【設定資料】本作の世界観について
「剣と馬と馬車の世界にコンピュータ~!?」「幻影って何!?」など、気になった方向けにまとめてみました。
そうでも無い方はサッと読み飛ばしてください。
■魔法と魔力
本作に登場する架空世界には、魔法が存在する。魔法は、戦いに有利な攻撃系から、日々の生活を支える日常使い系まで多岐にわたり、魔力を消費することで発動する。
この世界の人々の暮らしを支えるエネルギーは、電力ではなく魔力である。電気というか、電磁誘導くらいなら発見されているものの、魔力の利便性が高いため、発電や電力利用の研究はあまり進められていない。
魔力は、この世界の大抵の物質や生命体に宿っている。中でも、大きく発達した脳を持つ哺乳類には、多く宿りやすい傾向がある。再生可能なエネルギーでもあり、枯渇するほど使ったとしても、よく食べて寝れば一晩ほどで回復する。
一個の生命体が持てる魔力量には個体差があり、生まれ持った魔力量以上に魔力を持つことはできない。同じ種類の生き物であっても、この個体差は非常に大きい。
ほんのちょっとした魔法すら発動できない人間もいれば、数千人の生活を一人で支えられるほどの膨大な魔力を持つ人間もいる。また、魔力量は遺伝する傾向があり、魔力量の多い両親を持つ子供は、おなじく魔力量が多くなりがちである。
そのような人々は、魔力提供の見返りに社会から崇められ大切にされ、やがて王侯貴族となった。
■魔晶石
明るいブルーの鉱石であり、周囲の魔力を吸収して蓄える性質を持つ。結晶構造は水晶によく似ていて、魔力を蓄えた状態では蛍光する性質がある。
本作の世界において、再充填可能なバッテリーとして広く採掘・利用される、再利用可能な石炭のようなもの。
魔晶石の鉱山を押さえることは、国力を上げるうえで非常に重要な要素である。
■魔術式、術式
魔力さえあれば誰でも同じ魔法を扱えるようにするものが、魔術式または術式。術式は、魔力というエネルギーを、特定の魔法という結果に結びつけるための共通言語である。
術式は、単純に人間によって発見されたとも、神の恵みによって与えられたとも言われている。
■魔導具
術式が刻まれており、魔力を流せば、または充填済み魔晶石を併用すれば、誰でも同じ魔法を使える道具の総称。
現実でいう家電のような生活魔導具や、情報通信機器、アクセサリー型で術式書き換え可能なものなど、多種多様に存在する。
■幻影
魔法によって撮影・投影された音声つきの動画、無声動画、または静止画(つまり写真)。特に呼び分けのない場合は、音声つき動画を指すことが多い。呼び分ける場合、動幻影、静止幻影などと呼ばれる。
作中で初めて登場した幻影は、専用紙に転写されたユリウスの静止画(つまり見合い写真)である。
■魔導通信網
魔力の動力と信号で情報をやり取り可能なネットワークであり、ようするにインターネット。まだ世界中を繋ぐには至っておらず、グランツェルリヒ帝国全土の主要都市町村と、隣国の一部地域のみが接続されている。
無線魔導通信を中継する魔導塔、ようするに基地局と、それらを接続する強固な魔導繊維線網からなる。
もとは魔導塔の配備が先に進んでいたところ、アナスタシア達が生まれる30年ほど前に有線網化が進み、帝国全土を覆う大規模情報通信網となった。
■固有魔法と術式魔法
術式が発見される以前、特定の人間や一族などしか使えなかった魔法を、固有魔法という。現代の魔法との比較で、原初の魔法、旧魔法などと呼ばれることもある。
魔法には固有魔法しか無かった時代、人々には、自分が使う魔法を他者にも使えるようにする術が殆ど無かった。伝えようにも「フワーッと魔力を集めてガッてしてバーンてする」のような表現しかできず、感覚の近い家族親類なら辛うじて伝わるかもしれない程度の状態だった。
術式発見後、魔法は自由に共有できるようになる。また、いくつかの魔法を組み合わせることで、固有魔法よりもずっと複雑な魔法を発動することも可能となった。
■グランツェルリヒ帝国
本作の架空世界における、世界最大の大国。世界最大の大陸に存在しており、その大陸で最も広い領土を持つ。西側は大西洋的な大海に面しており、それ以外は他国と隣接している。
国名は『栄光の帝国』という意味。アナスタシアが暮らす首都(帝都)は『アイゼンシュタット』といい、『鉄の都』という意味の名前。
国家形態は、中央集権型の貴族制帝政国家。統治者たる皇帝は世襲制で、基本的には直系血族から選ばれる。
