5、悲しい視線
その日、午前中の授業は何事もなく終わった。
そして、昼休み…オレの席にニヤニヤしながら星と、後…わっちが下を向きながらやって来た。
「て〜る。何で木下と一緒だったんだ(笑)」
オレは、星の言葉は無視してわっちを見て言った。
「昨日はごめん!!オレが言いすぎた!!」
すると、わっちは以外にも笑ってこう言った。
「別に気にしてないよ!あと…オレ今日美子と学校に来たんだ!」
え!?
頭の中が真っ白になった。わっちは、美子の告白を受け入れたってことか!?
そ、そんな!どうして!?オレの不安を断ち切るように、わっちが続けた…。
「でも、美子はわけがあってオレと付き合ってなんて言ったんだけどなぁ〜。」
「は!?」
普通付き合うのにわけなんているのか。頭が混乱しておかしくなるのを抑えながら必死に言った。
「わけってなんだ!?付き合うのにわけなんているのか!?」
その途端、クラスの視線が驚いたようにこっちに向いた。昼休みなので、クラスいる人はまばらだったがその視線につい、下を向いてしまった。大きな声を出しすぎた。
すると、またわっちが笑って答えた。
「それは、教えられないよ(笑)自分で発見しないと。」
どういうことだ。自分で見つけるってなんだろう。オレが直接美子に聞けって事か?でも、今この気まずい雰囲気の中美子に話しかけるのはちょっと抵抗がある。
じゃあ、放課後に呼び出そう。と思って美子を見ると…悲しそうな目がこっちを見ていることに気付いた。
「どうした美子?何かあったのか!?」
言葉をかけてやりたかったが、席が美子は窓際の一番前、オレは廊下側の一番後ろと離れているので、声もかけられなかった。
「え!?てるってまさか美子も好きなの?へぇ〜。木下と二股なんだ〜。」
「ち、違うよ!っていうか何でオレが美子をすきだって思うんだよ!?」
「顔見ればわかる(笑)真っ赤だよ。」
「う、うるせ!!」
自分でも分からないけど、知らぬ間に顔が真っ赤になっていたようだ。やっぱりまだ美子を諦めきれないのか。
未だに美子の悲しい視線がこちらに向けられていることに、オレは気付かなかった…。
その目に深い意味があったとは、かなり後にわかったことであった…。