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学生運動

ネットで呼びかけてちょうを飼ってない連中を老若男女かまわずかき集め学校を占拠した。ぼくを含めて5人だがやる気満々だ。フットワークもいい。リーダーが財閥の御曹司、名門中学の生徒会長ということでぼくの名前はあっという間に世界中に拡散された。

「イケメンじゃん!」

「美少年!」

「れいわの天草四郎ね!」

批判的な意見に混じって好意的な意見も世間には見られた。ぼくら立てこもり犯は校舎にバリケードを設置してヘルメットにマスク、鉄パイプ、角材、投石、火炎瓶で武装した。

食料は事前に給食室に冷凍食品を大量に持ち込んでいる。シャワー室も仮眠室もある。着替えも用意した。初日は警察官に囲まれ、友だちや親兄弟からも説得を繰り返されたが無視していると3日目からは機動隊に囲まれた。

向こうは兵糧攻めを仕掛けていて攻めてくることはなかった。用意した装備は全部無駄に終わった。ヘルメットもマスクもすぐに脱いで武器も放棄した。ぼくらにできることはテレビやネットを使って自分たちの主張を繰り返すだけだった。テレビ局が来ているので校舎の屋上からメガホンで叫ぶのだ。

「ムリやり悪人を善人にするのは洗脳と変わらない!人権無視だ!」

「アゲハの考えには何か裏があるに違いない!だまされるな!」

「わたしは今のわたしが好き!わたしを変えないで!」

交代しながら主張を叫び続けた。しかし、世間の反応は冷たかった。アゲハくんの導く世界が良いと人類は判断したのだ。7日後、衝撃のニュースが流れた。

「人類の99.9%がちょうをペットにしました。独裁国家もすべて滅び、人類の幸福まであと一歩です」

にこやかな顔で青年のニュースキャスターが伝える。

ぼくたちは衝撃を受けた。食料が尽きたうえに追い討ちで独裁国家までも抵抗をやめたというニュースだ。

「お腹すいた〜もうあきらめよう」

「まだあきらめるな!善人ばかりの気持ち悪い世界になるぞ!」

「生きていられるならそれでいい。独裁者でさえ心を折られたのに、俺らに何ができる」

「わたしももう限界なの」

「学生運動の気分を思い出せたから冥土の土産はじゅうぶんじゃ」

仲間たちは空腹で目が回っていたのか、ぼくを残して全員投降した。

「くっ!これまでか」

ぼくはあぐらをかいて座り込む。

アゲハくんのほうが一枚上手だったようだ。異能とも言える力を手にしたのも彼女の日頃の行いが良かったからで運も実力のうちだ。

ぼくは彼女に完全敗北したのだ。もうすぐ機動隊が突入してきてぼくの身柄は確保されるだろう。自殺や飢え死にをふせぐために。この後は少年刑務所行きだろうか。もうどうでも良かった。ほんの半年前までの栄光の日々が胸に去来する。ぼくは仲間に恵まれてみんなに慕われて誰からも尊敬されていた。あの頃に戻りたい。

「一文字くん」

顔を上げるとちょうのかたまりが目の前に出現していた。

「うわっ!」

おもわずあとずさる。ちょうがほどけてかたまりの中からアゲハくんが現れた。マントのようにちょうを全身にまとっていたようだ。色鮮やかな蝶達が舞い教室が蝶園のようになる。

「投降して善行なさい。あなたの魂を最高に輝かせたいの」

ぼくは立ち上がる。

「うそだ!きみは演技している!きみはいったい何を手に入れるつもりなんだ!吐きたまえっ!」

絶対に何か隠している。ぼくにはわかる。世界でぼくにしかわからない。その答えを知りたい。

アゲハくんは肩をすくめる。

「まったくもう・・・なんて強情な男なんだてめえはよ」

アゲハくんは頭を書いた。やっぱり芝居をしていた!ぼくの知っているアゲハくんが目の前にいる。うれしくて笑みがこぼれてしまう。

「正体を現したな!めぎつねめ!」

「あたいが何を手に入れるのかあんたにだけ教えてやる」

アゲハくんは驚きの真相を語りはじめた。










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