第四話~DP稼ぎの模索~
結局1年かかってしまいましたが、次話以降も似たようなことになると思います。
ジョン・スミスだ。今はDP獲得のために、色々やってみるつもりだ。色々と言ってもポイントを手に入れた要因になりうるのは、町に行く、冒険者になる、冒険者として仕事を遂行する位かな?
後は……日数経過くらいだが、その可能性は低いと思う。まぁ、1日毎にではなく、1週間とか、1ヶ月の可能性もあるが……今日で3日目、これは数えていけばいいな。
DPを得るにはダンジョンに侵入してきたやつを殺すのがいいらしいがなぁ。ぶっちゃけ薬草摘みで稼げるならそっちのほうがお手軽だし、少なくとも嬉々として殺人をしたいとは思わない。そもそも誰がこんな変なところにあるダンジョンに来るのか……。
そうだなぁ、今日は町に行ってDPを稼げるか確認しに行くとしましょうか。それと、ダンジョンがどれくらい危険視されているのかも。そうなるとお堅い護衛が就くことになるだろうが、それは必要な処置かな。
今日の方針は決まった。あとは朝を待つだけか。眠って時間を過ごせないっていうのも大変だな。門の警備をしてる連中はずっと門を見続けてるんだろうなぁ。まあ、俺には無理かな。
そのうち門の警備も殆どいらなくなるだろう。人数さえそろえば、ローテーションでいい。しかし、装備を何とかする必要があるかもしれない。あの装備だと冒険者なら通じても、兵士では通じないだろう。
もうちょっと兵士っぽい鎧とかあればいいんだが、今はポイント的にキツイから町での稼ぎが証明されてからだ。
特にすることもなく俺はボーっとしていたが、気づいたときに外に出て時間を確認したら、すでに明るくなりかけていた。もしかしたらまだ早いかもしれない、昔は早寝早起きが当然らしいが、冒険者ギルドが朝早くやっているのかは分からない。
もう少し待ってからだな。とりあえず兵士達に今日は町に行く旨を伝える。
「ということだ、護衛は2人までで頼むよ。あまり人数がいるのはよろしくないからね」
あのお堅い兵士は不満そうだが、とりあえず護衛に付くのは槍兵2人になったようだ。
「じゃあもう少ししたら、出るから準備を頼むよ」
「はっ!抜かりないように点検します!」
点検?あぁ、武器のことか。別に殴りこみに行く訳じゃないんだが……まぁ、いざってときに武器が使えないのも困るか。しかし、しっかりしてるね。俺なんか武器の何を見れば良いのかも分からないよ。
ま、武器を使う展開になったら、その時点でアウトだが。とにかく普通に行くだけだ。町で変な真似はできない。ここら辺は兵士にも言い含めておかないと不味いな。
よしそろそろいいかな。俺は入口まで歩いて兵士に声をかける。
「そろそろ行くとしようか」
「はっ!準備は万端です!」
「他の人はここの守備を引き続き頼むよ」
門を開けて進む。少し歩いたところで、兵士に注意しなければならないのを思い出し兵士に話しかける。
「君達に言わなければならない事があるんだった」
あやうく忘れるところだった。
「はっ!なんでしょうか!」
「町に行ったら、ジョンと呼んでくれ。そうでないと変だからね。それと、君達にも名前が必要だから今ここで決めようと思う」
「はっ!心得ました!」
「じゃあ君はダン。そっちの君はジン。よろしく頼むよ。ダン、ジン」
「ありがたき幸せ!」
仮名だから別に一生これを名乗る必要はないんだが、この喜びよう。ジンは何も言わないが、寡黙なんだろうか?表情も変わらない。
「じゃあ行こうか」
「はっ!」
と元気に答えてくれるのはいいんだが、町で閣下!と言わないかが心配だ。それと町に行くまでは結構時間がかかるから、薬草を森で採取してから向かった。人数が揃っているおかげもあって、50は手に入った。
