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猫の手紙  作者: サシミ
11/28

猫11

ある人が僕に問う。

「君の宝物は何かな」………分からない。

別の人が問う。

「君の夢は何かな?」………分からないよ。


だって、僕には何もないから。でもね、こんな僕にも大切な人はいるよ。守りたい人、とても大事な人。………その人は、今いないけど…きっといつか………


【逢えるから】


俺は話しかける。何度も。

「…………」

「どうしたんだ?早く話せよ。憎たらしいこと言えよ、いつもみたいに」

「……………」

猫は、窓から外の変わり映えしない世界を見ている。

………。

「はぁ……何が」どうなってる?なんで俺は生きてる?なんでコイツは話さない?

携帯が揺れている。小刻みに俺に主張している。

「……………」

賢治

「タケルか?どうしたんだよ、お前。約束の時間は、過ぎてるぞ」

約束?なんの話だ。

「俺………撃たれたんだ…死んだ…」自分でも、可笑しなことを言っていると分かる。


賢治

「誰にだ!誰に撃たれた?」

「お前が今日…紹介した客に」

疲れていた。頭が混乱している。

賢治

「…タケル?…あのさ、今日はまだ客は紹介してない。お前…」

何言ってんだ。

取引しただろ?つい、さっき。あれから、まだ数時間しか経ってないはずだ。

賢治

「………」

賢治は何かを考えている。

賢治

「お前、俺との約束は何時だ?今は、8時半。30分も過ぎてる」


ゆっくりと腕時計を見る。

「………なんだよ、これ」

時間が戻ってる?

なんで?

俺が生きてるのは、俺が死ぬ前に戻ったからなのか?ハハ、どうかしてる。俺の頭も限界らしい

「ハはハハ…」

賢治との電話を切る。

今なら、神様の存在を信じられそうだ。そういや、無宗教だっけ。これをきっかけに、十字架でもぶら下げるかな。首とかにジャラジャラと。

「………?タケル」

猫の方を向く。

「早く話せよ、猫に独り言いう趣味はねぇ」

「………それが、さ。なんか話せなかった。良く分からないけど…」明らかにしょんぼりした様子。首がダランと下がっている。

「まぁ…仕方ないな」何が仕方ないのか分からない。言葉のキャッチボ―ル失敗。二軍落ち。

狭い部屋の中に俺と黒猫。

こうして静かな夜は過ぎていく

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