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ある日王女に転生しまして  作者: Amaryllis
第一章 出会いの章
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第4話 第二要塞の街

 今回シルは、門の外でお留守番です。主人公が買い物をします。世界観がわかったらいいなー、というか、私のイメージ固めですね、これは(笑)


 今回はいっつも通りの量ですよ! いやぁ、間に合ってよかった。

 シルを残して、灯りのない夜道を歩き、現在、通りを歩いている。大きな街だからか、全く無人という感じではないが、やはり、人影はまばらだった。


 街が大きい事は容易に想像できた。丘の上から見下ろした時になんとなくの規模は分かっていたし、夜中にしては付いている灯りの数が多く感じられたからだ。

 街に入る時に何かしら面倒な手続きがあるかもしれないと考えていたが、どうやら杞憂だったようである。検査などは特に行っていないのだろうか。


 とりあえず、相場は分からないが魔物の素材を売った。合計で6サン。中々の大金である。

 現在は通じるかどうか不明だったが、この世界の通貨は変わっていなさそうだ。


 豆粒サイズの金の塊一つで1サン。金貨である。最も価値が高く、最も小さい通貨だ。

 次に、銀色のコイン。これはムーンと呼ばれている通貨で、10枚で1サンである。

 最後に、銅で作られた、カッパーという名の通貨で、こちらも10枚で1ムーンだ。

 金貨、銀貨、銅貨と、実にわかりやすい。金貨は異様に小さいが、他は普通のコインサイズなので扱いやすい。尤も、金貨という呼び方は誤解を呼びそうだが。


 装備一式を揃えるのに、普通なら2サン程かかる。宿やその他のことも考えれば、シルの装備を整えたら、何もしないほうがいいだろう。宿はものによるが、大抵が一泊食事付きで1ムーン、泊まるだけなら食事代を抜いてくれるところもある。


 しかし、実に覚えやすい名前だ。

 一番が太陽。二番目が月。そして三番目が何故か銅である。ここは星ではなかろうか?

 ……夜空には綺麗な星々が輝いている。良かった。星が存在しないわけではなさそうだ。


 やがて大通りに出た。道の幅が急に広がり、店の数も増える。


 とりあえず私が買わないといけない物の確認をしておこう。


 まず一つ目。何が何でも買わないといけないのがシルの服である。装備はまぁ、軽いものでいいだろう。今は万が一に備えて、私のマントを貸している。というより、あげた。


 私の装備はごく普通のもので、貴族なら当たり前に装備している程度のものだ。

 レザーアーマーと呼ばれる皮の鎧に、肩から地面すれすれまであるロングマント。色はダーク系等で統一している。

 シルにあげたのは、グレーのロングマントだ。もし人が来ても、男一人の体が隠せるくらいの大きさはあると思う。銀色に見えないこともないような色合いだし、中々似合うと思うと思ったから、そのままあげた。私の初のプレゼントである。


 次に、簡単な宿を確保したい。だがまぁ、これは明日の朝でもいいだろう。


 あとは、思いつく限りでは武具だろうか。

 人姿になったシルに噛みつき攻撃はできないだろう。これから行動を共にするのであれば、フェンリルとしての姿を奥の手として、ヒューマンとしても戦えるようになってもらいたいところである。


 今まで私が使っていたのは、ダガーと呼ばれる類の短剣数本と、暗殺用の毒針。これは何故持っていたのかよく分からない。この辺りは、袖なんかに隠し持っていた。

 表立っては、剣と杖だ。尤も、杖の方はあまり使わず、ずっとアイテムボックスの底の方に眠っていたような気がする。


 やはり、買うとしたらそのあたりだろう。

 生産スキルをゲーム初期で手に入れていたため、簡単な武器なら製造できる。そう思って、角ウサちゃんの角は売っていない。宿でゆっくり加工でもしようではないか。


 大通りを歩きながら、店の中の店員や職人のレベルを覗き見る。

 朝も近付いてきて、所々店も開いてきた。


 今の所、一般人がレベル5あたり、職人がレベル10あたりである。冒険者に関しては、ギルドで見たほうが早いだろう。尤も、冒険者のレベルなんぞピンからキリまであるものだし、街によっても違うからなんとも言えないのだが。


 いくつか覗いた店で、レベル20の服職人がいる店があった。他にも見てみたが、迷子にならない範囲で、そこまで高いレベルを持った職人は見かけなかった。

 雰囲気も悪くないし、防具もそこそこいいものを置いている。デザインを見てもオシャレで、男物も売っていた。飽くまで私の見解だが、さほど値段も高くない。ごく平均的、もしくは、若干安いくらいではなかろうか。


「いらっしゃーい」


 明るい少女の声が店内に響く。私は好奇心に駆られ、うっかりドアを開けてしまっていた。まぁ、後悔はしていないのだが。故意的に、とも言うかもしれない。


「1・5サン程度で、装備一式をを。あ、男物で」


 1・5サンとは、1サンプラス5シルバーの事である。計算を頑張ればカッパーもサンで表せるのだが、そこまでしている人を見たことは無い。

 ……いや、物好きがいたような気が……。まぁ、忘れても支障はあるまい。


「はーい! 少々お待ちくださいねー」


 活発なお嬢さんである。


 彼女が店の奥に引っ込んで何やらガサゴソしている内に、私は店内の服を見て回る事にした。

 事細かく刺繍されたものや、シンプルな無地、中には、ちょっとしたオシャレ着もあった。夜会に出かけるには物足りないが、仲間内でのパーティーになら、充分着ていける程のドレスだ。


