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軌跡  作者: カルラ
2/4

少女の悲劇 2

その笑いが恐ろしくて、怖くて、気が付いたらその男から逃げていた。




そして―――――





男は最初の頃と同じ微笑みを顔に張り付け、手を伸ばしてくる。


少女は、為す術もなくその手を眺めるしか出来ない。




―――――風の音がした。



途端に、少女に伸ばしかけていた腕から、赤い血が噴水のように吹き出る。


音の正体は風ではなく、男の腕に突き刺さったナイフであった。


頭上から衣服が羽ばたく音がする。


上を見上げれば、人影が見えた。


その人物は、音を殺して地面に着地する。


「何者だッ!?」


男性は、腕に突き刺さったナイフを抜き取りながら乱入者を睨む。


乱入者は琥珀色の髪、フードのついた上着を羽織った少年だった。


少年は、無言のまま地を蹴る。


男は、とっさに距離を取ろうとするが、ナイフが刺さった腕が痛むのか、動きがどこかぎこちない。


いつの間にか、少年は男の後ろにいた。


再び、風を切る音が辺りを支配した。


男は、糸が切れた人形のように倒れる。


男の首は、鋭利な物で切られ、第2の口となり血を吐いていた。


そして、少年はダガーを持っていた。


刃の部分には、血がべっとりと付いている。


目の前には、つい先程死んだ死体。


酷く血の臭いが鼻に突き刺さる。


そんな場所に場違いな声が響く。


「お疲れさん。

ミッションコンプリートだな、ヒリュウ」


闇の中から姿を表したのは、20代半ばの男性だった。


「いや〜、若いって良いね。

すぐに動けるのは便利だと思うぞ?」


「うるせェぞ、グリッド。

連絡はしたのか…?」


ヒリュウと呼ばれた乱入者の少年は、感情を込めていない声音で、訪ねる。


「当たりめーだろうが」


男性―――グリッドは当然の事のように返答する。


「問題は、今回の被害者か――――」


そう呟きながら、フェンスの方に視線を向ける。


視線の先には、先程の少女が倒れていた。



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