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第13章「 」・M・「   」の日記【済】

「秋」


それは死にゆく「枯葉」の季節


しかしその様は「紅葉」と語り継がれた。


「漆」「丸葉」「楓」「橄欖」「団栗」


それは「針葉樹林」をも焼き尽くし


慈悲もなく「芋の木」を灰色に染める。


刻む「年輪」の数だけ、澄んだ「森林」は「燃え盛り」


世に「み」を墜とせば、「枯れ落ちて」ゆく。


あなたはこの「秋の葉」をなんて言いたい?


カレハ・A・セプテンバー「カレハの日記」より。

第13章「 」・M・「   」の日記


【9月23日】

私はとある国の北の地育ちの孤児だった。そこは所謂「紛争地域」だったので毎日ひもじかった私は「お腹すいた」が口癖だった。


【9月23日】

「南の方は平和なんだよ」と真ん中の姉が言ってた、南の人は毎日三食にお肉が食べれて毎日洗濯ができて、毎日水浴びが出来るんだってさ、「いいなぁ」って言っちゃった。


【9月23日】

私に親はいないが二人の姉がいた。だから私は寂しく無かった。真ん中の姉は飛び抜けて頭が良くてなんでも知っていた。一番上の姉は軍人でとっても強い、頭の悪い私が戦地でも自分を守れる様にたくさん稽古をつけてくれるんだ、家に居ない事は度々あるけどこの街の皆と私達を守っているヒーローだ!

私も姉さんみたいに弱気を助け強気を挫く!皆を守るヒーローになるんだ!


【9月23日】

私達三姉妹はとっても仲良しだった。今日の夜、真ん中の姉が一番上の姉を怒鳴った。真ん中の姉は長女のやり方で救う事は出来ないと、間違っていると怒っていた。

そしたら長女は「私はお前の実の姉じゃ無い」と言った。

次の日から真ん中の姉は家を出て行ってしまった今日は初めて一人で眠った。

「寂しいよお姉ちゃん」私は暗い部屋でしくしく泣いた。


【9月23日】

真ん中の姉が出て行った日の夜から、なにかと家を開ける事が多くなった義姉さんは私を教会に預けることにした。教会は表向き戦争では役に立たない女児かつ私の様な孤児を保護し修道女として育てる、ある種の教育機関なのだ。最初は不安だったが三食ご飯が出て、寝床があって、文字の読み書きが自由に勉強できると言う環境が私はすぐに気に入ったのだが…。


?????

「おいおい!クレハ!なんでお前がブレッドなんて上等なもん食ってんだよ!お前みたいな奴はシェパーズパイがお似合いだよ!悪いがこのパンは没収させて貰う。」


?????

「スプルースやめてあげなよ。でも確かにこの子に付いてる下品な胸にシェパーズパイと言う比喩表現はぴったりだわ。」


目を付けられてからよく絡んでくるこの二人…二つ結びに芝居掛かった口調で頭の悪そうな事言ってる奴がスプルース。一つ結びで修道服をはしたなく着崩し意地の悪い事を言って来る奴がアビエース。彼女達は私よりも2年早くこの修道院に入った先輩修道女だが見ての通り「清貧」「貞操」「服従」が何一つ守れない異端者みたいな奴らだ。


クレハ

「はぁ…」


彼女達は双子の姉妹。この街で窃盗を繰り返していた所を義姉さんに捕えられて、ここの修道院で「再教育」を受けているらしい。


これが修道院のもう一つの顔。要はここにいるほとんどの修道女は曰く付きの犯罪者達ばっかだ。修道院に入って日が浅い私に自分の存在を誇示したかったのか、つまらない自慢話(犯罪行為)を耳にタコが出来るくらい聞かされ、そんな事に興味ないと言ってから毎日この調子だ…本当に勘弁してほしい。


スプルース

「おい!ため息なんかしてんじゃねーよ!幸せが逃げちまうだろぅ?」


アビエース

「スプルースやめてあげなよ、この子聖女マルバ様に捨てられて、ここに入って来たばっかりなんだから。」


私はもぐもぐとパンを食べ続けていると、スプルースは私のカップに入っていた牛乳を私の頭にぶっかけた。


スプルース

「おい、お前…第六の【聖女の傭兵】である私の言葉を無視してんじゃねぇよ?」


(全く頭にかけやがって、安息日はまだ先なのに匂いがつくじゃないか)