大国ゆえに、あらゆる文化や技術が最先端かつ最大規模に近く、中でも軍事力は世界最高峰。
言語や文化は、現実のドイツ(ゲルマン民族国家)系。中世ヨーロッパ(11~15世紀)テイストに貴族社会をイメージしているものの、技術的には近代産業革命前後(18世紀後半~19世紀)に近い。
現実の北欧神話によく似た神々を信仰する多神教国家であり、どれか一柱を指定する国教などは定められていない。神殿や教会が色々ある。
■ヴァイセンドルフ辺境伯家
グランツェルリヒ帝国領土の北部を支配する辺境伯家であり、最北端に直轄領を持つ名家。代々、帝国防衛の最前線を担う名門軍事貴族家の一翼。
東部を支配するレーヴェンタール辺境伯家と並べて、帝国の双翼、帝国のふた剣と呼ばれることもある。
本作の相手役男性であるユリウスの生家。
現当主はユリウスの父フリードリヒ、現辺境伯夫人はユリウスの母ベアトリクス。ユリウスの2人の兄は、長男がアウグスト、次男がマティアス。
長男アウグストは次期当主、次男マティアスはその補佐をする予定。
ヴァイセンドルフ直轄領は、降雪量が多く、厳しい寒さの地域である。
■レーヴェンタール辺境伯家
グランツェルリヒ帝国領土の東部を支配する辺境伯家であり、最東端に直轄領を構える名家。ヴァイセンドルフとおおよそ同等の名門軍事貴族家。二家は互いをライバル視しがちだが、殺し合うほどの禍根はない。
過去にアナスタシア祖母の妹が降嫁しており、次期当主である嫡男ジークベルトは彼女の孫。
■情報通信技術の発展
本作の架空世界における情報通信技術は、伝令の固有魔法を起源とする。
伝令魔法を扱える魔法使いたちは、遠く離れた他の伝令魔法使いに視覚・聴覚情報を送受できた。
彼らは、時の権力者に重用され、戦争に多く駆り出された。その存在や生死が戦いの勝敗に大きく影響したため、優先的に命を狙われる立場でもあった。
術式の発見により、伝令魔法は、魔力さえあれば誰にでも扱えるものとなる。また、かつては、他方の伝令魔法使いの脳内に視覚・聴覚情報を直接送ることしかできなかったところ、投影魔法と組み合わせることで、誰にでも知覚可能な音声つき動画像となった。
この動画像が “幻像” と呼ばれるようになる。
さらに、ライブ中継しか無かったものが発達し、情報を記録して再生したり、紙に静止画像(つまり写真)として焼き込んだりすることもできるようになった。
時代が進み、魔力の通りやすい金属が発見されると、そうした金属を導線としたほうが魔力送信の効率がいいとわかる。これを使った魔力供給網、そして情報通信網が整備されるようになり、主要都市がこれらの有線網で整備された。
これによって、かつての無線魔導通信では不可能だった距離の通信、および通信情報量の増大が可能となった。
アナスタシアたちが生きる現代のグランツェルリヒ帝国では、約30年前に、主要都市の情報通信網がすべて接続され、帝国の端から端まで、高速に情報が伝わるようになっている。
狭い地理範囲内での通信や、通信網整備が進められていない町村、または移動端末通信においては、従来の無線魔導通信が使われている。
■魔導通信メッセージ
現実でいう電子メール。帝国の端から端まで、遅くとも数分以内には送受できるが、改ざんが容易なほか、筆跡がないので、送り主や内容の偽造がされやすいという問題点があった。現在は、秘文術式や署名術式などの併用で改善されている。
貴族同士の大切な手紙や、契約書などの重要書類を扱う場合は、魔導通信メッセージではなく、紙とインクを使うようマナーとして推奨されたり、規則として定められていたりする。
■本作架空世界のコンピュータ
おおまかな仕組みは現実のコンピュータと一緒で、魔力と術式で動く魔導具。
■アナスタシアの私用のコンピュータ
外装が白で二枚貝を象った形状の、11インチのノートパソコン。おもに友人令嬢たちとのおしゃべりに利用される。
電源ボタン(電気じゃないけど)に宝石があしらわれ、外装の二枚貝もラメ入りでキラキラ輝く、乙女心に刺さるデザインである。大人気通信魔導具として、十代の貴族令嬢たちを抱える家々に爆売れしたモデルでもある。
貴族向けのため、高価。カラーバリエーションはパステルカラー多めの24色で、外装カスタマイズのオーダーも可能。
中産階級~富裕層の平民にも買える、廉価素材・軽機能版のシリーズも存在する。
■アナスタシアの移動通信端末
