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目隠し皇女は、許嫁の愛が重すぎることにまだ気づいていない。アナスタシア皇女伝  作者: 佐藤みさき
第一部 第一章 アナスタシア編

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【設定資料】本作の世界観について

「剣と馬と馬車の世界にコンピュータ~!?」「幻影って何!?」など、気になった方向けにまとめてみました。

そうでも無い方はサッと読み飛ばしてください。

()(ほう)()(りよく)

 本作に登場する()(くう)世界には、()(ほう)が存在する。()(ほう)は、戦いに有利な(こう)(げき)系から、日々の生活を支える日常使い系まで()()にわたり、()(りよく)を消費することで発動する。

 この世界の人々の暮らしを支えるエネルギーは、電力ではなく()(りよく)である。電気というか、(でん)()(ゆう)(どう)くらいなら発見されているものの、()(りよく)の利便性が高いため、発電や電力利用の研究はあまり進められていない。


 ()(りよく)は、この世界の(たい)(てい)の物質や生命体に宿っている。中でも、大きく(はつ)(たつ)した脳を持つ()(にゆう)(るい)には、多く宿りやすい(けい)(こう)がある。再生可能なエネルギーでもあり、()(かつ)するほど使ったとしても、よく食べて()れば一晩ほどで回復する。

 一個の生命体が持てる()(りよく)量には個体差があり、生まれ持った()(りよく)量以上に()(りよく)を持つことはできない。同じ種類の生き物であっても、この個体差は非常に大きい。

 ほんのちょっとした()(ほう)すら発動できない人間もいれば、数千人の生活を一人で支えられるほどの(ぼう)(だい)()(りよく)を持つ人間もいる。また、()(りよく)量は遺伝する(けい)(こう)があり、()(りよく)量の多い両親を持つ子供は、おなじく()(りよく)量が多くなりがちである。

 そのような人々は、()(りよく)提供の見返りに社会から(あが)められ大切にされ、やがて(おう)(こう)貴族となった。


()(しよう)(せき)

 明るいブルーの鉱石であり、周囲の()(りよく)を吸収して(たくわ)える性質を持つ。(けつ)(しよう)構造は(すい)(しよう)によく似ていて、()(りよく)(たくわ)えた状態では(けい)(こう)する性質がある。

 本作の世界において、再(じゆう)(てん)可能なバッテリーとして広く(さい)(くつ)・利用される、再利用可能な石炭のようなもの。

 ()(しよう)(せき)の鉱山を()さえることは、国力を上げるうえで非常に重要な要素である。


()(じゆつ)(しき)(じゆつ)(しき)

 ()(りよく)さえあれば(だれ)でも同じ()(ほう)(あつか)えるようにするものが、()(じゆつ)(しき)または(じゆつ)(しき)(じゆつ)(しき)は、()(りよく)というエネルギーを、特定の()(ほう)という結果に結びつけるための共通言語である。

 (じゆつ)(しき)は、単純に人間によって発見されたとも、神の(めぐ)みによって(あた)えられたとも言われている。


()(どう)()

 (じゆつ)(しき)が刻まれており、()(りよく)を流せば、または(じゆう)(てん)済み()(しよう)(せき)(へい)(よう)すれば、(だれ)でも同じ()(ほう)を使える道具の(そう)(しよう)

 現実でいう家電のような生活()(どう)()や、情報通信機器、アクセサリー型で(じゆつ)(しき)()()え可能なものなど、多種多様に存在する。


(げん)(えい)

 ()(ほう)によって(さつ)(えい)(とう)(えい)された音声つきの動画、無声動画、または静止画(つまり写真)。特に呼び分けのない場合は、音声つき動画を指すことが多い。呼び分ける場合、動(げん)(えい)、静止(げん)(えい)などと呼ばれる。

 作中で初めて登場した(げん)(えい)は、専用紙に転写されたユリウスの静止画(つまり見合い写真)である。


魔導通信網(マギネート)

 ()(りよく)の動力と信号で情報をやり取り可能なネットワークであり、ようするにインターネット。まだ世界中を(つな)ぐには至っておらず、グランツェルリヒ(てい)(こく)全土の主要都市町村と、(りん)(ごく)の一部地域のみが接続されている。

 無線()(どう)通信を(ちゆう)(けい)する()(どう)(とう)、ようするに基地局と、それらを接続する強固な()(どう)(せん)()(せん)(もう)からなる。


 もとは()(どう)(とう)の配備が先に進んでいたところ、アナスタシア(たち)が生まれる30年ほど前に(ゆう)(せん)(もう)化が進み、(てい)(こく)全土を(おお)う大規模情報(つう)(しん)(もう)となった。


