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猫の手紙  作者: サシミ
12/28

猫12

久しぶりに旅行に行きたくなった。場所なんてどこでも良かった。ただ、いつもみたいに部屋に籠もるのは耐えられなかった。


「行きたい場所あるか?」

「…へへ」

………海か。

まぁ、行ってみるかな。

田舎電車に乗る。猫は、カバンの中に入れた。とても大人しくしている。

「…………」

ジ――――――。

ジ―――――――。

カバンからヒョッコリ顔を出した猫が外の風景を見ている。きっと、コイツにとっては見るもの全て新鮮なんだろう。

しばらく寝ようかな。どうせ、終点まで行く…し………。


「…ふぁあ。良く寝た」

春菜

「…………」

何故か、怒った様子の春菜ちゃん。

僕は、すぐに状況を理解した。謝る。

「ごめんね、春菜ちゃん。ボク…なんか眠くなって…」

僕たちは、草原にいた。春菜ちゃんは、笛を吹くのを止めている。

春菜

「…どうだった?下手くそでごめんね」

春菜ちゃんも謝る。なんで謝るのか、僕には分からなかった。

「ううん、凄く綺麗だった。上手かったよ」

正直、笛の演奏などさほど聞いていなかった。僕が見てたのは、春菜ちゃんの横顔と…雰囲気。

春菜

「本当?…良かった……ぁの」最後の方は、声が小さくて聞きとれなかった。

「そろそろ帰ろう?春菜ちゃん」

二人仲良く手を繋いで帰る。

春菜ちゃんの手は、少し熱っぽかった。

「さようなら。今日は、楽しかったよ。ありがとね、えっと……笛のやつ。ハハ、また明日!ね」春菜ちゃんの家の前で別れた。

春菜

「うん。さようなら。ありがとう、タケルちゃん」

離れてすぐに、何故か寂しくなった。春菜ちゃんと別れたからではない。僕には、触れられない存在になったと思えたから。もう…二度と。

メガネをかけた男

「何を見てるの?」

「……昔」

もう戻れない昔。今だから昔。昔なら今。帰る場所は、あそこだけだったんだ。僕は、答えを知りながら選択を間違えた。

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