スマートフォンっぽい携帯電話。ゲームで遊べるような高機能はなく、音声通話とテレビ通話とメッセージ送受信ができる程度。
それでも最高級モデルであり、かなり通信距離が長いほか、通信秘匿や持ち主認証の機能が優れている。
■アナスタシアのデビュタンティン用ドレス
皇室に代々受け継がれている白のデビュタンティン(社交界お披露目)用ドレス。帝国と皇室の紋章にある双頭の鷲をイメージした、鷲の双翼がビスチェ前面に金糸で刺繍されている。
皇女のドレスと考えても値段別格な高級素材と高技術縫製で仕立てられているものの、型が古いのでバチクソに重く、パニエもすべて布で出来ており、総重量は42キロにも及ぶ。
これを着て何曲も踊ったアナスタシアも、これを着たアナスタシアを抱き上げて運んだユリウスも、中々のパワータイプである。
着ることを許されるのは直系皇族のデビュタンティンだけだが、すべての姫が着てきたわけではなく、新たに好みのドレスを仕立てて着た姫が多い。
理由は、前述の通りバチクソ重いうえ、デザインが流行から乖離しがちなため。
なお、軽量クリノリン(鳥かごパニエ)が既に普及しており、本当にアナスタシアだけが苦行に挑んでいた。
■帝国貴族の義務
グランツェルリヒ帝国の貴族は、帝国の魔力エネルギー供給網に対し、魔力量に応じた一定の魔力を捧げる義務を持つ。
捧げられた魔力は、街灯や浄水施設など、社会インフラ設備を動かす動力として利用される。
王侯貴族が住む住居には、魔力提供のためのパネルが設置されている。そこに手を触れることで、自身の屋敷の設備や、社会インフラ設備の動力源として魔力を提供できる。
社会インフラに提供した魔力量に応じ、貴族年金に上乗せした給与も国から支給される。
皇族は、魔力提供の義務をもたないが、大抵の場合は自主的に魔力提供して、皇宮や帝都インフラの動力としている。
なお、アナスタシアが魔力提供を始めてから、皇宮は常に動力充填MAXとなっており、あふれた魔力が帝都インフラに毎日回され、さらに隣接領にまで流れている。
帝都の魔力消費は全都市で最も多いので、これは異例の状態であるが、アナスタシア自身は「皇族なのだから、これぐらいできることもあるだろう」と思っている。
アナスタシアは、魔力提供に慣れていなかったころ、魔力を一気に送りすぎて供給線を壊してしまい、皇宮各所の壁を破裂させ、停電ならぬ停魔状態にしたことがある。
■帝国の貨幣と通貨
帝国の貨幣は、金貨・銀貨・銅貨からなり、それぞれグランツ・ゼルネ・フェニルという単位で呼ばれる。1グランツ = 10ゼルネ、1ゼルネ = 100フェニルである。
庶民向けのビールは1杯3~8フェニル、牛すね肉煮込みは20~35フェニル、特別な日のフルコースは1.2~1.8ゼルネほどの値段。
皇女であるアナスタシアのイブニングドレス(夜会用の華やかドレス)は120~200グランツ、夜会向け宝飾品セットは300~700グランツする。
アナスタシアの皇女としての基本年俸は1,200グランツ、それにプラスで品格維持費などの付帯支給が年額2,300グランツほどで、合計3,500グランツが年予算として与えられる。
■ドレスの着回し
皇女のアナスタシアであっても一種のドレスを新調する数は年に3着程度であり、『一度でも社交界でお披露目したドレスは着られない』などといったマナーは存在しない。
格式がその夜会等に合っていればよく、皇族主催の公式行事参加か、前にそのドレスを着て行った夜会と同じ主催者の夜会参加でなければ、基本的に何度でも着回していい。
皇族主催の公式行事では絶対に着回してはならないが、それ以外なら、宝飾品やヘアアレンジ・小物変更などで印象を変えるだけでもOK。
たいていの貴族令嬢たちは、特に裕福な貴族家でないかぎり、同じドレスをリフォームアレンジで着回している。貧乏貴族だけがそうする、ということもない。
ちなみに、ドレスを一度しか着られない文化は主に19世紀イギリスやフランス宮廷のものであり、ドイツ圏貴族はアレンジ程度で普通にドレスを着回していた。
■蒼翼隊
アナスタシアを護る役目をもつ、皇女親衛隊。アナスタシアの瞳の色「蒼」を象徴色として名付けられた。
女性騎士が多く所属している。
主人公が異世界転移/転生していないので、世界観設定の8割が「その人物にとって意識するほどのことじゃないもの」になってしまいました。
だから、異世界転移/転生って人気ジャンルなんですかね。




