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猫の手紙  作者: サシミ
15/28

猫15

荷物を整理し、旅館を後にする。

猫は、ここ数日で少し太った。ここの緩やかな風土に………。

次は、どうするかな。

「どうする?」

猫に相談する。

「働け。真面目に」

………………。

どうすっかなぁ。

漁師にでもなるか?目の前、海だし。

ハハ。ないない。

仕事といったら、人には言えないことしかやってないしなぁ

「タケルはさ、夢はないの?」

夢……俺の夢………空を見上げても答えは浮かばない。

俺たちは、バス停まで行った。

とりあえず、次のバスに乗り、考えよう。

自販機でジュ―スを買い、中身を容器に移す。猫は、ペロペロ舐めている。どことなく、機嫌が良い。

飲み終えた猫が話しかける。

「タケルさ、………今まで人を信用したことないでしょ?」

………ハハ。

俺は缶を置き、髪をかいた。思い出す。

「あるよ。過去にある。二回だけ」

お前には、特別に話してやる。お前なら………もしかしたら。

乾いた風。

太陽は、どこまでも街を照らしている。平和な世界。

だけどさ、世の中には必ず例外が存在するんだ。光があれば、闇がある。光ばかり見ていると、闇を恐れるようになる。本当の光は、闇の中にだけあることに気づかない。

俺も気づかなかった。あの時までは。


7年前、俺は刑務所にいた。場所は、……今も分からない。そこに着くまで目隠しをされていたから。そこは、まさに闇の中にあった。どっかの金持ちのバカが建てたらしいことは分かっている。


受刑者の中には、その場所を楽園と呼ぶ奴もいた。

…………………………タ………タケル。俺

「なんだ?また、具合い悪くなったのか?」

老人

「あぁ…少し…ここら辺が痛むんだぁ」

胸を押さえている。いつものことだ。だが、このままにしておくわけにもいかない。俺は、隠しておいた薬を老人に手渡す。

老人

「ありがとなぁ。タケルさん。ありがとう」

俺とこの老人は、同じ牢屋の住人だった。

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