猫3
家に入ってからしばらく考えた。この状況はなんだ?
この生け簀かねぇ状況は…
そこら中から、食器の割れる音や何かの液体が零れる音が聞こえる。
俺
「……………」
我慢だ、我慢。たかが下等な動物ごときに怒ったら俺の品位が下がるってもんだ。
……………ガシュガシュ、ガシャ………ピチャビチャ
俺
「………い…」
………ガシャン!(何か割れる音)………ガリガリガリガリ(壁が傷つく音)
俺
「いい加減にしやがれぇ!この猫野郎が。ここは、俺の城だぞ!好き勝手しやがって」
はぁはぁはぁ、疲れる。
猫
「………分かった。お前、からかうと面白いからさ」
なんで俺がこんな目に………ゴホゴホ、あ〜つれぇ
俺
「今から寝るから静かにしてろよ」
限界をとっくに超えた俺は、そのまま寝てしまった。
………………………………………………………まただ。
忘れていたはずなのに俺は、またこんな夢を見てしまう。
夢の始まりがあるのなら終わりはどこにあるのか。
早く俺はその終わりを知りたい。
……………………………春…………………菜………。
目を覚ます。寝ながら俺が泣いていたことを知った。
静かな部屋。散らかっていたあの部屋は、綺麗に掃除され整頓されていた。部屋の片隅で、丸まっている汚い猫が小さな寝息を立てていた。
お前が片付けたのか?まさかな。
寒そうに見えたその漆黒の体に毛布を掛けてやった。こうやって改めて見ると少し、ほんの少しだけ可愛かった。
服を着替えた俺は、外に出掛けた。
風邪薬とキャットフ―ドを買うために。
自分でも信じられないことだが、俺は受け入れようとしている。この一人と一匹の生活を。