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女の子はみんな強かである

倉間さんの自己紹介が終わり、しばらくして教室が落ち着いてから佐藤先生は倉間さんにあいてる席に座るよう促した。倉間さんは教室を見渡し空いてる席を見つけたらしく席につく。運が良いのか悪いのかおれの隣である。クラス中からのやっかみの視線が痛い。


「よし席についたな。じゃあホームルーム始めるぞ」


それから今日のながれについての説明を聞き、全員で始業式が行われる体育館へ移動となった。移動の際、倉間さんがあれこれ質問され囲まれていたのは言うまでもない。




「今学期も健やかに過ごせる事を祈っています」

「礼」


長かった校長の話が終わり、司会進行を務める先生が礼と言うとみんな一斉に頭を下げる。始業式については特に生徒会には仕事がないので気楽なものだ。


それから表彰伝達などを終えて各自のホームルーム教室へ戻るよう促され体育館を後にする。




「じゃあこれから委員会を決めるぞ」


教室につき生徒が全員席につくと鈴木先生が今日の予定の1つである委員会を決める話し合いを始める。


「じゃあまずクラス委員やりたいやついないか?」

「僕やります」


そう言ったの手をあげたのは去年も同じクラスでクラス委員をやっていた林道である。眼鏡を掛けたがり勉タイプだ。


「よしじゃあ他に立候補もいないみたいだし林道頼む」

「はい」


それから進行を林道に交代してつつがなく委員会決めは終わった。俺と姫乃は生徒会で委員会が免除なのでどこにも入っていない。倉間さんはじゃんけんに負けて文化委員になったようだ。文化委員と体育委員は文化祭と体育祭の影響で大変なのだ。もちろんやりたいたやつなどいない。


委員会が決まると林道は席につき入れ替わるように鈴木先生が教壇に立った。


「今日はあと大掃除をして終了だ。廊下側2列は教室、真ん中2列は廊下、窓側2列は中庭の掃除を頼む」


そう言って各々割り当てられた掃除を始めるための移動を開始する。俺は中庭なので靴を履き替える必要があるので靴箱に向かう。


「柊くん」


教室を出ようとした時後ろから名前を呼ばれ振り返ると、倉間さんがこちらに向かっていた。


「倉間さんどうかした?」

「良かったら中庭に案内してくれない?場所が分からなくて」

「昨日は建物とか施設しか案内してなかったから分からないか。じゃあ一緒に行こうか」


内心動揺しつつ返事をする。昨日、話したといってもまだ緊張しないほどではないのだ。もともと俺はそこまで対人関係が得意ではないのだ。このことがおれの友達の少なさに一役買っているのは言うまでもない。それに今や彼女はクラスいや学校中の注目の的だし。



「柊くんちょっと聞きたいんだけど」


教室を出てすぐ倉間さんが声をかけてきた。


「なに?」

「昨日のことなんだけど柊くん私のこと気づいてなかったわよね?」

「そうだな。今日は知って驚いたよ」

「やっぱり。高梨さんは柊くんはきっと気づかないよって言ってたけど本当に気付かないなんてちょっとプライドが傷ついたわ」

「ごっこめん。俺アイドルとか詳しくなくて」

「冗談よ。むしろ気づいてくれない方がありがたいわ」

「えっ?」

「ごめんなさい。なんでもないわ」


倉間さんの反応が少し気になかったが、スルーして欲しそうな感じなのでそれからは他愛ない話をして中庭へと向かった。



中庭につくと既に多くの生徒が掃除を始めていた。なぜかみんな(特に男子生徒)一様にしてやる気がある。いつもはダラダラやっているのに不思議だ。


中庭についた俺と倉間さんに気付いたらしく1人の生徒が俺達の方へ寄ってくる。正確に言うと俺ではなく倉間さんの方へだ。ちなみに俺の方へは睨みを飛ばしてきた。


「倉間さん一緒に掃除しない?」


寄ってきた男子生徒が倉間さんに声をかける。それはクラス委員の林道だった。林道は、がり勉な外見に似合わず女好きなので、倉間さんの容姿に惹かれたのだろう。ちなみに林道は2年の時に姫乃にバッサリ振られたことがある。


「ごめんなさい。柊くんと掃除するから」

「倉間さん何言ってんの!?俺は1人で掃除するから!」


正直、面倒事と倉間さんと一緒に掃除できることを天秤にかけると面倒事を避ける方に天秤が傾く。


「あら、さっきここに向かう途中で一緒に掃除するって言ったじゃない」

「柊。またお前か。高梨さんの時といい今回といい俺の邪魔ばかりしやがって」

「おい待て林道!誤解だから!それに口調が崩れてるぞ!」


俺の言葉を無視して林道は去っていった。これで面倒事を避けるのは不可能になった気がして、その元凶に目を向ける。


「倉間さんどういうつもり?」


俺は林道が離れてから小声で倉間さんに尋ねた。


「なんのことかしら?」

「なんのことって。一緒に掃除するなんてそんな話してないだろ」

「そうね」

「じゃあなんで」

「もちろん男避けよ。正直アイドルっていうステータスとか見た目とかで寄って来る男って鬱陶しくて」


それを聞いたとき俺は絶句した。どうやら倉間さんはただの可愛い女の子ではないらしい。

読んでいただきありがとうございます

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