■固有()(ほう)(じゆつ)(しき)()(ほう)

 (じゆつ)(しき)が発見される以前、特定の人間や一族などしか使えなかった()(ほう)を、固有()(ほう)という。現代の()(ほう)との()(かく)で、原初の()(ほう)、旧()(ほう)などと呼ばれることもある。


 ()(ほう)には固有()(ほう)しか無かった時代、人々には、自分が使う()(ほう)を他者にも使えるようにする術が(ほとん)ど無かった。伝えようにも「フワーッと()(りよく)を集めてガッてしてバーンてする」のような表現しかできず、感覚の近い家族親類なら(かろ)うじて伝わるかもしれない程度の状態だった。

 (じゆつ)(しき)発見後、()(ほう)は自由に共有できるようになる。また、いくつかの()(ほう)を組み合わせることで、固有()(ほう)よりもずっと複雑な()(ほう)を発動することも可能となった。


■グランツェルリヒ(てい)(こく)

 本作の()(くう)世界における、世界最大の大国。世界最大の大陸に存在しており、その大陸で最も広い領土を持つ。西側は大西洋的な大海に面しており、それ以外は他国と(りん)(せつ)している。

 国名は『栄光の(てい)(こく)』という意味。アナスタシアが暮らす首都((てい)())は『アイゼンシュタット』といい、『鉄の都』という意味の名前。

 国家形態は、中央集権型の貴族制(てい)(せい)国家。統治者たる(こう)(てい)()(しゆう)(せい)で、基本的には直系血族から選ばれる。

 大国ゆえに、あらゆる文化や技術が(さい)(せん)(たん)かつ最大規模に近く、中でも軍事力は世界(さい)(こう)(ほう)

 言語や文化は、現実のドイツ(ゲルマン民族国家)系。中世ヨーロッパ(11~15世紀)テイストに貴族社会をイメージしているものの、技術的には近代産業革命前後(18世紀後半~19世紀)に近い。

 現実の(ほく)(おう)神話によく似た神々を(しん)(こう)する多神教国家であり、どれか一柱を指定する国教などは定められていない。(しん)殿(でん)や教会が色々ある。


■ヴァイセンドルフ(へん)(きよう)(はく)

 グランツェルリヒ(てい)(こく)領土の北部を支配する(へん)(きよう)(はく)家であり、(さい)(ほく)(たん)(ちよつ)(かつ)(りよう)を持つ名家。代々、(てい)(こく)防衛の最前線を(にな)う名門軍事貴族家の(いち)(よく)

 東部を支配するレーヴェンタール(へん)(きよう)(はく)家と並べて、(てい)(こく)(そう)(よく)(てい)(こく)のふた(つるぎ)と呼ばれることもある。

 本作の相手役男性であるユリウスの生家。


 現当主はユリウスの父フリードリヒ、現(へん)(きよう)(はく)夫人はユリウスの母ベアトリクス。ユリウスの2人の兄は、長男がアウグスト、次男がマティアス。

 長男アウグストは次期当主、次男マティアスはその補佐をする予定。


 ヴァイセンドルフ(ちよつ)(かつ)(りよう)は、降雪量が多く、厳しい寒さの地域である。


■レーヴェンタール(へん)(きよう)(はく)

 グランツェルリヒ(てい)(こく)領土の東部を支配する(へん)(きよう)(はく)家であり、(さい)(とう)(たん)(ちよつ)(かつ)(りよう)を構える名家。ヴァイセンドルフとおおよそ同等の名門軍事貴族家。二家は(たが)いをライバル視しがちだが、殺し合うほどの()(こん)はない。

 過去にアナスタシア祖母の妹が(こう)()しており、次期当主である(ちやく)(なん)ジークベルトは(かの)(じよ)の孫。


■情報通信技術の発展

 本作の()(くう)世界における情報通信技術は、伝令の固有()(ほう)を起源とする。

 伝令()(ほう)(あつか)える()(ほう)使(つか)いたちは、遠く(はな)れた他の伝令()(ほう)使(つか)いに視覚・(ちよう)(かく)情報を送受できた。

 (かれ)らは、時の権力者に重用され、戦争に多く()()された。その存在や生死が戦いの勝敗に大きく(えい)(きよう)したため、優先的に命を(ねら)われる立場でもあった。


