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アオハル!  作者: tomo
1/3

#1

 教室の中は国語科教師の落ち着いた静かな声が響いていた。体育終わりのこの時間、既にダウンしている生徒もちらほら見かける。春の風が教室の窓から吹いてくる。

 平和だ。

この空気を思う存分堪能しつつ、うとうとしていると、隣から脇腹をつつかれた。

 まあ、当然気付かないフリをした。いかなる理由でこの至福の時を邪魔するというのか。説明責任を果たしてもらわないと困る。

 …どうせ、こいつには説明責任を果たすつもりも無ければ、大した理由もないんだろうなぁ。

 てか、痛い痛い痛い。ふつーに痛い。ついに痺れを切らしたお隣さんはシャーペンの尖った方に武器を切り替えたらいし。ふつーに殺傷能力高いって。

 何?そんなにストレス溜まってるの?短気な女子高生はモテな

 あ、ヤバい。ついに芯を出しはじめた。何で女子高生ってデフォルトの0.5mmよりも細いシャー芯使うの?余計に殺傷能力高まってるって。

 というか、そろそろ反応しないと本格的にヤバそうだ。

 「…何?」

 「あ、やっと反応した。ねぇ、無視って酷くない?」

 「失礼な。真剣に授業を受けていただけだ。」

 どちらかといえば酷いのは、無抵抗なクラスメイトの横腹を刺し続けることじゃないのか?

 「さっきまで寝ようとしてたのに。」

 「お前は睡眠学習という言葉を知らんのか?。」

 「いや、言い訳になってないから。よく、そんなさも当然かのようにいえるね。」

 「まあな。」

 「いや褒めてないし。」

 しばらくジト目でこちらを見つめていたが、やがて諦めたのかクスッと笑った。

 「まあ、いいや。」

 「んで、結局何の用だったんだ?」

 「んー。何でも。」

 そう言うと満足したのか、前を向いてノートを取りだした。一体何だったんだ。

 しかし、昨年出会った時より随分雰囲気が変わったなと思う。もしかしたら、木枯らしの吹く屋上という寒々しい場が、そう思わせていただけなのかもしれないが。



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