表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女は過保護な聖騎士に溺愛される  作者: 雨宮こるり
第1章
8/53

第8話 浄化の負荷

先に戻ると足早に去ったクラウスの背を見送り、リアは膝をついた。

思った以上に、力を使ってしまったらしい。毎日の水清めの儀でも、ここまで消耗したことなどはない。


(あの石の浄化は思った以上に負担だったんだ)


軽い眩暈さえして、冷たい床に手をついた。


「リア‼」


祈りの間に響き渡る声に顔を上げると、慌てたようにゲルトが駆け寄って来た。すかさず、リアの前に膝をつき、その肩に手を置くと、表情を窺う。


「何があった⁉」


「聖女の座を奪われないために、あと、小さな子供のために、ちょっと力を使いすぎちゃったみたい」


笑おうとするが、力が入らず上手く笑えない。


「とりあえず、部屋で休もう」


一瞬躊躇いを見せたあと、けれどすぐに顔を引き締め、ゲルトはリアの膝と背中に腕を当てた。そして、軽々と持ち上げる。


「ゲルト⁉」


すぐ目の前にゲルトの横顔がある。お姫様抱っこをされてしまったのだ。今まで一度だって、ゲルトに横抱きされたことはない。おぶわれたことは何度もあるが。


「力が入らないようだから掴まれとは言わない。じたばたしないで、大人しくしてろよ」


いくらいつも一緒にいる、幼馴染だとはいっても、ゲルトは男だ。

その男性に、お姫様抱っこされてしまうなど、平静でいられるはずがない。最近では、手を繋ぐことも、背負われることもなかったのに。

 

いつの間に、ゲルトの体はこんなにがっしりと男らしくなったのだろう。

腑抜けた体で、温かなゲルトの腕に支えられながら、リアはどこかふわふわした気持ちに浸っていた。

 

この後に起こる事態など、全く予想できないまま——



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