猫2
何時間探しただろうか………。
暗闇を優しい朝の光が切りさいていく。
正直、俺は諦めかけていた。もう、喋る猫などさほど興味はなかった。ってか、本当にそんな猫はいたのか…
俺
「……………」
頭がボ―とする。眠気だけではない、寒気も感じた。どうやら俺は風邪を引いたらしい。まぁ、当たり前と言ったら当たり前だ。一晩中、寒空の下で動き回っていたのだから。
目が自分の意識に関係なくだらしなく下がってくる。まるで俺………死ぬみたいだ。
俺
「くだら…ねぇ」
最後に耳に聞こえてきたのは、自分の体が地面に倒れる音だった。
…………………………………………………………。
夢を見た。
とても懐かしい夢。
でも凄く嫌な夢。
どいつもこいつも嫌
俺
「!?」
突然、何かに触れられた気がして目が覚めた。
猫
「……………」
なぜか、俺の顔をあの肉球でゴシゴシ洗っている。少し痛い。いや、かなり痛い。隠された爪が顔に触れると激痛が走った。
俺
「何してる、バカ猫」
猫
「アンタのヤスリみたいな顔で爪研いでる」
俺
「やめろ」
猫
「…………」
止める気配は全くない。
仕方なく、ダルい体を起こした。少し退いた猫が残念(?)そうに俺を見つめていた。改めて見ると…………やはりただ汚らしいだけだ。
猫
「何よ、そのバカにしたような目は」
俺
「バカにしてるんだ」
猫の毛が逆立つ。
殺気を帯びた。
俺
「…………」
帰って寝よう
猫
「………」
フラつく足で家を目指す。
猫
「………」
なせか、俺の後を付いてくる黒猫。
俺
「…………」
無視して歩き続ける。
猫
「…………」
……………………………振り返る。
猫
「!!」
少し視線を逸らす猫。
俺
「………」
結局、俺の部屋(6畳)まで付いてきた。どいつもこいつも…………嫌いだ。