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第9話1-8:少しだけのその後
――風が止む。私は砂だらけの顔を上げた。その場には、大量の蒸気が霧のように漂っていた。
「何よ?どういうことよ?」
私は頭の中に靄がかかっていた。ミイラ男が何かをしたことはわかったが、何をしたのかがわからなかった。私はミイラ男の方向を見た。
――しかし、そこにはミイラ男はもういなかった。
「ちょっと、どこにいるのよ!」
私は拡張器のように声大きくした。しかし、それは波の音や鉄橋を走る車の音や船が海を進む汽笛の音には負けているものであり、遠くのものには聞こえないものだった。返事として響いてくるものは、ミイラ男の声ではなく波の音などだった。
「いったいなんなのよー!」
私は戦争映画の生き延びた兵士のように、ボロボロになった状態で天に向かって叫んでいた。