表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ある一人の世話係りにおくる聖女からの命令文

作者: 白金千乃




   笑いなさい。


   これは命令です。




   あなたはいつもよく笑っていた。


   感情を出すことが出来なかった無愛想な私とは違って、笑っていた。

   だからって怒らないわけじゃなくて、よく私を叱っていた。

   怪我をして帰れば治療しながらお小言、脱走すれば怒りながら追いかけてきて。


   私が誰かのために怪我をすると怒るくせに、自分は誰かのために平気で怪我をする。


   不公平です。



   いつかは、泣きながら怒ってたときもありましたね。

   随分と器用な人だと、その時だけは尊敬したんですよ。


   あなたは知らないでしょうけど。


   しつこいとは思ったけど、嫌だとは思ったことは無いんですよ。


   悲しいとか、嬉しいとか、顔に出ないののにわかる。

   のに、何かして欲しいときに限ってわからない。

   正直、何度かわざとじゃないかと疑いました。

   特に、食べたい献立だけはいつもはずれ。

   あの日はグラタンが食べたかったのに、焼き茄子はありえない。



   本当、わかってない。



   わかってない。





   ばかなんですか。


   そうなんですか。


   本当、どうしようもないじゃないですか。



   もう、どうしようも、



   、



   あなたは、ばかです。


   どうしようもないばかです。


   だから、きっと忘れないでしょう。

   後にも先にも無いどうしようもないばかなのですから、しかたありません。


   本来なら、忘れないとか、ありえないことです。

   聖女ですから。

   忙しいんですよ、本当。


   だけど、こればっかりはしかたないですね。


   ばかなのですから。



   ですから、光栄に思ってください。

   私が覚えておくことということを。


   よろこんでください。



   だから、わらってください。




   それでは今からこの文書をおくります。

   多少の時差があるかもしれませんが、届き次第、実行しなさい。


   これは、命令です。





   P.S


   髪をみだすほど頭をなでてくれるのが、結構好き






   でした





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  拝読させて頂きました。  何だか、切ないです。聖女様は、世話係さんとの生活が心から楽しかったのではないか、と思いました。  世話係さんって、かなりのお人よしなんですかね?何だか、人の為…
2011/09/18 03:05 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