私はかけられた牛乳を雑巾で拭い、食べ終わった食器を重ねて持つとその場を去る。


スプルース

「おい!ここまでやられて何もやり返せないのかよ!」


アビエース

「スプルースやめてあげなよ、この子は北の地には相応しく無い腰抜けなのよ。」


北の荒くれ南の腰抜けってやつか、下らない。私は去り際に二人に言う。


クレハ

「私は争いが嫌いなんだ…。」


私が自分の部屋に戻る途中一人の少女が私の部屋の前にいることに気付く。


その少女の名はエイコーン。スプルースが言っていた【聖女の傭兵】のリーダーだ。


クレハ

「どいてよ。」


エイコーン

「お前を第10の聖女の傭兵に勧誘に来た。私の元で正義の活動をしないか?」


クレハ

「嫌だ、あなた達みたいな野蛮な犯罪者とつるんでる暇なんか私には無い」


私が素気無く答えるもエイコーンはその場を退かない。


エイコーン

「何故スプルースにやり返さない…?」


クレハ

「私は争いが嫌い。」


エイコーン

「では何故義勇軍なんかに志願するのだ?」


クレハ

「弱きを助け強きを挫く。これがマルバ義姉さんのモットー。だから私はこの強きが支配する戦争をを終わらせたいの。」


エイコーン

「ふふ、お前は自分が弱者では無いと思っているのかフィーヴァー!これはなかなかに気に入ったぞ!やはりお前は私達と共にいるべきだ!」


エイコーンは断ったのにも関わらず機嫌を良くしてもっと私を勧誘する。


クレハ

「だからどけって言ってるでしょ!」


私は強引にエイコーンをどかすと自室に入り鍵をかける。


そしてイライラした気持ちを壁に当たり散らす。


クレハ

「くそっ!」


最近はマルバ義姉さんにも稽古をつけて貰えない為ストレスの発散に困っているのだ。


クレハ

「くそっ!くそっ!」


拳の頭から血が出るほど壁を殴っていると私のルームメイトがベッドから起きる。


??????

