7、不思議なラブレター
その後、オレは教室に戻った。
数えるくらいの生徒しか教室に残っていなかった。その中の1人が言った。
「てる〜!帰ろうぜ〜。」
星だった。後ろにはわっちもいる。わざわざオレの為に待っててくれたみたいだ。自分で言うのもなんだが、いい友達を持ったと思っている。わっちとは、もう仲直りすることができて一安心なのだが、なぜかわっちを見るたびに美子のことが頭に浮かんでしまう。
「どうした!木下のこと考えてたのか!?」
「ち、違うよ!!」
教室には、茜の姿はなかった。まぁ、それはそれで今は都合がよかったのだが・・・。
廊下を3人で何の話題もなく歩いている時に、オレは意をきめて星たちに相談することにした。」
「なぁ〜。オレっていけないヤツなのかな〜。美子が好きなのに、木下までだんだん気になってきてるんだ・・・。」
オレがそういうと、わっちは意味ありげな表情を浮かべたようだった。なんでそんな不思議な表情をするんだろう?オレはその表情の意味を今では全く理解することが出来なかった・・。
「いいんじゃないの〜(笑)てるは、欲がありすぎるから〜。」
「な、なにを!!」
「ははは!冗談だよ(笑)」
確かに、オレは欲が深い。欲と言っても性欲が特に深い。毎日3回は、色んな事を想像しながらイッてしまう。まだ、Hはしたことがなく初体験は好きな人と一緒にしたいと思っている。
「欲なんかねぇ〜よ!」
星の言うことに対して、適当に返事をしていた。もし、初体験をするなら美子と茜のどちらがいいか妄想してしまったからだ。自分でもバカなことを考えていると思っている。ましてや、茜のことはまだ本気で好きではないのにHの対象として考えてしまった。
下駄箱まで来て、自分の古びた木の下駄箱を覗くと、靴の上に何やら封筒らしきものが乗っていた。
まぁーまさしく現代でいうと、ラブレターというものなのだが今回はちょっと違うようだった。ただ普通の紙切れに女子らしい独特の字でこう書いてあった。
『今日の放課後、私の一番大好きな場所で待っています。 茜より』
あ、茜ちゃん!?とても驚いた。まさか、あの告白の返事を待っているのか。そう思った。
しかし、茜の一番大好きな場所ってなんだろう。そんなこと一言も言ってなかったからなぁ。
「なんだそれ!?ラブレター?しかも、木下からじゃん!!OKしちゃえよ!」
「うるせぇ!黙れ!」
星の言うことにキレて答えた。茜の一番大好きな場所を考えていたからだ。
オレは、行こうかどうか悩んでいた。辺りは、夕暮れのせいか、暗くなり始めている。
「ごめん!オレ行ってくる!!」
意を決して行こうと決めた。
「お!行ってこい!」
星がオレの背中を後押しした。
また廊下に戻ると、下校する生徒達でいっぱいだった。そんなことはおかまいなしに、人の並をかわして
オレは茜を探しに行った。