第0話 プロローグ
皆さん、お久しぶりです。
『約束の剣』? あ、はい、進んでます、一応は。主人公のチートっぷりに、作者が振り回されておりますが、一応生きてはいます。はい、ごめんなさい。
今回の小説ですが、やはりファンタジーです。ちょっと系統を変えて恋愛方面。……多分、恋愛になってくれる、はず。とはいっても、基本的にはアクションというか、冒険というか……まぁ、ファンタジーですよ、えぇ。
相変わらずの不定期投稿です。今回はプロローグもどきですが、次からは本格的(?)にやりたいと思います。どうか、宜しくお願いします。
「――っ」
目が覚めると、私は草の上に倒れていた。地面は冷たく、雨に濡れている。自身の革製の防具に、泥が染み込んでいくのを感じた。
辺りは暗い。とは言え、月明かりが静かに降り注ぎ、森の木々の合間を縫って、優しい光を落としている。
「なん……で……?」
だって、ラスボスは……『守護者ガーディ』は、倒したはず。なのに、何故、私はここにいるんだ?
近くに僅かな殺気を感じて慌てて跳ね起きれば、周りはすでに、何かに囲まれていた。それは緑色の肌を持った、人間の子供――幼児程のサイズで、だが醜い顔を晒している。
――全くもって可愛くなどない。
それを私達『プレイヤー』は、『ゴブリン』と、そう呼んでいた。
「ホノカ――」
……違う。彼女は、もういない。ここは、デスゲーム。
――本当に?
私は確かに見届けたのに。周りで戦っていた『九天』のメンバーが――否、『生きていた九天のメンバー』が、確かにログアウトしていく、光となって消えていくその姿を――
答えはもう、随分と前に、出ていたのかもしれなかった。
「ここは、ゲームの外――?」
ゲームから……エングレイブ・オンライン、通称・EOから出られなかった私は、つまり――死んでいる?
――そうだ。
私が見た、皆がログアウトしていく瞬間の絵は、斜めにぶれていたじゃないか。最終的には、真横で、まるで下から覗き込むかのような絵だったじゃないか。
それは、現実世界に戻る時の反動でもなんでもなく、私が倒れていたからではないのか。そう、先程目が覚めたのと、同じように、倒れていた。
ゴブリン達の悲鳴をもろともせずに思考を進める。
全身を見下ろしてみる。大きな外傷も無ければ、装備もデスゲーム時――ラスボスに挑んだ時のままだ。耐久度まで同じと来た。
マップを確認してみる。
『守護者の砦跡』
――跡?
周りから殺気が失せた。ゴブリンたちが敗走を始める。私は追う気もなく、とりあえずその場に座り込んだ。
とりあえず、ステータスの確認。心の中で唱えると、薄いガラスにも似た画面が浮かびあ上がる。さしずめ、画面だけのスマートフォン、といったところか。
特に問題はない。レベルは1068のまま。他のパラメーターも同じく、一切動きを見せていない。スキル、職業から、全てにおいて、異変はなかった。
……この状況以外。
――否。
スキルが一つだけ、増えていた。――何故?
♦ ♦ ♦
ステータス偽造(偽) Lv.36
ステータスを偽造する。
♦ ♦ ♦
……いや、何のことか、分からないんだが。
(――『発動』)
物は試し。偽造だから、本来のステータスに変動はないはず。
何か精神的な反動やらペナルティがあっても、所詮ここは王都周辺。出てくるのは先程のゴブリン程度だから、ラスボス討伐をやり遂げた私にとっては、この程度、素手で倒すにしても一撃だ。何しろ、『体術の極意(神)』などというスキルも手に入れているのだから。
一瞬、体が光ったような気がした。
次の瞬間、再び目の前に不思議な画面が現れる。
――名前蘭から何から何まで、全て空欄だった。そして、打ち込めるようなっているらしい。
あんまり本名からかけ離れると……いや、やはりここはゲームらしく――
(ネーム:リリス)
レベルは……どれくらいが平均なのだろう。NPCは5前後だったが……。
(レベル:10)
――種族?
まさか、ここまで偽造が可能だったとは。
私の本来の種族であるハイヒューマンは、ヒューマン――人間の、上位種にあたる。ヒューマンのレベル、レベル100を超えた場合種族がハイヒューマンに進化するクエストを受けることが出来るのだ。レベル10のヒューマンと、レベル10のハイヒューマンでは、確かに、少しどころではなく、意味が変わって来る。
つまり、レベル10と、レベル110の違いである。
(種族:ヒューマン)
私は昔から変わらず、どのVRゲームにもヒューマンを貫き通してきたのだから、これでいい。
――もしやこのスキルは、種族限定イベントへの参加用スキル、だったのだろうか。いやしかし、特に今までのイベントで種族の制限はなかったはず……。
パラメーターは自動で決まり、装備はアイテムボックスへしまうことで事なきを得た。
アイテムボックスとはその名の通り、アイテム収納箱である。魔法の一種だ。
私のそれは、見た目小さな革袋。だが、エルフの長にかけてもらった特殊な魔法のおかげで、収納数は無限である。大きさ、重量も無関係。市販のアイテムボックスとは、性能が段違いである。窃盗の心配もない優れもの。理屈は分からない。
『リスト』と念じれば画面がでる。おまけに他人には見えないと来た。何と便利な世の中だろう。
こうして、ごく普通の娘、リリスが出来上がった。
――とりあえず、街へ向かおう。いや、その前に、私が使っていた宿か、それともギルドへ向かう方が安全か?
――否、ここは。
今ここに来た、神の獣に問うてみるべきだろうか――?
――神の獣、すなわち、幻の生物、神獣に――……。
もしよろしければ、『約束の剣』も覗いて行ってください。
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