猫1
あるとき黒猫を見た。とても小汚く、どこまでが汚れで、どこまでが地肌なのか分からない。
それでもその瞳は、どこか不思議な力を宿していた。
とても力強く、人間の俺が恐縮してしまうような眼力。
俺
「…………。」
猫野郎
「……………。」睨み合う俺と猫。どこか、牽制しあっている。
もうすぐ秋から冬になる。ブルっと震える二人(?)
俺
「………寒い?」猫野郎
「……普通」うん?シャベッタような気が…。いやいやいやいや、まさかね。あるわけないよ。あるわけない!
俺
「…寒い?」
猫野郎
「しつこいんだよ。人間野郎」
!!!!?????
あれ?普通に喋ったぞ。コイツ
俺
「話せる?ってか、言葉分かるの?ってか、なんで?」
猫野郎
「ウルサイ」
そう、言い残すと俺の前から去って行こうとする黒猫。尻尾がクルっと回る。
俺
「………メスか」
猫野郎
「!!!!!」少し振り返って、俺を威嚇した。結構離れてはいるものの、その視線の厳しさは俺の心まで突き刺さる。
その日、ベッドの上でダランとしながら色々と考えてみた。
あの猫のことを。
もしかしたらこれってかなりレアじゃね?…とか思ったりした。テレビ局が食いつく―>売れる―>俺に金入る―>嬉しい
幸せの輪廻。
俺
「ハハハ」
不気味に笑う俺の声が夜風に溶けていく
……………………………………………………探すか。あの猫。
ベッドから飛び降り、狭い安アパートをぶっ壊すように豪快に出た。俺と猫が会った場所へと向かった。
俺
「…………」
………………………ガサガサ、…………………ガサッ!?
俺
「!!!!!」
あの猫か!
白猫
「にゃーにゃー」
俺
「失せろ!」目を血走らした俺が猫を睨む。逃げる白猫。去る際にモザイクがかかるものを俺の足下に残して………