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猫の手紙  作者: サシミ
7/28

猫7

懐かしい夢。俺は、あの時何を見たんだ?どうしても思い出せない。春菜が笛のようなものを吹いていたのは覚えているが、その先が………。俺って、こんなに記憶力悪かったっけ。………少し悲しくなった。

「……暇」

黒猫の横には、食い散らかした缶詰めがある。行儀レベルは、最低だ。話せるということを除けば、コイツもただの猫。

「お前、汚いな。洗ってやるよ」

正直、このまま歩き回れたら部屋が余計に汚くなる。

「シャ〜シャ〜」

怒ってる。

「…じゃあ、タオルで拭いてやる」


俺は濡れたタオルで黒猫の体を拭いてやった。その間、何度となく爪で引っかかれ、俺は傷だらけになる。………数時間後、黒猫は綺麗になる。汚れの落ちたその体は、どことなく品があり、…高く売れそうな気がした。


「………」

「守銭奴のような最低最悪な目つきしてるな、タケルは」

売る計画がバレた。

テレビからニュースが流れている。俺には関係のないツマラナいものばかり。

交通事故?

不正融資?

離婚?

…………眠くなる。

「………」必死に猫は、ニュースを聞いている。もしかしたらコイツは、こうやって人の言葉を覚えたのかもしれない。………な、わけない。


「前にも聞いたけど、なんでお前は話せるんだ?」

「………………」

やはり答えない。


「じゃあ、………じゃ…あ…」

まぁ、どうでもいいか。そんなこと。

「タケルは、なんであんな仕事してる?」

「なんでかな」

テレビ以外の音は聞こえない。とても静かな夜だ。

「アンタ…近いうちに死ぬよ」

俺は、テレビ画面を見たまま考える。俺は、死ぬのか?……………俺の勝手だろう。これは俺の命なんだから。バカバカしい!


「さっさと寝ろよ、バカ猫」

「お前がな」

…………憎たらしい。

テレビを消し、寝る。

無意味に睡眠薬を飲む。この癖は、なかなか直らない。昔から……。


【シナせなイ】


そう、聞こえた気がした。

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