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帰り道

「起立。礼」

「「さようなら」」


林道の号令に従って全員が帰りの挨拶をする。

倉間さんの衝撃発言から少し経って掃除を終え、今は終礼が終わったところである。

ちなみに掃除は針のむしろ状態だったが、なんとか無事に終了した。


「浩司くん。一緒に帰ろ?」


終礼が終わってすぐ姫乃が寄ってくる。


「了解。小雪を迎えに1年A組に行くけどいいか?」

「もちろん。じゃあいこ」


そう言って姫乃が教室のドアに向かうので俺も後について行く。教室を出て3階にある3年の教室から1階にある1年の教室へ向かう。


1年の教室に入ると目立ちそうなので嫌なんだが、小雪にそれを言うと睨みれたのでしぶしぶ向かっている。



「あっお兄ちゃん。やっときた」

「「お兄ちゃん?」」


教室に姫乃と入るとこちらに気づいたらしく、小雪が声をかけてくる。それと同時に小雪のクラスメイトが疑問の声をあげる。


「ねぇ小雪ちゃん。その人が噂のお兄さん?」


疑問の声をあげた生徒のうちの1人の女子生徒が小雪に声をかける。黒髪をツインテールにし、眼鏡をかけた可愛らしい子で入学式でも小雪と一緒にいた子だ。

あと噂ってなんだよ。小雪がなんか言ったのか?


「さっき話してたお兄ちゃんです。では私はこれで」

「うん。ばいばい」


小雪は友達と帰りの挨拶を済ましてこっちによってくる。


「じゃあお兄ちゃん帰ろ?」

「さっきの眼鏡の子、入学式一緒にいた子だろ?一緒に帰らないのか?」

「明里ちゃんのこと?明里ちゃんいつも車で送り迎えしてもらってるから一緒に帰れないの。入学式の日はたまたま徒歩だったみたいで」


いつも送り迎えってお金持ちなんだろうか。

それから姫乃と小雪を連れて下校する。




「あら柊くん。待ってたのよ」


2人を連れて校門をくぐろうとすると、校門にもたれかかっていた倉間さんに声をかけられる。もちろん何か待たれるような約束はしていない。


「えっ?SAKURAさん!?SAKURAさんですよね!」


倉間さんに気づいたらしく俺が何か反応を示すより先に小雪が驚いた声をあげる。


「あなたは?」

「私、柊小雪です!SAKURAさんのファンなんです!なんでこんなところに!?」

「柊って……。ああなるほど。柊くんのいもうとさんなのね」

「そうなんです!それよりなぜこんなところに!?」

「おい小雪、落ち着け」

「そうだよ小雪ちゃん。興奮しすぎだよ」





「それじゃあ倉間さんはこの学校に転入してきたんですか」


興奮する小雪を落ち着かせて、なしくずし的に小雪と姫乃と倉間さんと4人で帰っている。もちろん注目されてるが、登下校で注目されるのは姫乃と一緒に帰った時点でいつものことなので妥協している。


「ええそうよ。ちょっと事情があってね」

「そうなんですか。それでなんでお兄ちゃんを待ってたんですか?」

「俺も聞きたかったんだ」

「わたしも気になる。小夜ちゃん教室では男子を避けてるようだったのになんで?」


俺もそれを聞きたかったが、小雪が質問責めにする為聞きそびれたいた。まぁなんとなく予想はついているが。


「それはもちろん私が柊くんに好意をもってるからよ」


予想してたのとは違う答えが返ってきた。ほかの2人も予想外だったらしく俺と同じくポカンとしている。俺はてっきり男避けよとでも言うと思ってたんだが。


「えっ好意って小夜ちゃんは浩司くんが好きってこと?」


一番早く復活した姫乃が倉間さんに聞く。


「そうよ」

「お兄ちゃん、一体どういうこと?」

「まっまて落ちつけ。俺もなんのことだか分からん。倉間さんなんのつもり?」

「ふーん。この反応ならちゃんと言ったほうが良さそうね」


どこかあせった表情をしている姫乃と小雪の顔を見て倉間さんが良く分からないことを言う。そしていきなりカミングアウトを始める。


「実は私、男の人って苦手なの。それで柊くんに彼氏の振りでもしてもらって男避けになってもらおうと思ったんだけどそれは2人に失礼だったみたいね」


そう言うと姫乃と小雪の顔が真赤にそまる。

どういうことだ?失礼ならは2人にじゃなくて俺にだろ。まぁ逆に俺が彼氏なんて倉間さんに失礼だと周りには思われそうだが。


「それじゃあ家に着いたみたいだし、また明日会いましょ」


いつの間にか家に着いていたらしくそう言って倉間さんが自分の家のドアを開けて入っていき見えなくなる。


「浩司くん。今日家にいっていい?」


いきなりの事態に呆然としてると、姫乃が声をかけてくる。


「もちろんいいけど。何か用事でもあるのか?」

「ちょっと小夜ちゃんについて気になることがあるから話してもいいかな?」

「分かった。小雪もいいよな?」

「もちろんいいよ」




「浩司くん小夜ちゃんのことだけど」


家に入りいつもご飯を食べる席に3人ともつくと、姫乃が話を切り出す。


「男の人が苦手って話か?あれは多分本当だと思うぞ」


そう言って今日の掃除の時にあった出来事を話す。 あの時は寄って来る男どもの相手をするのが面倒なんだと思っていたが、どうやらそれだけではないみたいだ。


「やっぱりそうなんだね。小夜ちゃん教室でも男子に話かけられて嫌そうというよりしんどそうだったから」

「じゃあなんでお兄ちゃんは大丈夫なの?」


当然の疑問を小雪がはさんでくる。だがこれについては大体予想がついている。


「それはたぶん俺が倉間さんに興味がないからじゃないか?倉間さんは容姿とかアイドルというステータスに寄ってくる男が嫌いって言ってたし」


もちろん興味が全くないわけじゃない。あの容姿には惹かれるものがある。ただ興味を持たないよう務めてるだけだ。自己保身のために。


「興味ないか……。ねぇ浩司くん。小夜ちゃんの頼み聞いてあげてくれない?」

「頼みって彼氏の振りをするって話か?」

「うん。小雪ちゃんもいいよね?」

「はい。お兄ちゃんが倉間さんに興味ないって言うなら妥協します」

「おいまて。俺は了承してないぞ」


結局、姫乃と小雪に頼み込まれ断りきれずしぶしぶ了承することとなった。

読んでいただきありがとうございます。


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