道中は会話もなく静かだった。2人は辺りを警戒していたようだが、この様子を見た限り、疲れは無い様に見える。つまり人間の三大欲求はない可能性が高くなった。真面目に護衛してくれてるのは安心できるが、俺を気を緩めてばかりじゃいけない。何ができるって話でもあるが。
「やっとついたか」
やはり1時間とちょっと似たような景色ばっかりなのは飽きるな。
「ダンさん、ジンさん冒険者ギルドまで行きましょうか」
「そうですね。そうしましょう」
うん、こんな感じなら悪くないだろう。今の俺は冒険者ジョン・スミス。基本的に腰は低く丁寧な感じで行かなければ。
とりあえずギルドで薬草を5シクに換え、昨日とは違いダンジョンに関して調べることにする。護衛の2人には外で待ってもらっている。まぁ、これに関してはしょうがない。彼らは冒険者ではないし、まだその必要は無いと思う。
それはいいとして今は資料調査に専念しようか。結果として言えば資料はかなり早く見つかったと言える。まず最初に言えるのはダンジョンを攻略するのは自己責任ということだ。つまり人の家に勝手に入る泥棒ということになる。アメリカでは家に勝手に入れば銃殺されるらしいので、ある意味当然ではある。
しかし、ダンジョンからモンスターが湧き出た例などはないのだろうか?様々な資料を見てみるが、ダンジョンからモンスターが出てきた例はない。野生動物や、コウモリが中にいることはあるようだが。まとめるとこんな感じだろうか。
・ダンジョン内、ダンジョンまでの道のりでの出来事は自己責任。
・冒険者ギルドは冒険者の報告、または冒険者ギルドが確認した情報を纏め、公開する。
・冒険者はダンジョン発見の報告の義務を負い、報告しない場合は罰金を支払うこと。
・冒険者はダンジョン発見で報酬が支払われ、内部情報の提供にも報酬が支払われる。
報告義務に罰金が生じるっていうのは、報告させるのに必要で、報酬も同じだよなぁ。しかし、道のりでの出来事……まあ、常識的に考えれば事件、事故に巻き込まれた場合ってことだよな。駐車場によくある『当店では駐車場内で発生した盗難・事故等は、責任を負いかねます』そのまんまだ。
こういうのは念のためだな。世の中アホみたいなクレームを入れる奴がいるわけで……。っとそんなことはどうでもいい。危険なダンジョンにも、国の軍隊が出てくるということがないようなのでなんとかなるだろう。
その後もDPに関しての情報を探してみたが、流石にそういう情報はなかった……まあ、調べたいことはこれで済んだ。
冒険者ギルドから出てダンとジンをに声をかけ、さっさと町を出る。帰り道を歩きながら思ったんだが、森に向かって1日またいで帰ってくるというのは怪しく思える。しばらく町への出入りは兵士達にやらせようかな、今さらだが黒髪黒目も目立つしな……。
「尾行はないか?」
もしかしたら怪しまれているかもしれないと思い、ダンに聞いてみるが『今のところはありません!』と元気よく答えた。考えすぎかもしれないが、一応元の世界よりは危険な世界だ。警戒して損はしないだろう。それに、緊張させておかないと何かあったときに棒立ちになってしまう可能性があるしな。
結局何もなかったわけだが、護衛の二人には門の守備をさせて、DPが増えているか確認してみる……変化はないな。依頼じゃないってことか……?それともDPが増えたのは初回依頼達成ボーナスだったとか?とりあえず依頼では上がらないということにしておこう。後は、冒険者になる町に行くくらいだが、ダンジョンからすると冒険者は敵なわけだから潜入ボーナスとかか?うーむわからん。
さっき町を出るときにあまりにも短期間で出入りをするのは怪しいと自分で思ったから変わりに兵士を町に行かせてみたいところだが、問題が起きる可能性を考慮するとなぁ……。日数経過でDPがもらえるか確かめるしかないんだよな……。しかしこのままだと冒険者が今のところ来ていないとはいえ、いつ冒険者との戦いになるかもわからない。
