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Last Message  作者: てるタン
4/8

4、僅かな時間


キ〜ンコ〜ン…。

遠くから、学校の登校時間の5分前を告げるチャイムが鳴った。

「どうしよう。もう間に合わないよ。」

茜が心配そうに学校の方を見つめながら言う。

「よ、横顔も可愛い〜!」って心の中で言ってたら、茜がこっちを見て言った。

「てる君どうしよう〜。」オレは慌てて視線を反らした。茜の目を直接見ることが出来なくなっている。

「てる君?顔真っ赤だよ!大丈夫!?」

「え!?大丈夫だよ!」

幸い、オレが茜を見て顔を赤らめていることは気付かれなかった。

沈黙の時間が流れる。オレは、この雰囲気を断ち切るべく、茜の手を掴んで走り出した。

「て、てる君!?」

「急ぐんだろ?だったら手、離すなよ!」

何をしているんだろう、オレは…。大胆すぎるだろう…。茜が顔真っ赤にしてるじゃないか!

でも、オレと茜はお互いに目を合わせ、笑顔になった。

「てる君?あの返事…」

茜が言い切る前にオレは答えた。

「あー!その返事はまた今度な!今はとにかく走るぞ!」

茜は、静かにうなづいた。

「キ〜ンコ〜ン!!」

しまった!遅刻だ!オレと茜はお互いに顔を見合って笑った。チャイムが遠い山の方に悲しく消えていくようだった…。

オレ達は、学校の方を見た。吸い込まれるように生徒達が学校に入っていく。

オレ達も急げばギリギリ間に合ったのかもしれないが、オレは止めた。

茜と2人でいる時間がもっと欲しかったからだ。でも、茜に直接そんなことを言ったらバカ!って言われそうだったからやめといた。

「行こうか?」

「うん…。」

オレが茜に聞くと、なんか寂しそうに悲しく答えた。

「どした?」

「だって…てる君あたしの手無理矢理掴むんだもん…。恥ずかしいよ…。」

「なっ!」

茜の言葉にオレが余計に恥ずかしくなった。最初からやることが大胆すぎたか。落ち込んでいるオレに茜が言った。

「でも…嬉しかったよ。男の人にあんなに強く手、握られるの初めてだから…。」

その言葉に余計恥ずかしくなった。自分のした事が大胆だってことが余計分かったからだ。

「そろそろ行こうか!」

「うん!」

オレ達は付き合っているのではないが、その時は恋人みたいな気分がしてたまらなかった。

「オレって罪なヤツだ。美子がいるのに…。」

そういえば、わっちは美子の告白を断ったのかなぁ。不安な気持ちを抱いたまま、校門に着いた…。

「コラ〜!!お前達〜!!仲良く手なんか繋ぎやがって!遅刻だぞ!」

「ひぇ〜!すいません!」生徒指導の森田が校門の前で竹刀を持って立っていた。いつも、遅刻の生徒は竹刀でぶっ叩かれる。だから、必死で謝るしかなかった。

「だから、いつまで手繋いでるんじゃ〜!!」

「あっ!」

オレは慌てて手を離す。いつまで繋いでたんだろう。隣では、茜が顔を真っ赤にして下を向いていた。

「早く教室に行け!恋愛は、先生の目につかないところでやれよ〜!」

「え!?あっ、はい!ありがとうございます!」

「ありがとうございます!」

オレ達はそういうとその場を後にした。後ろには、腕を組んで凛々しく立っている森田がまだいた。

「ビックリした〜!まさか、あの森田があっさり許してくれるなんて!」

「そうだね〜!」

茜は笑いながらオレのいうことに答える。その笑顔もたまらなく可愛い。天使みたいだ。

そう思いながら話していると、すぐに教室に来てしまった。教室では、担任の眞鍋がホームルームをしていた。先生しか話していない、気まずい雰囲気の中ドアを開いた。

「ガラッ!」

その瞬間クラスの視線が一気にオレ達に向いた。

視線が浴びせられたまま、身を縮めて中に入った。

「あれ!なんでてると木下一緒にいるの!?」

鳥谷がそう言った瞬間、クラスは騒がしくなった。

「ヒューヒュー!!お前ら付き合ってんのかよ〜!?いいカップルじゃん!?」そんなような野次が沢山飛んでくる。

「ちょっとみんな!静かにしなさい!」

眞鍋がキレて言うと、オレも続いた。

「そうだよ!たまたま会ったから一緒に来たんだよ!」

なんか…自分でも変な言い分けとわかった。なので、野次がおさまるはずがなかった。

「本当は朝までヤってたんじゃないの〜!?」

誰かが発した言葉でオレはカチンときた。

「んなわけね〜だろ!!中3で早すぎなんだよ!!」 「いい加減にしなさい!!」

かなり先生がキレていたので、騒ぎはそこでおさまった。茜は、泣きそうな顔をしている。慰めると、また何か言われそうなので、諦めた。

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