事が
可能なのだ
実際一度この姿に変身できればDNAに刷り込まれた情報を
失う事はなく一瞬で姿を変えられる
そして新たな姿を手に入れた
琴子はその力に見合った
技と超能力を同時に
手に入れた…
巨大なフクロウの姿をした
凶悪なる魔獣
「伝説のアンドロマリウスの誕生かこれは…想像以上の変身だ
…もうお嬢ちゃんだなんて呼べないな」
グリオットの驚きは相当の
ものだった
だがこれでグリオットは
心おきなく戦うことが出来る
そう思ったその時
アンドロマリウスは
その巨大な力の片鱗を見せる
グリオットが髪の毛触手で
攻撃したが
その攻撃はフクロウの口から
発する超音波で邪魔される
どころか一瞬の内に
原子分解させられた
破壊的な超音波攻撃である
グリオットは一瞬にして
その危険を察知し
髪の毛触手を地中に突き刺し
土の中に潜り込んだ
「あの超音波をコロッシアムの閉ざされた空間で受けるわけにはいかない」
この攻撃に驚異を感じた
グリオットは地中からの
攻撃に転じた
アンドロマリウスの超破壊音波も地中には届かない筈である、グリオットの触手は
穴を掘ることは出来る
先に何があるか探知できないだけだ
黙視でアンドロマリウスの
位置は特定できている
このまま地中から触手で
串刺しにしてしまおう
そうグリオットが考えて居ることはアンドロマリウスには
想像できていた
だからグリオットのいる
方向にアンドロマリウスは突進したのだ
触手をいくら攻撃しても
グリオットにダメージを与えられない、本体を叩く
猛禽類のフクロウの足爪がグリオットの目前に迫る
その攻撃を紙一重でかわし
地中から触手の攻撃をアンドロマリウスの背中に
加えるが角度が浅く鋼鉄の羽に弾かれた
「この攻撃を弾くとは相当な防御力だな!だが角度さえ
合えば刺さるし、攻撃する
部位を柔らかい部分にすれば
問題は無い」
グリオットの触手は数万の
中級ダークネスに匹敵する
戦力がある
本体であるグリオットがトリの琴子と同じクラスの戦力であっても
数万のダークネスを同時に相手にしていると考えればアンドロマリウスに進化した琴子であっても
そうたやすく倒せる相手では無かった
だがグリオットもアンドロマリウスに進化した琴子の圧倒的な戦闘力には手を焼いた
戦いの場数を琴子の数倍
経験しているグリオットだから何とか凌げているのだ
並の経験値だったらグリオットと同じ能力があったとしてもとっくに殺られていた
「おかしい…この俺と比べてもアンドロマリウスの戦闘経験は其れほど差がない…」
グリオットがアンドロマリウスの柔らかい部位である
目玉や羽毛の隙間に触手の
槍を突き立てようとしても
巧みに身をかわしグリオットの攻撃を突破する
そして隙を見て超破壊音波の攻撃を本体であるグリオットに当てようとする
「攻撃が手慣れている
アンドロマリウスの経験値が俺と同等の筈はないのに
何故だ?」
グリオットは他の琴子の
存在を忘れていた
ダークネスとして目の前の
敵のみに集中するのは当然の本能なのだ…一度
殺戮スイッチが入れば
敵を殺すまで絶対に止まらない…それがダークネスなのだ
「どうやら私の分身達が来たみたい」
グリオットが気が付くと
琴子の分身体がこのコロッシアムに集合していた
サメの琴子も既に別の琴子に回復されて戦線に復帰してきている
「どうやら…俺の方が今度は絶体絶命みたいだ…」
アンドロマリウスと4体の
琴子が協力すればグリオットの能力でも勝つ見込みは無いに等しい
「だが…俺も名の知れたダークネスの一体…此まで俺が
倒してきたダークネスの誇りに掛けて此処で敗北を認めるわけにいかない…」
グリオットは最後の力を
見せることにした即ち
捨て身の攻撃と言うやつである、この攻撃はグリオットの
触手を鋭い槍状にして
前包囲に一斉に放射する
自爆技である
数十万のダークネスにたいし
使う戦法だが
このコロシアムで
使用すれば琴子達も生き残る事は不可能だろう
「逃げる事を君に勧めるよ
君たちなら巻き込まれる前に
この遺跡から出られる筈だ」
マンタ琴子はグリオットが自爆する気だと気が付き
自分以外の分身達に待避するよう伝えた、だが
サメの琴子は逃げる所か
グリオットに近づいて行く
「何を考えてるの?一刻も早くこの場から離れるのよ!」
マンタ琴子の説得を無視し
サメ琴子は発光し始めた
グリオットに近づいて行った
「何をしてるんだいお嬢ちゃん…仲間の子の言ったとおりだよ、
危ないから早く逃げるんだ」
グリオットの側に来た
サメ琴子はグリオットの目を正面から見据えながら
「どうしてあの時 私を殺さなかったの?」
グリオットは笑いながら
