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第9章[作戦名]オータムン・リーヴス【済】

「秋」


それは死にゆく「枯葉」の季節


しかしその様は「紅葉」と語り継がれた。


「漆」「丸葉」「楓」「橄欖」「団栗」


それは「針葉樹林」をも焼き尽くし


慈悲もなく「芋の木」を灰色に染める。


刻む「年輪」の数だけ、澄んだ「森林」は「燃え盛り」


世に「み」を墜とせば、「枯れ落ちて」ゆく。


あなたはこの「秋の葉」をなんて言いたい?


カレハ・A・セプテンバー「カレハの日記」より。

第9章[作戦名]オータムン・リーヴス


オータム

「以上が作戦内容だ各自掌握したか?」私は各小隊長に確認する。


ルーアイス

「これまた「フィーヴァー」な作戦っすね」


ルーアイスは怒りを隠しきれずに愚痴を零す。


オリヴィア

「フィーヴァー。」続いてオリヴィアもタバコを吹かして共感する。


メープル

「オータム私もこの作戦に関して疑問がある。」


オータム

「簡単な事だ帝国にとって、同盟国家の私の命など軽いと言うことだ。」


オリヴィア

「それでオータムン・リーブス…枯葉ですか。笑えませんね。」


ルーアイス

「くそ!帝国の小粋なブラックジョークってか?」ルーアイスは舌打ちをする。


メープル

「隊長の華やかさを表した比喩表現なのかもしれんだろう。」


ルーアイス

「比喩表現?あんた頭に花でも咲いちまったんですか?」


メープル

「貴様…、何が言いたい?」


メープルとルーアイスはお互い席を立つと鼻が当たりそうな距離まで詰め寄り睨み合うと


ルーアイスが口火を切る。


ルーアイス

「そんなに気が合うならあいつらと後方で茶でもしばいてこいよ。戦車の中にティーポッドなんて積んでる頭がお花畑な連中だ。あんたにお似合いじゃねぇか。」


メープル

「ほう?後方か。それなら聖女様にいびられて腰を抜かしていた小便臭い貴様の方がよっぽどお似合いだと私は思うが?」


ルーアイス

「んだと!」


オータム

「二人ともやめるんだ。メープルも何ムキになってるんだ。ルーアイスの減らず口なんていつもの事だろ?」


メープル

「止めるなオータムこいつは私の部下だ。一度きつい指導をしなければと思っていたのだ!」


そんなお前は私の部下なんだが…。


メープル

「大体!先程のアレはなんだ?「娼館の匂い」?まだ膜の張ったガキの癖に粋がるから痛い目を見るんだ!」


ルーアイス

「あぁ!?イキってねーし!私はしょ処女じゃねーし!」


反論するルーアイスの肩をオリヴィアが掴む。


ルーアイス

「止めるなよオリヴィア!お前までこいつの肩を持つのかよ?」


メープル

「いいぞオリヴィア!お前も立派な第二小隊の隊長になったんだから言ってやれ!」


オリヴィアは二人の発言に肩を落としため息を漏らす。


オリヴィア

「二人とも同盟国家への冒涜は早死に元。私は二人にエイコーンやマニーホットみたいに早死にして欲しく無い…。」


二人は今朝起きた事を思い出し冷静さを取り戻したのかお互い掴んでいた手を離す。


ルーアイス

「オリヴィア…、その…ごめん。」


メープル

「すまない、私も少し頭に血がのぼってしまった。」


謝罪をしてもなおオリヴィアはルーアイスの肩を掴み続けぶつぶつと呟き始める。


ルーアイス

「どうしたオリヴィア?」

オリヴィアの顔を覗いたルーアイスは異変を感じたのかその場を立ち去ろうとするも


オリヴィアはルーアイスの肩を掴む力を緩めるどころかめり込む程の力をかける。


ルーアイス

「オリヴィア?痛いんだけど!謝ったんだから離してよ!痛い!痛い!痛い!」


オリヴィア

「ルー?」


ルーアイス

「何!?」


オリヴィア

「聞いてないんだけど?」


ルーアイス

「だから何が!?」


ルーアイスを見つめるオリヴィアの目は瞳孔が開きハイライトが消えていた。


ルーアイス

「怖い!怖い!怖い!」


オリヴィア

「あなた…、娼館に行った事あるの?」


ルーアイス

「だって第三小隊の連中がどうしても行きたいって言うから」


その発言を聞いたオリヴィアは私達が見たことも無い様な形相になると


ルーアイスの足を蹴飛ばし床に転ばすとそのまま馬乗りになる。


オリヴィア

「ルー?きっちり説明して貰える?嘘ついたら根性焼き直すから。」


ルーアイス

「いやその…私もいったけど…」


口籠るルーアイスに痺れを切らしたオリヴィアは自身の口に咥えていたタバコを


