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猫の手紙  作者: サシミ
14/28

猫14

ここに来てから数日がたった。

ここにいると時間の感覚が鈍くなる。

それなのに俺の生活リズムは、一定で。

居心地は、まぁまぁ良かった。猫も気持ち良さそうに昼寝をしている。

「……………」

わざと畳を叩き、音を出す。バン!

「………?」

一度、面倒臭そうに顔を上げたがまたすぐに寝る。

………つまらん。

俺は、外に出た。この宿の主人は、本当に良い人で何かと俺たちの世話をしてくれた。まぁ俺から言わせれば、甘い人間。足に罠がかかっていても気づかないタイプだ。


宿の主人

「いってらっしゃい!暗くなる前に帰ってきてくださいね」

………俺は何歳だ?

しばらく歩くと、海の香りを感じなくなった。商店街をブラブラ歩く。………歩く。

そうしていたら、あの不思議な少年を見つけた。どうやら、友達と一緒のようだ。………?様子が少しおかしい。

少年A

「…これでいい…ですか?あの…今はこれしかないんだ…」

不思議な少年

「……………約束したのより少ない。お前、ダメ」

受け取った金を捨て、足で踏みつけた。

少年B

「ぼ…僕は、きちんと持ってきたよ!ほら」

汗ばんだ手には、何枚ものお札が握られている。

不思議な少年

「……………」

お金を何も言わずに受け取る。

へぇ…こんな田舎町でもカツアゲあるのか。

俺は、また歩き出す。少年たちを素通りする。

………ドサッ!

少年B

「ひぃい!!」

短い悲鳴を上げた。

不思議な少年

「……………」

間もなく、少年Aも同じように倒れた。

不思議な少年は、何事もなかったかのようにその場を去った。お金は、そこに捨てて。

「……………」

振り返って見ていた俺と目が合う。

不思議な少年

「…………」

相手の目からは、何も伺うことは出来ない。ただ、ほんの少しだけ俺の姿を瞳に宿す。

その目は、何百年もこの世界を見てきたように果てなく底が深い。

…この少年とはまた会う気がした。

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