「んー…煩いよクレハーなんの音?」


クレハ

「アフォーリア!あなた私が義勇軍に申し込んでいた事をエイコーンに喋ったでしょ」


アフォーリア

「あー、だってベイリーズのチーズケーキくれたんだもん。」


クレハ

「買収されたのか!それにそんな高級お菓子どう窃盗ねて来たに違いない!見損なったぞアフォーリア!」


アフォーリア

「あーはいはい、ごめんなさいー」


クレハ

「おい!寝るんじゃ無い!」


アフォーリア

「お腹いっぱいで眠いんだよー」そう言うと彼女は布団に包まる。


全くここの修道女はロクな奴がいないな。


勉強する気も失せた私は二段ベッドに寝転がり冷静さを取り戻そうとしていると。


アフォーリア

「入ればいいじゃん」


ベッドの下からアファーリアが話しかけて来た。


クレハ

「何がだよ」


アフォーリア

「聖女の傭兵って奴に誘われてるんでしょ?」


クレハ

「なにが聖女の傭兵だ」


アフォーリア

「あんたエイコーンに気に入られてるじゃない。きっと入れば高待遇でしょ?そうすれば同室の私も美味しいものがおこぼれで食べれるかもだし」


クレハ

「それが目的か。人様の物を奪って腹を満たすなんてまるで蛮族だ。あいつらの正義は正義なんかじゃない」


アフォーリア

「確かにスプルースやアビエースはそうかもしれないわねー。でもエイコーンとマニーホットは違う気がするー。」


クレハ

「ふん!あんな奴らを仲間にしてるんだからどうせあいつだって同族だ」


アフォーリア

「きっとねー聖女の傭兵はそんなに悪い奴らじゃ無いわよー。まぁ正直私は美味しいものが食べれればなんでも良いわー。」


クレハ

「聖女の傭兵が悪い奴じゃ無いどう言う意味だよアフォーリア、ってもう寝てるし」


私がこの修道院に来た初日はとんでもなく歓迎されたものだ。


以前アーフォリアから聞いた話ではこの聖ベルファスト修道院は二人の聖女によって建てられた物で、


一人は私の義姉「I 」アイルランド王国の代表聖女に選ばれた世界最強の十二人の聖女の一人、


第9の席に座る【赤毛のマルバ】ともう一人はこの修道院のシスター・アークヘッジ様だ。


その為聖女の妹が来ると言う事でどんな凄い奴が来るのかと修道院内ではその話で持ちきりになる程


盛り上がっていたらしいにだが、私が義理の妹と分かると直ぐにその熱も冷める事になった。


この様に聖女に憧れを抱く修道女が多いこの修道院では密かに【聖女の傭兵】と言う


義勇的グループが結成されており、これまた帝国の設けた聖女同盟を真似て12席という制度を使用し


ヒエラルキーを築いているのだ。


様は【成長期特有のごっこ遊び】だ。


そんなコミュニティの中で聖女に育てられた私は嫉妬の対象となり、


スプルースやアビエースから嫌がらせを受ける事になったと言うわけだ。


正義だのなんだの言っているが、あいつらは何も分かっていない、


本当の正義と言うのは争うことでは無く守る時にこそ行使するものなのだ。


次の安息日、私は実家に自分の私物を取りに帰っていた。


季節は秋になりこの紛争地域に残った数少ない樹木にも色が付いていた、


私は4分の一のサイズになった羊皮紙に趣味のスケッチをして暇を潰していると郵便が来た。


義姉は家を開けているし偶々帰って来た私しかいなかったので手紙を受け取ると


それは真ん中の姉からの手紙だった。


内容を見るにどうやら姉さんは今医者になる為の勉強をしているらしく、


病が流行るだのなんだの書いてある。最近読み書きを勉強している筈の私でもよくわからない


難しい言葉がたくさん書いてあった。そして追伸にこの手紙を義姉さんの


書斎の机の上に置いておく様にと書いてあったので私は義姉さんの書斎の机にこの手紙を置いて


当初の目的だった画材を持って家を後にする。


【9月23日】

あれからも1年間以上エイコーンからの勧誘は続き、私は断り続けていたがある事件をきっかけに私は聖女の傭兵の一員になった。

義姉さんの寄付金があるとは言えど慢性的に貧困が続いていた教会に敵国の大使が戦争収束への架け橋にとたくさんの食料を寄贈して頂いたのだが、その食料を全て街の義勇憲兵隊が徴収したのだ。

取り返しに行くと言った私達をシスター・アークヘッジは止めたが、私達はその言いつけを無視して取り返しに行ったのだが、それが大きな犠牲を生む事となり私達はとある【真理】を知る事となった。


私がメープルになった本当の理由…愛の為に生きるとはそう言う意味なんだ。


※ここで日記は数ページ破られている。


義理の姉?

「クレハ私の言う事をよく覚えておくんだ…どんな強き信念を持った正義も、どんな優しき心を持っていたとしても、どんなに大切な人を守りたくても…」


クレハ

「…でも義姉さんは守ろうとしたんだ悪いのは義姉さんじゃない」


義理の姉?

「負けたら意味が無いんだ!」


私は義姉さんの涙を生まれた初めて見た。


義理の姉?

「クレハ…あなたは我儘に生きなさい」


これは義理の姉に教わった私の心理。


クレハ

「我儘?」


義理の姉?

「心から愛する人が出来てその人を守りその人と一緒にいたいのなら、その人以外の全てを捨てる覚悟を持て。それがお前の願いと望みを叶えると言う事なんだ。」


クレハ

「わかった…私は我儘に生きるよ。」


私は愛する人の為なら、仲間だってなんだって捨ててやる。


嫌いな争いとだって戦う。【戦争】とはよく出来た言葉じゃないか。


あの日あの子に救われた御身、あの日あの子に救われた心は、


あの日から間違い続けるあの子を救う為にあるのだ。


この日から私は漠然と弱きを助け強きを挫く


「クレハ」・M・「オクトーヴァー」では無くあの子の為のあの子のヒーローになる事を誓い。



【愛を持って哀を砕く。】





      メープル

「______ 」・「M」・「_______________ 」になったんだ。



つづく…。

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