第5話 ここはどこ?
本日短めです。いつもの半分くらい。明日にも投稿できるかなぁー、と、淡い期待を抱いておりますが、結果はきっと神様も知らない……何のお話をしているのでしょう?
ついでに、風邪ひいたんでストックが撃沈しております。オーマイガー。
……とりあえず、ちょこっと伏線回収回(?)です。どうぞ。
「ねぇ、シル」
ポツリ、と小声でシルに話しかける。シルはそれには答えず、チラリと視線をよこすだけだったが、私は構わず話を続けた。
「なんか、視線が痛いんですけど……何で?」
「……さぁな」
このやりとり、何回目だろう。
「演技下手だね」
「余計なお世話だ」
ここまでテンプレと化してしまっている。
今いるのは、つい先程装備を購入した、あの街である。さほど人が多いという訳ではないのだが、行く人々が、みんな揃ってこっちを見るのである。何故?
いや多分原因はシルだろうから、さっきからフード被らないのかなー?とか言ってるんだけど、相手にはされず。酷くない? 主従関係どこ行った?
……そして、今も昔も、こう、注目を浴びることは無かった私の事だから、結構緊張していたり、ね。しちゃってる訳ですよ。
シールー……。
「言っておくが、俺が原因じゃない」
「絶対嘘だ」
シルが人姿になった時は、とてつもない美形である。まぁ、フェンリル体型の時が不細工な訳じゃないんだけど。やっぱり、フェンリルっていうのは神々しいけれども、いまいち身近に感じることができない。ついでに、フェンリルの美形の基準がよく分からないのもある。
だから、シルの今の姿を見た時は、思わず見とれてしまった。かなりの美形である。
……あ、そういう事か。
一人合点のいった私は、先程購入したて、新品出来立てホヤホヤのロングマントのフードを被った。
……出来立て、なのかな?
「私がシルの隣に立ってるからか……」
「は?」
鮮やかな瞳が呆れた視線を向けてくる。悪かったな、気付くのが遅くって。馬鹿だよ、私は。
シルの綺麗な銀髪と赤目に、彼は顔も神様級に良いし、スタイルも抜群。それに比べて私が見劣りするのは当然のことで。ついでに、何処かの怖い貴族のご令嬢達宜しく、嫉妬の視線とかもバッチリ混じっている訳でして。
殺気じゃないと悪意に気付けない、私の欠点である。これは、昔から皆に言われていた事だが、どうしようもないのだからどうしようもなく仕方がないのである。改善できないからこそ、致命的な欠点なのだ。
……その割には詐欺とかには遭わないんだけど。まさか、詐欺に気付けない程……、いやいや、ないない。ないよ、うん。ない。
……よね?
「ま、いいや。私がフード被ってれば済むことだしね。それより武器を探さなきゃ。好みのものがあったら言って。昔だったらお抱えの職人がいたんだけど……」
ここは1000年後のゲーム世界である。否、正確には、ゲームと同じ世界観を持つ、別世界。
恐らく、そういうことだろう。
エングレイブ・オンライン、通称EOは、戦闘に重きを置いたゲームだった。故に、優秀なAI……人工知能を搭載したNPCはほぼいなかった。この点では他のゲームソフトよりかなり劣っていたが、そこをストーリーと戦闘、アクションへのハイスピード対応でカバーしていた形だ。飽くまで、デスゲーム化する前までの話だが。
デスゲーム化で、全てが、変わってしまった。
「九天、だったか」
「そう。職人が一人いたんだ。戦闘員がフルパーティの7人で、残り二人は裏方。情報屋と生産者だったんだ。この辺が他のギルドと違ったところかな。今はどうなの?」
「俺に聞くな」
そりゃそうだ。
人間事情なんて知らんわな。
「気になるのか?」
街を行く人々の視線を気にしないように心がけながら、フードの隙間からやっと視界を確保する。結果俯き加減になってしまうのだが、これは不審者に見えないだろうか。
気配探知スキルを発動させての少人数対一なら戦えるかもしれないが、集団戦とかガチ戦闘だったら、このフードは外さざるを得ないかな。
とまぁ、そんなことは置いといて。
「そりゃ、ちょっとはね。だって、今は巨大ギルドなんでしょ?」
自分がかつて作った弱小ギルドが、1000年後には巨大ギルドである。なんて夢が広がるのだろう。というか、どういう仕組みなんだろう。
「今はって……昔は違ったのか?」
そろそろとドアが開き、早起きの街人が、せっせと仕事を始めようとしている。
「昔はまぁ、9人で固定してたしね。2人入れたかったからギルドにしてみましたってだけだったし。あ、昔はパーティの最大人数が7人までだったんだ」
「ふぅん。やはり、神話の時代の話は面白いな」
……あの説明のどこに面白い要素があったのか気になるところだが。
「気になるなら、行ってみればいいだろう。その、『九天』とやらに」
「え」
追い出されたら、どうしよう。初代ギルドマスターが自分のギルドのメンバーから追い出される。何気にシュールである。
というか、私にとっては身近な恐怖だ。トラウマものじゃなかろうか。いや、さすがにそこまでのダメージはないか。
ないといいなぁ。
「……んじゃまぁ、とりあえずギルドへの道案内を誰かに頼みますか」
「……その辺りは任せる」
「はいはい、任されました」
そうして、私達はなんとか、一時間という異常な時間を費やして、ギルド『九天』のコートルヴィル支部に辿り着いた。
え? コートルヴィルって何? 昔はここに王都の名前が入って、という以前に、本部じゃないの? すっごい大きい建物が目の前に鎮座しているのですが。これで支部? どうなってるんだ?
私が知る限り、ラスボスがいたのは王都の真横だったんだけど……え、ここ、王都じゃないの?
深夜テンションで書いた前書きがヤバいことになっている事はよく理解できました。
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