 私はその中からざっと服を選び、結果、ごくごく普通の、ただレアリティがちょっと高いシャツとズボンを買う事に決めた。

 あまり悩んでいては怒られそうだし、何より彼の好みも分からないから、どうも地味になってしまった。


 レアリティとは、いわば物のレベルである。生物に対してのレアリティがレベル、と考えるといいかもしれない。基本1から10までのレベル表示で表され、数字が大きければ大きいほど、質のいいものと評価される。中には、必要最低レベルの設定がされている物や、ペナルティが設定してあるものもある。

 ペナルティに関しての説明は簡単だ。HP、ヒットポイントと呼ばれるキャラクターの総合体力の一部を引き換えにする代わり、攻撃力を大幅に上昇させる、といった物等が代表的と言えるだろう。


 生産した職人や人物のレベルが高かったり、ある一定の動作を加えたりするとレアリティは上昇する。

 そうすれば、武具や防具自体のステータスが高くなる他にも、武具や防具の耐久性、装備する人物のステータス一部上昇などの効果がかかる。だがもちろん、そういった物の値段は高い。


 このシャツとズボンにエンチャント、つまり、付与されていた効果は全部で三つ。


 シャツが防御力上昇でレアリティは5、ズボンは俊敏上昇と幸運上昇(微)でレアリティ6だ。服につけるエンチャントとしては、まずまずといったところだろう。


「お待たせしましたー」


 店の奥から、少女職人が、装備一式を被せたマネキンを台座に乗せ、それを引っ張ってやってきた。やはり、元気なお嬢さんである。


「1・5サン丁度になりますとー、この三つですね。これが後衛向きのガチガチ装備。これが前衛向きの普通装備。最後にこれが、旅人向きの軽装備です。どれも男性用の装備なので、女性にはちょっと重いでしょうけど」


 ふむ。1・5サンジャストとな。なかなかのやり手である。


「これよりもうワンランク上となりますと、オーダーメイドをお勧めします。高いっていうステータスしかありませんからー」


 ……なるほどね。


 シルの場合、人姿になっても前衛だろう。個人的には、彼はパワーがあるから、遊撃兼タンカーとして通したいところ。恐らく、彼に扱える剣というか、彼に扱われても壊れない剣なんて、そうそう無いと思うから、盾攻撃か素手での攻撃になると思う。それも考えると、動き回るのが難しい、後衛向きの装備は却下。

 残るは前衛向きの装備と軽装備だけど、これはぶっちゃけどっちでもいいんだよなぁ……。


 前衛向きの装備は、動くのにパワーがいる。故に、アクロバティックな動きを好む遊撃型は軽装備を身につける。

 だけど、シルのパワーは半端無いし、重装備でも前衛並には動けると思う。それを考えると、シルには前衛型の装備をつけさせてタンカー、盾使いを名乗らせ、そこから遊撃の動きをしてもらうほうがいいのか。もしくは、遊撃型の軽装備をつけさせて、むっちゃ早く攻撃を織り成すアタッカーにするか。


 遊撃型は動きは早いが、一つ一つの攻撃が軽い。だが、パワーがあるシルなら、この問題も解決できる。


 ……とりあえず、シルならどうにかなる。


 個人的にはタンカーが欲しい。一応私の職業は後衛である魔導師だし。その割には前衛用のスキルが異常に多いんだけど、それでもやはり魔導師だ。


 私の持つ前衛スキルはどれも単体。例えるなら、火魔法の極意、水魔法の極意、などという細かい分類がなされている。だが、魔法を異常に極めてしまった私は、ユニークスキル、つまり、システム外スキルとして、魔導の極意なるスキルを手に入れてしまったのである。

 効果は、「全魔法解禁」「詠唱不必要」「魔法略奪」「スキル複製」「スキル譲渡」等である。等と言うからには、まだ効果はある。一言で言うなら、このスキルはバグ。所謂壊れスキルという奴だ。


 特に、全魔法解禁はマズイ。壊れスキルの中でも群を抜いた壊れスキルが異常に壊れてしまった原因の一部である。飽くまで一部だが。

 ……そして、そんなスキルを持つ私が魔法を使いまくっても倒せなかったラスボスって、どうなんだろう。プレイヤーの中には、もともと倒させる気は無かった、なんて説を展開する者もいたが、なるほど頷ける。


 大分話が脱線してしまったが、要するに、タンカーが欲しいという話である。盾を持つのに遊撃型の装備は、少々心許ない。私のイメージの問題なのだろうが。

 だがまぁ、この先何が起こるか分からない。ならば、安全にしておいて悪いことは無いだろう。


「前衛型の装備で。あと、これも」

「はーい、お買い上げ、ありがとうございまーす」


 にっこり営業スマイルが何故か営業に見えないそれを見て、思わず苦笑が漏れた。その拍子に、ふと、フード付きマントが目に入った。色は黒。何というか、黒光りしていそうな黒である。


 レアリティも悪く無い。エンチャントはMP増加(極)だ。これはなかなかの掘り出し物かもしれない。


「そちらはー、3・6シルバーになりまーす」


 先ほどの装備と服を合わせてジャスト2サン。残るのは4サンで、そのうち半分は不器用として、宿は一泊なら1シルバーで事足りる。スキルがスキルなだけあって少々お高いが、奮発しても良さそうなレアリティだ。レアリティ8。これはかなり上位のレアリティだ。


「ありがとうございましたー! またのお越し、お待ちしております!」


 元気な職人だ。


 そんなことを思いながら、私は朝日に向かって歩いた。

 ブクマ・コメント等、お待ちしております! 誤字、脱字に関しても、教えていただけると幸いです。宜しくお願いします!

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ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
亀更新ですが、これからもよろしくお願いします。
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