猫5
三人に会った。顔には生気はない。ただ、ヘラヘラ笑っているだけ。中には、俺を見て舌を舐める女もいた。
早く終わらせよう。カバンを三人に渡す。
俺
「中身を確かめろ」
不気味な男
「うんうん、いいね。いい感じだ。ただ、量が少ない気が…。だろ?」
不気味な女
「そうだね。うみゃ〜、はぁはぁはぁ。ま…ぁ…仕方ないよぉ。君に言っても仕方ないしぃ、可哀想。ね?」
何が、ね?だ。ふざけやがって。
俺
「また、宜しくな」
三人
「………」
三人とも俺には興味がなくなったらしく、カバンの中身をいじくり回している。その目は異常な光を宿し、凶暴な猿のようだ。
アパートに帰ると、玄関の前に、封筒が置かれていた。
中身を見ると、キッチリ5万円が入っていた。
俺
「勝手に部屋に入りやがって…」
薄暗い部屋に虚しく声が響く。
電気もつけないまま、俺はベッドに横になった。腹はすいていたが、今は胸が何かでつかえ、食べる気はしない。
今頃、あのバカ三人は夢の中か…。奴らは気づいていないだろう。地獄に足を踏み入れてることに。まぁ俺には関係ない。
窓から風が入る。その風が一瞬何かに遮られ、部屋に何かが飛び込んできた。
俺は、起き上がる。暗い部屋に青白い目が光っている。
猫
「……」
俺がしたことを一部始終見てたのだろうか、この猫は。
俺
「腹が減ってんなら、キャットフードがあるぞ?」
猫
「………」
部屋の電気をつける。
俺
「食いたかったら言えよ」
猫
「………」
俺は、また横になる。目をゆっくり閉じた。
猫
「アンタは、今のままでいいの?」
俺
「…………」
ふふ、面白い猫だな。俺に説教する気か?
猫
「夢に逃げてるのはアンタだよ。タケル」
………………………俺「」……………………………………………分かってるよ。そんなことは