とりあえず、数日間は町に行かないことにしよう。今日、明日は……そうだな、とりあえず召喚できるモンスターやアイテムとかもちゃんと見てなかったからそれをちゃんと見ようか。
ふむ……、やっぱり前見たときとほとんど変わっていないな。そしてやっぱり兵士よりモンスターの方が安い。まあ、説明にも特殊召喚はDPを多く消費すると書かれているからな。そう考えると、安いモンスターで敵を抑え、後方の兵士で撃破するなんてことも出来るんだろうな。優秀な指揮官がいれば。まぁ、今はどうしようもない問題なのでしょうがない。俺じゃ指揮なんてできないし。それでも兵士との意思疎通が取れるからまだましだ。最悪各々の判断で戦ってもらうってことも出来るわけだし。モンスターは兵士より安い。これを何かに生かせればいいんだけどな……。
まあそれはいい。とりあえず鉛弾と火薬16発分、矢20本を召喚した。占めて40DPだ。これの何に驚いたかといえば、矢は矢筒に入っていたし、鉛弾と火薬は紙の筒にまとめられてポーチに入っていたってことだ。しっかし、紙筒にまとめて火薬と鉛弾をまとめるとは中々便利な代物だ。まあ、使ったことないから本当に便利なのかは分からないんだがな。
それと召喚できるアイテムを確認している最中に気付いたが、武器や矢弾に比べると、塩とか砂糖とか戦闘に関係のないものは比較的高い。そう考えるとベッドにDPを使ったのは完璧に無駄遣いだったなと後悔した。後の祭りとはいえ、割とショックだ。まあ、次からは気をつけよう。食料がいらないならDPをぽんぽん消費することはないわけだし。矢弾は消費したら追加しなきゃいけないが。
結局ステータス確認してもとくに変わってなかったし、状況は動きそうにない。完全に手詰まりとしかいいようがない。ギルドに向かったときに調べたが、ここら辺は治安がかなりいい。山賊なんてものはいないし、モンスターも危険な野生動物すらいない。そもそもモンスターはダンジョンにいる生物を指すらしい。つまりモンスターは外にはいない、ということだ。
正直かなりやばい手段として山賊を狩るというものがあったわけだが、それを実行できなくて正直安心している。俺が人を殺したときにどう思うかは分からないが、少なくとも人間の心はまだ失っていない、はず。そもそも戦闘になったらこっちが不利なように感じる。俺は戦えないし、兵士にまかせきりだ。ステータス上は戦えるようだが、いきなり実戦は不可能だろう。ここは兵士達に頼んで練習するしかないかな。
まあ基本方針は戦わないということで。精神的な物もあるし、戦って勝てる見込みもない。それでもダンジョンを荒らしに来るならさすがに反撃しなければいけない。最低限防衛できる戦力だの戦いに必要な諸々を何とかしないとな。幸い運がいいことにここの森はほとんど人が入ってこない。ここら辺まで来るのは余程の物好きだろう。冒険者や猟師ですらここまで入ってくることはない。
ある意味俺のカムフラージュは意味がなかったとも言える。問題が起きなかったのは好ましいことだけれども。まあ、時間稼ぎはなんとかなりそうだな。そう思うと気が少し楽になる。全く、こういう真面目なのは性に合わないって言うのに。睡眠欲はないはずなのに習慣のせいか、横になりたくなってきたよ。なんというか……精神的な疲れがあるような気がする。
結局DPの稼ぎ方が判からなかったか。どうするかなー。後は日数経過だけということになるな。これも駄目だったらいよいよもって冒険者をおびき寄せなきゃいけないわけだ。気分が沈むなぁ。まあ、今日はここまでだな。
かなりの亀更新になるので、期待しないで待っていただけるとうれしいです。