表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫の手紙  作者: サシミ
26/28

猫26

猫で良かったことがいくつかある。その一つは、どんな狭い場所でも出入り出来ること。体が柔らかいからさ。もう一つは、匂いに敏感なこと。人間には、分からない微かな匂いも私にしっかりと主張してくる。アイツの匂いを追うことも簡単。

「………?」

何してるんだろう。漆黒の闇に複数の人間。もう少し近づこうかな…う〜ん…やっぱり止めよう。アイツが知らない人間たちに何かを渡していた。

チラッと見えたアイツの顔は、凄く恐かった。なんで、そんな顔をするの?


嫌い。


…………。なんでかな。こう、胸が痛いんだよね。

アイツは、さっさとどこかに行ってしまった。残された人間たちは…………本当に人間?


死骸に群がるネズミみたいだ。

吐き気がした。

私は、クルッと回って走る。

でも、すぐにアイツの後を追う気にはなれなかった。

商店街を意味もなくダラダラ歩く。


その時、どこからか声がした。振り返っても何もない。

「?」

……………。

誰もいない商店街は、野良猫や野良犬の溜まり場になっている。

でも、今夜はそれすらもいない。不自然だった。



メガネをかけた男

「静かでいい場所だね」

透き通る声で、話しかけられた。私は、すぐに声の主を探した。

だが、いない。

どうして?


「どこにいるの?」

メガネをかけた男

「どこにもいない。僕は、影だから。見ることはできない」


「カ…ゲ?なんで、私に…」

こんな体験は、初めてだった。どうしていいか分からない。

メガネをかけた男

「もうすぐ、君の大事な人が死ぬ。もし、助けたいなら自分を思い出すことだね」

思い出す?何を思い出すんだろう。


【君は、まだ本当の自分を知らないから】


そう、聞こえた気がした。もう声はしない。

私は…私は。


大事な人…。

そう言われた時に、アイツの顔が頭に浮かんだ。


なんか、嫌な夜だなぁ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