ルーアイスの眼球に近づける。


オリヴィア

「早く言えつってんだよ…。」


ルーアイスの目尻には次第に大粒の涙が溜まりダムが完全に決壊する。


る〜あいす

「う…うわぁああん!ごめんなさぁぁあい!行ったけどビビっても何も出来なかったんです!だから許してくださぁい!」


ルーアイスをガスガス殴るオリヴィアのその姿を見た私は以前隊の人間から聞いた


【オータム傭兵中隊で最も怒らせちゃいけない人物】と言うランキングで


一番の私の次にオリヴィアの名前が上がっていた事に納得したのは言うまでも無いだろう。


そんな二人の様子を見て笑っているとメープルが話しかけるてくる。


メープル

「これに懲りてルーアイスも少しは反省すればいいんですが」


オータム

「あぁ確かに。しかしこの様子なら心配はなさそうだな」


メープル

「オリヴィアの第二小隊長ですか?」


オリヴィアは戦死した第二小隊長エイコーンの代わりを務める事となった。


オータム

「エイコーンとマニーホットの件があったからな精神面は戦場に大きく左右する。」


メープル

「それは杞憂でしょう。彼女は見かけによらず強い子です。どっかのバカと違って」


ルーアイス

「誰がバカだ!」


オリヴィア

「ルー?まだ終わってないけど?」


ルーアイス

「ぎゃーっ!」


私とメープルはルーアイスの折檻をよそに先ほどディフォエイトに渡された指令書により


帝国上層部から下された今回の作戦について話し始める。


作戦名は「オータムン・リーヴス」


その内容は帝国の意思に背く十二聖女が一人、第1席に座る「G」ルマンの


ラーファイア・ジャーニーの元へオータム中隊長一人で降伏勧告に行く事。


尚作戦中のオータム傭兵中隊第一・第二・第三小隊は後続のディフォリエイトの部隊に合流。


その間の中隊指揮はメープル第一小隊副長に一任する。という物だった。


メープル

「今回の作戦あなたが人知を超えし聖女だとしても異常では無いでしょうか?」


オータム

「別に難しい任務では無いだろ。「G」ルマンに行って総大将に手を引けと言えばいいだけだ。あとは万が一に備えてと言う事だろうな」


メープル

「万が一と言うのであれば尚更護衛をつけるべきでは無いでしょうか?それに十二聖女第1席に座る「ラーファイア・ジャーニー」はこの「G」ルマンの地を「恐怖政治」にて完全に支配している危険な独裁者だと聞きます」


メープルは私の話を聞けば聞くほど眉間にシワを寄せる。


オリヴィア

「私もそう思います。」折檻を終えたオリヴィアもメープルの意見に同調する。


オータム

「それは…。」


伏せていたルーアイスは起き上がると土を払いながら「?」を浮かべる二人に言う。


ルーアイス

「私達じゃ、隊長のお荷物ってこったろ。んな事隊長の口から言わせんなよ。」


オータム

「メープルの言う通りラーファイア・ジャーニーが降伏勧告に応じる事は無いだろう。十二聖女と戦闘に発展した際に貴様らを守りながらというのは私でも厳しい。その万が一に備えてお前らを戦線から離脱させたのだろう」


メープル

「そうか…確かにそうだな。」


メープルとオリヴィアは作戦に納得し席に座ったのだがルーアイスは話を続ける。


ルーアイス

「しかし隊長、何故聖女ディフォリエイトとその御一行がこんな前線まで来てるんだ?いくらなんでも一つの戦場に3人の聖女がいるってのはきな臭ぇ気がするんだが。」


やはりこいつは頭が切れる、しかし…。


オータム

「今回の目的は降伏勧告といっただろう?後続とはいえディフォリエイトの部隊を引っ張ってくれば脅しにはちょうどいい。」


ルーアイスは理屈に納得したのかそれ以上追求する事を辞めた。


オータム

「本件の作戦会議は以上をもって終了とする。何か質問はあるか?」


メープル

「ありません」


ルーアイス

「ないっす」


オリヴィア

「ないです」


オータム

「では、今のうちに寝ておけ、明日の朝○六三○にはディフォリエイトの部隊に合流する様に。では現在の時刻を持って作戦会議を終了する!メープル締めろ。」


メープル

「各小隊長!隊長に敬礼!」


各小隊長

「「はっ!」」


メープルの号令に皆敬礼すると私は大きく息を吸い肺を膨らませる。


オータム

「無駄にするな!値する人間となれ!」


各小隊長

「「「Earn this! Earn it!」」」


オータム

「解散!」

つづく…。

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