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猫の手紙  作者: サシミ
19/28

猫19

「見つかったの?大事なもの」

猫は、丁寧に俺の話を聞いていた。それだけで俺には、話す価値があったと思えた。

「………」

「まだ見つからないんだね」

バスが来るのが見える。

その時、突然胸に激しい痛みを感じた。

「…そ…」なんなんだよ!この痛み。ヤバイ。

「タケル?…その胸…」

俺のシャツがべっとりと赤く濡れている。それと同時に鉄臭い匂いが辺りに拡散する。

なんな…んだよ。勘弁してくれ。

今にも気絶しそうだった。バスから降りた客の悲鳴が、ゴワゴワと聞こえる。目の前が半分白くなる。

………………………………。


目を覚ました時、俺は白いベッドの上にいた。点滴の管が、手から伸びている。病院特有の消毒液の臭いがする。

震える指先で、胸を触る。着慣れていない服の隙間から。

血は出ていない。傷らしい傷の感触もなかった。

じゃあ、いったいあの血はどこから…?

猫がいない。どこいった、アイツ。


目で追うが、まだ目眩がしていて焦点が定まらない。


点滴を無理矢理外し、ゆっくり立ち上がる。看護士や医者に見つからないように病院から出た。

……病院の外には、猫がいた。それと、…あの不思議な少年が。

不思議な少年

「病院では治せない病気もある」

「なんで、…ここに来た?」

俺は、震える足に手を思いきり叩きつけた。痛みで、頭を覚醒させる。少しスッキリした。

「私が呼んだの。……タケルには、この子が必要だから」

必要?どういう意味だ。

問題も分からなければ答えも分からない。

ただ一つなんとなく分かったことがある。俺は…あの時死んだということ。

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