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第6話 約束

 セツナは置いといて、次のアイテムに目を移します。


「で、このとっても大きなウロコはなんでしょう。蛇のウロコのようですが、それにしては余りにも大きすぎますわね……」

 

 両手で抱えるほど巨大なウロコ。


 もとは山のように大きな蛇の魔物なのでしょうか。


 ……残念ながら魔物についての知識が乏しく、特定に至りません。


 こんなことなら、魔物についての講義を取っておくべきでしたわ……!


「この紙は……見たことのない言語で書かれていて読めませんわね。どうせ貴重な品なのでしょうけど。そしてこれは――」


 次に目を止めたのは、桜の花弁のような淡い紅色の鉱石。


「…………私でもわかる。…………"桜銅"―――ローザデヴァイスの鉱石」


 私が言う前に、セツナに先を越されてしまいます。


 桜銅――神器と呼ばれる武器の1つである国刀ローザデヴァイスの元となった鉱石です。


 魔力伝導性の高い銅鉱石が、地中深くで遥か永い時間高濃度の魔力を吸収することで産まれるとされます。


 二千年ほど前に採掘されたものが最後で、それでローザデヴァイスが作られたのです。


「そうですわね、貴女が王直属の騎士になったときに授けられた国刀の材料、桜銅。はぁ……、アバンさんが見たら何ていうかしら」


 ここまでくると呆れてきてしまい、小さくため息をついてしまいました。


 アバンさんはローザデヴァイスを鍛刀した鍛冶屋トールの弟子。


 彼は現在、カラナシスと国交のある地族の国ドーブリカで師の店を受け継いでいるそうです。


 セツナの刀を見てくださりに度々カラナシスにお越しになるのですが、「俺もいつかは神器と呼ばれるような素晴らしい刀を作りたい……!」とよく仰っています。


 これを見たら卒倒するのではないでしょうか……?


○ ○ ○


「…………シオン様、会議の時間が」


 セツナに言われて腕の時計を見ると、もう日も暮れかけている時間でした。


「あら、本当ですわ。すぐに出ればまだ間に合いそうですわね」


 私としたことがアイテムに夢中で気付かなかったとは……。


「コウさん、本日はありがとうございました。素晴らしいアイテムの数々でしたわ。……なんだかまだ夢心地ですが」


 セツナも横で小さくお辞儀をしました。


 ……さて、あまり時間はありませんが、コウさんには話しておかなければならないことがありますわね。


「コウさん、少し重要な話があるのですが……。このことを誰かに喋りましたか?」


 家の結界に始まり、時の女神のクロノスチェスト、秘薬フシオン、桜銅に至るまで、全て常識外のアイテム。


 この存在を世に知らしめてはなりません。


「いや、そもそもまだ皇女様とセツナさんのお二人としか会ってないので……」


「ああ、良かったですわ!」


 私はホッと胸を撫で下ろしました。


「前にも言いましたが、このことはお父様――カラナシス王にも報告いたしませんし、誰にも言いません。ですので、コウさんにもそのようにして頂きたいのです」


 お父様は優れた王、それはつまり国のためなら冷酷な決断も下せるということです。


 近頃、カラナシス王国は内外に大きな問題を抱えています。


 その一つ、急速に力をつけ始めた隣国ウーツドローマ……その背後には魔族の影がちらついています。


 もしウーツドローマと戦争が起これば、厳しい戦いになるに違いありません。


 となると、敵軍の進行を完全に阻止できる結界の力は戦争における切り札となり得ます。


 お父様であれば、例えどのような手段を用いても手に入れようとするはず。


 国のことを考えればそれが正しいのかもしれませんが、自国の民を犠牲にするのは違う、そう私は思います。


「これはコウさんのためを思ってのお願いです。よろしくお願いしますわ」


 私はもう一度、コウさんに念を押しました。


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