1、奇跡のボウリング
僕とわっちは、古くからの友人だった。だけど、本当は、出会っちゃいけなかったんだ・・・。
雲ひとつない晴天に見舞われたある日の土曜日、近所のスリーエフの前で僕とわっちは友人のである星とガッキーを待った。
外は7月と夏の真っ只中で、猛烈に暑い。
「もう、我慢できない!中入ろうぜ!」
僕がそう言って、スリーエフの中に入るとまるで天国のように生き返った。そして、キンキンに冷えたスイカバーを買って外に出た。もっと中にいたかったけれど、ちょうど星とガッキーが来たからだ。
「ごめーん。待ったー?」
暑さにやられてるせいか、妙に星の言葉に覇気がない。
「大丈夫かー。もっとやせろよー。」
と、おちょくったようにガッキーが言う。確かに星は体系がぽっちゃりしていて、ジーパンから腹の肉が出ている。
そんなことは良しとして、僕たちは、今日近くのボウリング場に行くのだ。一ヶ月ぶりのボウリングなので、とてもウキウキしている。
「みんなそろったし、行こうぜ!」
そう言って僕は暑さにすっかりやられてるみんなをまとめあげた。みんなスリーエフに入りたかったみたいだが、ボウリング場はすぐ人で溢れかえってしまうので早く行かないと場所がなくなると、みんなを急かした。
みんなぞろぞろと自転車に乗った。何かを焼いている鉄板のように、サドルが熱い。
僕は、それにこらえ走った。目の前には、横断歩道があるのだが車は誰も止まってくれず、5分も待つはめになった。
やっと、通り抜けて気持ちのいいサイクリングができるようになった。
ボウリング場に着いた。建物の3階にあるので、階段を昇るのが正直しんどかった。中に入るとたいして混み合っていなく、まぁ十分だった。
場所を取ると、真っ先に僕がそこへ行った。よっぽどボウリングがやりたかったのだ。イスに座って休憩して、始めようとした。
最初は、僕。勢いよく投げようとしたその瞬間!
「ちょっと待って!ただボウリングやってもスリルがないから・・、そうだ!ビリだった人は、自分の秘密をばらすってのはどう?」
星が大きな声で言った。僕は、あまりにも急だったので転んでしまった。
僕合わせてみんな賛成と同意見だったので、あっさりそうなってしまった。でも、僕は安心していた。だって、わっちがいるじゃないか。
わっちは前、僕とボウリングに行った時にスコア30という奇跡的な数字を叩きだしたのだ。だから、絶対わっちがビリだと思っていた・・・。
結果は・・、うん。予想通りわっちだった。僕137、星97、ガッキー86、そして、わっちが・・・、21。
え・・・21!まさか・・そんな数字があるなんて・・。
なんていう風にみんなの顔は、驚きと不思議が交錯していた。
なぜ、わっちがそんなスコアを叩きだしたかって?わっちは、10回連続でガーターを出したのだ。それでも十分ありえないことなのだが、さらに凄いことに隣のレーンにボールが飛ぶという奇跡が起こった。
まさか、そんなことが起こるなんて思わなかった・・。隣の人達は、当たり前だけど笑っていた。恥ずかしい・・。
そんなわけで、わっちが秘密をばらすことになった。わっちは俯いたままもじもじしている。
「どうした!早く話してよー!」
星とガッキーが急かす。
そして、とうとう重かったわっちの口が開いた・・・。
「オレ・・・。」
みんなはゴクリと唾を飲み込む。果たしてわっちの秘密ってなんなんだ?