 (じゆつ)(しき)の発見により、伝令()(ほう)は、()(りよく)さえあれば(だれ)にでも(あつか)えるものとなる。また、かつては、他方の伝令()(ほう)使(つか)いの脳内に視覚・(ちよう)(かく)情報を直接送ることしかできなかったところ、(とう)(えい)()(ほう)と組み合わせることで、(だれ)にでも知覚可能な音声つき動画像となった。

 この動画像が “(げん)(ぞう)” と呼ばれるようになる。


 さらに、ライブ(ちゆう)(けい)しか無かったものが(はつ)(たつ)し、情報を記録して再生したり、紙に静止画像(つまり写真)として()()んだりすることもできるようになった。


 時代が進み、()(りよく)の通りやすい金属が発見されると、そうした金属を導線としたほうが()(りよく)送信の効率がいいとわかる。これを使った()(りよく)(きよう)(きゆう)(もう)、そして情報(つう)(しん)(もう)が整備されるようになり、主要都市がこれらの(ゆう)(せん)(もう)で整備された。

 これによって、かつての無線()(どう)通信では不可能だった(きよ)()の通信、および通信情報量の増大が可能となった。


 アナスタシアたちが生きる現代のグランツェルリヒ(てい)(こく)では、約30年前に、主要都市の情報(つう)(しん)(もう)がすべて接続され、(てい)(こく)(はし)から(はし)まで、高速に情報が伝わるようになっている。

 (せま)い地理(はん)()内での通信や、(つう)(しん)(もう)整備が進められていない町村、または移動(たん)(まつ)通信においては、従来の無線()(どう)通信が使われている。


()(どう)通信メッセージ

 現実でいう電子メール。(てい)(こく)(はし)から(はし)まで、(おそ)くとも数分以内には送受できるが、改ざんが容易なほか、(ひつ)(せき)がないので、送り主や内容の()(ぞう)がされやすいという問題点があった。現在は、秘文(じゆつ)(しき)や署名(じゆつ)(しき)などの(へい)(よう)で改善されている。


 貴族同士の大切な手紙や、(けい)(やく)(しよ)などの重要書類を(あつか)う場合は、()(どう)通信メッセージではなく、紙とインクを使うようマナーとして(すい)(しよう)されたり、規則として定められていたりする。


■本作()(くう)世界のコンピュータ

 おおまかな仕組みは現実のコンピュータと(いつ)(しよ)で、()(りよく)(じゆつ)(しき)で動く()(どう)()


■アナスタシアの私用のコンピュータ

 外装が白で二枚貝を(かたど)った形状の、11インチのノートパソコン。おもに友人(れい)(じよう)たちとのおしゃべりに利用される。

 電源ボタン(電気じゃないけど)に宝石があしらわれ、外装の二枚貝もラメ入りでキラキラ(かがや)く、(おと)()(ごころ)()さるデザインである。大人気通信()(どう)()として、十代の貴族(れい)(じよう)たちを(かか)える家々に(ばく)()れしたモデルでもある。

 貴族向けのため、高価。カラーバリエーションはパステルカラー多めの24色で、外装カスタマイズのオーダーも可能。

 中産階級~()(ゆう)(そう)の平民にも買える、(れん)()素材・軽機能版のシリーズも存在する。


■アナスタシアの移動通信(たん)(まつ)

 スマートフォンっぽい(けい)(たい)電話。ゲームで遊べるような高機能はなく、音声通話とテレビ通話とメッセージ送受信ができる程度。

 それでも最高級モデルであり、かなり通信(きよ)()が長いほか、通信()(とく)や持ち主(にん)(しよう)の機能が(すぐ)れている。


■アナスタシアのデビュタンティン用ドレス

 (こう)(しつ)に代々()()がれている白のデビュタンティン(社交界お()()())用ドレス。(てい)(こく)(こう)(しつ)(もん)(しよう)にある(そう)(とう)(わし)をイメージした、(わし)(そう)(よく)がビスチェ前面に金糸で()(しゆう)されている。

 皇女のドレスと考えても値段別格な高級素材と高技術(ほう)(せい)で仕立てられているものの、型が古いのでバチクソに重く、パニエもすべて布で出来ており、総重量は42キロにも(およ)ぶ。

