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94話 遙かなる高み


 俺は美香とのデートから一週間、再び週末を迎えていた。

 今日は特に予定を入れていない日だ。ベッドに寝転がりつつ、久方の自由を満喫する。


 さて、俺には色々と問題がある。



 一つはアンナのこと。

 王印の使徒である彼女を匿っていることがバレたら、即逮捕である。



 二つ目は、目的を見失いつつあることだ。


 別段、金に困っているわけではない。

 現在九等級使役師である俺は、月で六十万は稼いでいる。


 これは回復薬や、階層地図、ライセンス維持料、組合手数料、組合代理特殊税金、それと最近リリィ達の為に購入した聖遺書の分割払いの月額を引いた後の金額だ。


 なお、現在三百万ほどの支払いが残っているのだが、一応姉さんと天義組が保証人になってくれている。



「俺、何がしたいんだろ」


 収入は決して安定した訳じゃない。

 この先何らかの怪我もあれば、使徒のロストだってあり得る。そうなれば一気にどん底だ。


 今問題なのは、そう。

 俺が使役師に熱意をあげていた目的が不透明になって、今、モチベが消えかけていることにあった。


 最近、異空探索が作業のように感じることが多くなった。


 それは言わずもがなアンナのおかげで、最強の彼女がいると全く戦闘にならない。かといって彼女を下げても、どこかピンチになったら彼女が何とかしてくれるという安心感のおかげで緊迫した戦いが出来ずにいた。


 今、俺は満たされていない。


 身体が、心が、満たされていない。

 足りない。何かが。

 


「今の日本最強に、一回会ってみたいな……」


 使役師における日本最強は誰か? その質問が出た時、大抵誰もがこう答える。

 

 小鳥遊 湊。

 小鳥遊家の長男であり、次代の英雄と注目されている人物である。



 しかし接触など到底不可能だろう。

 彼はきっと、俺がアンナを使って戦っても負ける相手だ。


 それはアンナが弱いからではなく、俺が弱いから。


 指揮者が弱ければ、どんな強兵でも負ける。

 それと同じように俺はきっと彼に勝てない。それくらい実力の差があると思う。


 ただ、ならば彼とどれだけ差があるのか、何をすればそれを縮められるのか。

 それが知りたい。だから、彼と一回直接会ってみたい。


「テレビ越しじゃ、凄さが分かりにくいもんな……」 


 俺は良くテレビでサッカーを見るが、彼らがものすごく上手いというのは頭で理解していても、たまに、本当に凄いのかな? と疑問に感じることがあったりする。


 ……やっぱり一度、生で見てみたいけど。


 残念ながら小鳥遊 湊の戦闘を生で見れる機会はほぼないだろう。

 なんせ彼が出動することはあまりないからだ。影響力が故である。


 

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