「君が強かったから…殺せなかったんだ…それだけさ」
サメの琴子はグリオットの
頬を平手でバシィと叩いた
「!!」
いきなりの琴子の行動に
流石のグリオットも驚いた
「この弱虫!何で自分から
死のうとするのよ!私なんか生きたくても生きられなかったのに」
グリオットの自爆シーエンスはまだ続いている
「お嬢ちゃん…」
その緊急事態にアナはギリギリで駆けつけた
それで詳しい状況は解らないが琴子が
グリオットを追いつめ
自爆技で最期を向かえようとしていることはアナにも理解できた
そしてグリオットの気持ちも
ある程度察しがつく
「あいつ…お嬢ちゃんに
気持ちでもう負けてやがる」
そう…琴子とグリオットの
戦いは、サメの琴子を
殺せなかった時点で勝負は
既に着いていた
「多くのダークネスの死の上に
君臨するボスの立場状
降伏するより死を選ぶ
しかも敵を巻き込んで倒す
大技だ…英雄の死として
派手な演出だしな」
アナは
爆発寸前のグリオットの
近くに恐れもなく近寄った
他も琴子達も同様だった
そしてその様子を伺っている
もう一体のダークネス
其れはグリオットの側近を自称するゴメスである
彼もグリオットと運命を
共にする気でその場に止まっていたのだ
アホだがなかなかの忠信ぶりである
「グリオット様…」
爆発寸前で発光している
グリオットの周りを
恐れもせずに琴子達は取り巻いていた
「一体何のつもりだ?このままだと君達も俺の爆発に
巻き込まれるぞ」
「いや爆発が起こす破壊より
槍となった触手が君達全員を串刺しにしてしまうぞ早く逃げる!」
グリオットはそういって
琴子達を遠ざけようとした
「このまま…果てる気なの?
貴方は何のために生まれてきたのグリオット」
マンタの琴子がそう言い
「死ぬのなら私達にその力を
貸して欲しい…」
クラゲのスカートの裾を
唇で噛みながら大人しい
性格の部分の琴子がグリオットに願った
「私達はお姉ちゃんを捜して
世界中を旅して来たけど
どうしても見つけられなかった…だから」
この時グリオットは琴子が
戦う理由を知った
「姉の行方を探すために
セブンデッドリー・サインズに成ろうとしていたのか…?
只それだけのために」
グリオットは琴子が姉に対する思慕のみで
自分を凌駕する戦闘力を身に付けた事実に
感動した
「どうやら俺は…此処で
死ぬわけにいかないみたいだ」
グリオットは自爆を止める
決心をした…だが
「くそう!少し遅すぎたか
もう…爆発を止められない!逃げてくれお嬢ちゃん」
琴子は首を横に振った
「簡単に諦めないでグリオット!貴方一人で出来ない事も
私達が手を貸せば乗り切れるはずよ!」
琴子がグリオットに自分の
生体エネルギーを送り始めた
「お嬢ちゃん!?」
グリオットの体の発光が
少し弱まる
「触手を通常の状態に
戻せた…後少しだ」
琴子の強力なエネルギーを
与えられ残り少なかった
グリオットのエネルギーが
復活し体の制御が出来るようになったのだ
「奇跡が起こった…こんな事が起きるなんて…絶対駄目だと思ったのに」
グリオットの死の自爆シークエンスはギリギリの所で回避出来たのである
琴子達の想いが神に通じたようだ
ダークネスの神ゾスターも
お前にもっと生きて戦えと
御所望な様だな」
グリオットに向かってアナがそう言った
「俺に生きてお嬢ちゃんを
手伝えって事か…成る程
生きる目的に成るな…」
グリオットは此まで成り行きに任せて戦ってきた
多くのダークネスがゾスター王の野望を叶えると言う
明確な目的を持ちながら
グリオットは異端だった
ただ琴子の為に働くのは
悪くないと思う
「俺より劣る弱い存在…
そう思って初めはダークネスのセブンデッドリー・サインズの争いに参加しないよう
お嬢ちゃんを止める気だったが…戦ってみて解った」
「お嬢ちゃんは強い…必ずセブンデッドリー・サインズになれる器だと確信した」
数万のダークネスのボスだったグリオットが自分が制圧したハブの全てを
琴子に譲ると決めたのは直ぐだった
後はどの町を琴子の城にするかが問題だった
「此処ヨーロッパを五つに分けて統治するのが一番効率が良いんだが」
グリオットとアナは二人で
琴子を盛り立てることを
その日の夜話し合い決めた
「俺はハブの攻略と琴子の
バックアップをするから
アナはハブを管理してくれ」
此まで多くのハブを攻略したグリオットなら琴子の
軍師として申し分ない
それに戦闘能力も琴子の
アンドロマリウスに継いで
二番目なのだ
「確かに妥当な線だが…
お嬢ちゃんが此から戦う
ダークネスの戦力は…
相当きつくなる筈だ」
グリオットもその点では
よく解っていた
勝ち残ったハブのボス達は…
★付箋文★