猫25
次の日、いつもみたいに餌を探しに出かけた。街中をユラユラ歩く。…まだ私の頭は考えていた。昨夜の夢を。なんで、あんな夢を見たんだろう。
私
「あれ?」
道を外れた草むらに人が倒れている。昨日の男だった。ドキドキする。…………………どうしよう。………。何度もその道を行ったり来たりした。私には、関係ない!関係ない…。
男
「何してる?バカ猫」
私
「アンタのヤスリみたいな顔で爪研いでる」
………。
男は、無愛想に立ち上がると歩きだした。どこに行くのかな?きっと、コイツの巣に帰るんだろう。
私は、男の巣まで付いていく。別にやることなかったから。ただ…それだけ。巣の中は、さほど汚くなかった。私よりも綺麗な巣だった。………なんかムカついた。
男が、何かわめいている。どうやら、怒っているらしい。散らかった巣は、やっと私の巣と似る。満足。フフン!
男は、少し高い場所で寝てしまった。寝息が少し苦しそうだった。…病気かな。死ぬの?コイツ。ふぅ〜ん。
私
「…………」
散らかった部屋に私と人間。
だんだん眠くなってきた。いつもなら、まだ眠くないのにな。
夢だと分かる夢。
また、人間の姿になっていた。
やった!なんか嬉しい。
でも、夢なんだよね…。
目の前には、やっぱり寝ている人がいた。あれ?でも前見た人と違うや。ってか、アイツだ。まだ、鼻をムズムズさせながら苦しそうに寝ている。この男は、面白い。私が人間になったら、きっと凄く驚くだろう。まぁ…夢の中だけどね。起こそうかな。声は出ないけど今度は動ける。私は、男に近づいた。その時、
男
「…………春………菜」
!!!!!!!
全身に電気が走った。
私
「…………」
なんか、分からないけど凄く驚いた。胸の真ん中が風船みたいに軽くなる。なんだろう、コレ。
私は、男から離れた。足先に物が当たる。痛かった。夢なのに…変な夢。
私は、男の巣を綺麗にした。やることなかったから…ただそれだけ。あれ?…でも、私…なんで掃除なんて知ってるんだろう。………。人間になって初めて分かる。私たちとは違うことを。人間がどれだけ優秀かを改めて知った。だって、両手でなんでも出来るもん。
あっという間に、巣は綺麗になった。なんか疲れた。夢なのに…疲れるなんて……変なの…。床に猫みたいに丸まった。やっぱり、これが一番いいや…zZ