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夜の風に吹かれて土木作業

うちの…というか温泉の裏山に、破邪の清眼という魔物射殺マシーンを設置してからというもの、ゴブリンなどは全く寄り付かなくなった。寄り付いてるのかもしれないけど、マクシム機関銃の如くレーザーを連射するので、実質人里に侵入するルートではなくなった。


これで終われば良かったのだが、諦めの悪い事に、西側に侵入路を探るようになった…つまり町の中心部により近い、山手の農場や牧草地から。

これには僕もおおいに責任を感じ、いつもの道から数キロ北に、なだらかに丘を登り切って農場・牧草地の尽きる辺りに、ひたすら柵を建てて魔物の新たなる侵入を阻止することを考えた。


20時、人の気配も減ってくる頃、僕は裏山に登って、古い木を伐採して間引いていく。片っ端から便利袋に収納して、夜も更けた時分に、山の西側から下って、清眼の射程が届かなくなる辺りに1人立つ。

ザザーっと風が吹いて、眼下の麦畑が揺れる。月の明かりを受けて幻想的に穂が揺れる様は、海を眺めているかのようだ。

心が落ち着くけど、いつまでも落ち着いているわけにもいかない。


まずこの辺…と爪先で印をつけて、

「召喚…柱!」

と、雑に先ほど伐採した木が丸太になって地面にぶっ刺さっただけの召喚を行う。

西に1メルほど歩いて、同じことをひたすら繰り返す。と言っても、1時間に100メルも進まないのだ。

まあ労働は真面目にやると辛くなるから、ゆっくり適当にやろう…

柱がひたすら並んでるだけでも魔物は相当警戒すると期待しているのだけれど。


「ただいまー」

3時頃に飽きてシェルミの家に遊びに行く。

「あら、珍しいですね…見回りはいいんですか?」

いつも通り何か薬草の処理的な作業をしていたらしいシェルミが手を休めて立ち上がる。

「裏山は清眼に任せてるし、関所はボランティアの爺さん2人が詰めてくれることになったから、もういいんだ」

「なるほどー。お茶入れますね」

お構いなく。

「で、今夜から北側にひたすら丸太を立てて魔物を威嚇する事にしたんだけど、300本立てたとこで飽きたんだよな…」

「300!私なら3本で疲労困憊で倒れますよー」

まあ、チート能力使わないとそうなるね…

「丸太立てるだけで魔物を防げます?びっしり隙間なく立てるわけじゃないのでしょう?」

「んー、1メル感覚で、高さ2メルくらいで地面にぶっ刺して言ってるんだけどね。合間を通って南側に侵入するのは簡単だけど、家畜とか略奪して持ち帰る邪魔にはなるし、人間に追われた時に少しでも邪魔なモノがあるだけで逃げ損ねるかもって想像してくれたらいいんだけどな」

効果なかったら、丸太同士を紐や板で繋いだり、鳴子を仕掛けたりするかなあ。

「そもそも、そのシンの召喚能力って、建物しか召喚できないんですか?ていうか建物を召喚できるというのが初耳ですけど…」

「まあ長い話をすごくショートカットすると、3つの中から選べて言われたんだよね…建造物と飲食物と道具器具と、どれがいい?て。で、一番自分で出来なさそうな建造物選んだんだ。」

「まあ家とか便利ですけど…飲食物だったらパンとワインが無限に出てくるのか…(チラッ」

いや。やめろ、

今の僕からは水も小麦粉も出ないから!

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