 これを着て何曲も(おど)ったアナスタシアも、これを着たアナスタシアを()()げて運んだユリウスも、中々のパワータイプである。


 着ることを許されるのは直系皇族のデビュタンティンだけだが、すべての(ひめ)が着てきたわけではなく、新たに好みのドレスを仕立てて着た(ひめ)が多い。

 理由は、前述の通りバチクソ重いうえ、デザインが流行から(かい)()しがちなため。


 なお、軽量クリノリン(鳥かごパニエ)が(すで)()(きゆう)しており、本当にアナスタシアだけが苦行に(いど)んでいた。


(てい)(こく)貴族の義務

 グランツェルリヒ(てい)(こく)の貴族は、(てい)(こく)()(りよく)エネルギー(きよう)(きゆう)(もう)に対し、()(りよく)量に応じた一定の()(りよく)(ささ)げる義務を持つ。

 (ささ)げられた()(りよく)は、街灯や(じよう)(すい)()(せつ)など、社会インフラ設備を動かす動力として利用される。

 (おう)(こう)貴族が住む住居には、()(りよく)提供のためのパネルが設置されている。そこに手を()れることで、自身の()(しき)の設備や、社会インフラ設備の動力源として()(りよく)を提供できる。

 社会インフラに提供した()(りよく)量に応じ、貴族年金に上乗せした(きゆう)()も国から支給される。


 皇族は、()(りよく)提供の義務をもたないが、(たい)(てい)の場合は自主的に()(りよく)提供して、(こう)(きゆう)(てい)()インフラの動力としている。


 なお、アナスタシアが()(りよく)提供を始めてから、(こう)(きゆう)は常に動力(じゆう)(てん)MAXとなっており、あふれた()(りよく)(てい)()インフラに毎日回され、さらに(りん)(せつ)領にまで流れている。

 (てい)()()(りよく)消費は全都市で最も多いので、これは異例の状態であるが、アナスタシア自身は「皇族なのだから、これぐらいできることもあるだろう」と思っている。


 アナスタシアは、()(りよく)提供に慣れていなかったころ、()(りよく)を一気に送りすぎて供給線を(こわ)してしまい、(こう)(きゆう)各所の(かべ)()(れつ)させ、停電ならぬ停()状態にしたことがある。


(てい)(こく)()(へい)と通貨

 (てい)(こく)()(へい)は、金貨・銀貨・銅貨からなり、それぞれグランツ・ゼルネ・フェニルという単位で呼ばれる。1グランツ = 10ゼルネ、1ゼルネ = 100フェニルである。

 (しよ)(みん)向けのビールは1(ぱい)3~8フェニル、牛すね肉()()みは20~35フェニル、特別な日のフルコースは1.2~1.8ゼルネほどの値段。

 皇女であるアナスタシアのイブニングドレス(夜会用の(はな)やかドレス)は120~200グランツ、夜会向け(ほう)(しよく)(ひん)セットは300~700グランツする。


 アナスタシアの皇女としての基本(ねん)(ぽう)は1,200グランツ、それにプラスで品格()()()などの付帯支給が年額2,300グランツほどで、合計3,500グランツが年予算として(あた)えられる。


■ドレスの着回し

 皇女のアナスタシアであっても一種のドレスを新調する数は年に3着程度であり、『一度でも社交界でお()()()したドレスは着られない』などといったマナーは存在しない。

 格式がその夜会等に合っていればよく、皇族(しゆ)(さい)の公式行事参加か、前にそのドレスを着て行った夜会と同じ(しゆ)(さい)(しや)の夜会参加でなければ、基本的に何度でも着回していい。

 皇族(しゆ)(さい)の公式行事では絶対に着回してはならないが、それ以外なら、(ほう)(しよく)(ひん)やヘアアレンジ・小物(へん)(こう)などで印象を変えるだけでもOK。


 たいていの貴族(れい)(じよう)たちは、特に(ゆう)(ふく)な貴族家でないかぎり、同じドレスをリフォームアレンジで着回している。(びん)(ぼう)貴族だけがそうする、ということもない。


 ちなみに、ドレスを一度しか着られない文化は主に19世紀イギリスやフランス(きゆう)(てい)のものであり、ドイツ(けん)貴族はアレンジ程度で()(つう)にドレスを着回していた。


(そう)(よく)(たい)

 アナスタシアを(まも)る役目をもつ、皇女親衛隊。アナスタシアの(ひとみ)の色「(あお)」を(しよう)(ちよう)色として名付けられた。

 女性()()が多く所属している。

主人公が異世界転移/転生していないので、世界観設定の8割が「その人物にとって意識するほどのことじゃないもの」になってしまいました。

だから、異世界転移/転生って人気ジャンルなんですかね。

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