2、友人の秘密
「おれ・・・、告白されたんだ・・。」
なんだそんなことか・・、ってえぇー!!わっちが告白された・・、今オレは夢でもみてるんじゃないかってそう思った。しかし、わっちは真剣な表情で続けた。
「おれ・・、どうすればいいんだろう?女子と接することなんて一度もなかったし・・。」
みんなもわっちがどうすればいいのかわからないと思うのは、当然だと思っていたようだ。本当にわっちは女性経験がなかったからだ。
驚きのあまり、固まってわっちの方を見る。しばらくの沈黙の後、稲垣がつつくように言った。
「おい。誰にコクられたんだよ!」
その言葉が僕たちの人生を左右することも知らずに・・・・。
わっちは、ためらいながら恥ずかしそうに言った。
「えっと・・。坂口美子さんっていう子・・。」
その言葉を聞いた時、僕はめまいがして・・その場で倒れてしまった・・。
「う、うーん。こ、ここは・・。」
僕はやっと目が覚めた。白くてとても高い天井が僕の目に映った。
「やっと目、覚めたか!ここは病院だぞ。」
慌てて横を見る。そこには心配そうに見つめるわっちの姿があった。
「そうか、ここは病院か・・。」
確か、ボウリング場で倒れたのは覚えているのだが、なぜ倒れたのかは自分でさえ覚えていない。
「お前、なんでオレが秘密ばらしてる時に倒れんだよ!バッドタイミングだぜ!」
その言葉にふと我に帰った。そうか思い出した・・。あの時わっちは誰かに告白されたと言っていた。でも・・そのコクった人の名前を聞くと・・とても胸が痛くなった・・。
「坂口美子・・・。」
そう、僕が7年間もの間、片思いし続けた運命の女の子だ。彼女は、とても明るくまじめで、誰からも好かれるような素晴らしい女の子だった。よく遊んで、帰る時はいつも一緒で・・どこにても一緒で、もう恋人のような関係になっっていた。
それなのに、どうして・・。どうして彼女は僕を捨てたんだ・・。あんなに恋人の関係を築いていたのに・・。
「どうしたの。顔色が悪いぞ。」
わっちが心配そうに言ったみたいだが、僕には聞こえなかった。
どうして・・、なんで僕じゃないんだ。美子のことを思うたび、胸に激痛が走る。なんで・・。
そうだ、わっち!コイツがオレの彼女をとったんだ。なんでよりによってオレの親友なんだ。オレはこいつのことを恨んでしまいそうだ。
そして、オレは聞いてみた。
「なんでだよ!なんで美子がお前にコクったんだよ!」
わっちは、なにが起こったかわからないように目を丸くして答えた。
「し、知らないよ!だって美子さんが僕に付き合って下さいって急に言ってきたんだもん。」
オレはその言葉を聞き終える前に言った。
「じゃあ、お前は美子と付き合う気なのかよ!」
頭が爆発しそうなのを抑えて言うとわっちも堪忍袋の緒が切れたようにこう答えた。
「だったらなんだっていうの!別にそんなの自分の勝手じゃん!なんでいちいちてるにそんなこと言われなきゃいけないんだよ!」
わっちはそう言うと、泣きながら病室を走って去ってしまった。
そうか、わっち。ごめんよ・・。言い過ぎた・・。オレはわっちに美子が好きっていうことを打ち明けた時のことを思い出した。でもわっちは、誰にもばらさずに黙っててくれた。しかも、オレを応援してくれた。
「ガンバレ!」
ってね。
多分、今回もオレのことを気遣って断ってくれるだろう・・・。そう思ってた・・・。
しかし・・オレが思ってるほどそんなに甘くはなかった・・・・。